「もう何も気をつけないようにしてる」親の精神疾患に子どもたちが思うこと

2019.09.04公開 2019.11.17更新

うつ病や双極性障害など、精神疾患により医療機関にかかっている患者さんは、年々増加しています。ということは、そのご家族の方も増えていることになります。

 

家族が病気だと診断されたとき、自分にできることはあるのでしょうか?反対に、できないことに直面したときは、どう行動すればいいのでしょうか?

 

今回は、ご家族が心の病気と診断された方に、家族との向き合い方、そして、自分との向き合い方について、詳しく語っていただきました。

 

はなの さん

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【はなの・30歳】小学6年生のときに、父親が双極性障害と診断されたはなのさん。一度は回復したものの、中学2年生のときにうつ病を発症。再度回復したところで、はなのさんが26歳のときにうつ病を再発。現在は別居中で、定期的に様子を見に帰省しているそうです。

 

ミルコ さん

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【ミルコ・29歳 @Mirkocko】18歳のときに、父親が長年うつ病で苦しんでいると告げられたミルコさん。一度は症状が落ち着くも、環境の変化で状態が悪化し、双極性障害と診断されたそうです。最近になり一人暮らしをスタートしたミルコさんですが、同居しながらの闘病生活は15年以上も続きました。

 

くまの

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【くまの・27歳 @kmn_nana】15歳のときに、母親が統合失調症と診断されました。さらに、今年になって父親が双極性障害と診断されていたことが発覚。記事の執筆を担当しますが、今回は家族側としても参加させていただきました。

 

【進行役】林田 さん

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抑うつの症状と付き合いながら、Remeのインターンとして活躍中の林田さん。止まらなくなる3人の話を、ぴったり2時間でまとめていただいたスーパー進行マンです。

<ライター:くまのなな>

 

家族の病気を知ったのはいつ?最近の症状はどう?

林田さん
今日は、お集まりいただきありがとうございます!私が精神科に通っている当事者なので、ご家族側のお話をお聞きするのが楽しみです。

 

早速ですが、皆さんがご家族の病気を知ったのはいつ頃だったんですか?最近の症状も、教えてほしいです!

はなのさん
父が双極性障害と診断されたのは、私が小学6年生のときでした。一旦は回復したんですけど、私が中学2年生のときに、うつ病と診断されて。

 

そこからは、休職と復帰を繰り返して…。4年前、私が26歳のときに、またうつ病と診断されたんです。まさか3回目が来るとは思っていなかったから、「まじかよ…」って感じでしたね。

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林田さん
最近の症状は、いかがですか?
はなのさん
ここ半年くらいは、びっくりするくらい落ち着いています。日常生活も普通に過ごせるくらいで、ちょっと、逆に…。怖いくらい。
林田さん
怖いんですね!そうなんだ…。

 

くまのさんのご両親が発症したのは、いつ頃だったんですか?

くまの
母が統合失調症と診断されたのは、私が15歳のときでした。中学を卒業して、結構すぐだったかな?朝起きたら家に母がいなくて、そのとき一緒に暮らしていた祖母に、「お母さん入院したから」って聞かされたんです。

 

ただ、診断されたのがその時期だっただけで、思い返すと、私が小学生のころから症状は出ていたなぁと思います。

林田さん
どんな症状が出ていたんですか?
くまの
幻覚とか、幻聴とか。

 

虫なんていないのに、「虫が飛んでる!」って顔の周りで手を振り回したり。「声が出なくなった。行かないでって言ってくれないと連れて行かれる」って筆談で見せられたり。

林田さん
そうなんですね…。お父さまが発症したのは、いつ頃だったんですか?
くまの
父が双極性障害と知ったのは、本当に最近なんです。数か月前。

 

しかも、病院でいつ診断されたのかは知らないんです。父も、思い返してみると、あの行動は双極性障害だったのか!と思うことが結構ありますね。

林田さん
思い当たることって、例えばどんな?
くまの
気分の上がり下がりが、周りから見ても尋常じゃなかったんです。

 

上がっているときには手が付けられないくらい突っ走ってしまって、下がっているときは布団から起き上がることもできないレベル。

林田さん
お父さまとお母さま、最近の症状はどうですか?
くまの
最近は、2人とも落ち着いていますね。母の症状が悪くなっていたのって、症状がいいときに、自分から薬を飲まなくなってしまったからなんです。

 

症状がよくなって→薬を飲まなくなって→症状が悪くなって→薬を飲んで…の繰り返し。1年くらいまえに、薬を注射タイプに変えたんです。そこから、ぐっと安定しました。

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林田さん
薬の種類も重要なんですね!

 

ミルコさんがお父さまの病気を知ったのは、いつ頃ですか?

ミルコさん
父親が最初に発症したのは、私が9歳のときです。そのときは、うつ病と診断されました。勤めていた会社からいなくなっちゃって…。

 

最終的には見つかって、そこから治療生活が始まったんです。その時期は、父親がうつ病だとは私は聞かされていませんでした。

林田さん
えっ!そうなんですか?お母さんにもなにも言われず?
ミルコさん
そうです。私が18歳のときに、初めて母に打ち明けられました。

 

それまでも、なにかおかしいな?とは思っていたんですけど、これが家族の形なのかな?とも感じていて。他の家族を知らなかったから。

 

18歳のときに母にうつ病だと聞かされて、「あ、やっぱり病気だったんだ」と納得しました。

林田さん
なるほど…。
ミルコさん
そこからは、一旦症状は落ち着いた時期もあったんですけど…。私が23歳のときに、父の職場の環境が変わったタイミングで、症状が悪化してしまったんです。

 

そのとき、「この症状はうつ病ではなくて、双極性障害です」と診断されました。

林田さん
お父さまは、どんな症状が出ていたんですか?
ミルコさん
初めのうつの時はなんとか踏ん張ろうとしてたのか、鏡に向かって、「俺は大丈夫!できる!」って叫び続けたりとか。はたから見ると、本当に異様な光景なんですよね。

 

あとは、突然意識を失って後ろに倒れたりとか、「死にたい…死にたい…」って隣の部屋でずっと言ってることもあったみたいです。

くまの
親の「死にたい」が聞こえてくるのは、つらい…。
ミルコさん
そうなんですよね。父親の症状に、私もつられて苦しくなってしまった時期もありました。

 

ただ、ここ3ヶ月くらいは、症状は落ち着いていると思います。私も怖いくらい。これからどうなるのかな?と思いながら、見届けているところです。

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林田さん
はなのさんとミルコさんに共通しているのが、「症状が落ち着いていると怖い」ってところですね。症状に波があるのが普通だから、いつ落ちるのか分からずハラハラしちゃう感じですか?
ミルコさん
私は、ここ何年もジェットコースターエブリデイ、みたいな感じだったから…(笑)
林田さん
ジェットコースターエブリデイ!(笑)
ミルコさん
症状がコロコロ変わりやすい時期もあったので、「今日は上がってるかな?下がってるかな?」って、今でも気にしちゃうんですよね。

 

過去と比べて、「どうして今こんなに落ち着いているんだろう?」って不思議な気持ちがあります。

はなのさん
過去と比べてって、私も分かります。

 

私の父の場合は、常に低空飛行な感じで…。ここ最近はうつ病と診断されていたから、双極性障害のときのようにハイになることはなくて、ずっとマイナスの状態だったんです。

 

だから、いきなりマイナスからゼロの状態を保てているのが、ちょっと信じられないというか。

林田さん
症状がよくなっても、ずっと安心していられるわけではないんですね…。
はなのさん
父は、時期によっても症状が悪くなることがあって。

 

昔、「セミの声がうるさい!」って、夏に症状が悪化してしまったことがあったんです。だから夏の時期になると、今日また悪くなるかも、明日連絡が来るかもって、心配になっちゃうんですよね。

 

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くまのなな

ライター

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年9月4日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。