うつ病当事者かつ看護師として伝えたいこと【小松亜矢子さん:後】

2016.11.27公開
 
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前編に引き続き、うつ病当事者で、看護師、ウェブメディア等でのライターとしても活動している小松亜矢子さんにお話を伺ってきました。

 

後編では、うつ病当事者でもあり、看護師資格を持つ小松さんの視点で、精神疾患の予防や、家族が出来ることなどをお話しいただいています。

 

前編はこちら

 

 

小さな変化が意外と大事

精神疾患の予防において大切なことは、話す相手を持っておくことと、自分の変化や異変に気付ける余裕を持っておくことかなと思っています。

 

いつもおいしく食べられているものを、「何となく、おいしくないんだよな」と感じたり、「何かやる気が起きない」とか、そういうちょっとした変化に気付けることがとても大切です。

 

そういう小さな変化が意外と大事だったりするので。「無理してないかな」って自分に問いかけてあげることは心がけてほしいですね。

 

異変に気が付く余裕を持つために、例えば、寝る前の10分間、その日の自分のことを考える時間を作ってみるなどしてみても良いかと思います。

 

あとは、当たり前ですけど、規則正しい生活をちゃんと取るようにするとか、睡眠時間を最低これだけは確保するとか。自分を追い詰め過ぎない生活をきちんとすることが大切なように感じます。

 

 

人それぞれだから比べない

体調がおかしいなと思ったら、無理しないで早めに受診することと、あとは「人と比べないこと」です。

 

私自身、適応障害を発症した時、同期の看護師たちは先にいろんなこと進んでいるのに、自分だけここで立ち止まっている感覚がありました。

 

休職中も、隣りの主婦の奥さんは朝から家事をしてるのに、私は朝から寝ているだけみたいなのとか。私が寝ている時間、ほかの人はみんな通勤電車に乗って会社に行ってるんだとか。

 

人と比較しては、落ち込むことを繰り返していました。

 

でも、どうせ比較するんだったら、ちょっと前の自分と比較してあげた方が、まだいいと思うんです。昨日よりも、ちょっとできたことがあるとか、今日はよくなかったけど、明日調子がよかったらいいなとか。

 

自分の中での比較でいいんじゃないかなと思いますね。人と比較すればするほど、しんどくなる。休職中に、テレビで同年代の人が活躍しているを見て、落ち込むなんてこともありました。

 

同じうつ病の患者さんでも、治るまでにやっぱり時間がかかるし、経過は本当にばらばらです。

 

同時期にうつ病を発症した人が、数カ月でよくなってるけど、私、全然ダメだ…みたいに思っちゃうとよくないので、「人それぞれだよ」っていうのを忘れないようにしたほうがいいのかなと思います。

 

 

家族がうつになったら

家族それぞれが、自分でちゃんとストレスを解消できる場所を持ってないとダメだなとは思います。

 

例えば、夫婦でいつも話してると、結局堂々巡りになって、二人で落ち込んだりするので、家族以外に、話せる相手もいたほうが良いと思います。

 

ですので、小さなことでも良いから、自分のストレスを発散できる方法を幾つか持っておくことと、相手の課題を自分の課題にしないことは大切だと思います。

 

私は、離婚する前にほかの人から言われたんですけど、夫をよくすることが、私の生きる目標にすり替わっちゃっていました。

 

当時の私は、その目標がうまくいかないことに対するフラストレーションが多分すごかったんですよね。

 

夫は夫で、私が何とか生活を回しているから、それに依存してしまうという、よくない循環に陥ってしまっていました。

 

結局、うつ病に限らず、病気って本人が治そうと思わないと、どうにもならないっていうところがあります。

 

家族はサポートすることしかできないので、いい意味で自分と家族の間をちゃんと線引きをしてあげないと、家族全体がしんどくなるんじゃないかなと思います。

 

 

家族ができることとは?

うつ病に悩む本人は、まず日常生活のことが出来なくなるので、日常生活のサポートをしてあげることと、無理やり復帰を急がせない、焦らせないっていうことが大事ではないでしょうか。

 

「これ、もしかしたら気分転換にいいんじゃないかな」と、色んなことを試してみて、多分失敗もすると思うんです。

 

でも、駄目だったら駄目で、気にし過ぎないで、やれることをやってみればいいかぐらいのスタンスがサポートする側としては良いのかなと思います。

 

あとは、患者さんの行動にちょっと気を付けてほしいですかね。

 

特に、治りかけのところで自殺率って上がったりとかするので。特に行動とか言動に気を付けながら様子を見てあげるっていうことかな。ただ「治してあげよう」と思わないことですかね。

 

 

精神疾患に対する社会の目

うつ病に関しては、昔よりは認知はされているとは思いますし、うつ病対策をしている会社も増えては来てるんじゃないかなとは思っています。

 

周りに打ち明けやすくなったんじゃないかなとは思いますね。精神科とか診療内科を受診するハードルも、昔に比べれば下がっては来ているように感じます。

 

ただ、事件を起こした人が、「精神鑑定を〜」というのが報道されたりすると、「やっぱり、精神科にいる人ってちょっとおかしいんだ」とか、「犯罪を起こす人って、そんな病気があったりするんだ」ってまだまだなってしまうと思います。

 

社会全体で見ると、精神疾患に対する誤解や偏見はあるんじゃないかなとは思いますね。

 

 

うつ病はうまく付き合っていくもの

うつ病も統合失調症もそうですけど、慢性で経過する病気って、うまく付き合っていくものだと思うので、無理に治そうとしなくていいと思うんですよね。

 

「治さなきゃ」って思うとしんどくなっちゃうじゃないですか。

 

だから、薬を飲みながらでも、ちょっと活動を抑えながでも、自分が楽に、生きやすく、しんどくないなと思える状態で生きられるように、うまく病気と付き合うというぐらいの感覚でいたらいいんじゃないかなと思います。

 

私自身、半ば諦めだったんですけど、「すぐに治らないよな」と思って、取りあえず薬を飲みながらでも、働いたり、生活できればいいかと思っていました。

 

でも、よく考えれば、別に精神疾患に限らず、ほかの内科の疾患でも慢性で経過するものや治らないって言われているようなものは、うまく治療を続けながら、薬を飲みながら付き合っていきますよね。

 

「だったら、うつ病も一緒じゃん」っていうふうに思うようになって、気が楽になっていきました。

 

 

「何とか生きていけるよ」

何か大きいことでこれをしたいというのは、ちょっと考えつかないんですけど、ただ、うつ病になっても、「何とか生きていけるよ」という一つの事例が示せたらいいかなとは思っています。

 

働き方として、毎日決められた時間に行かなきゃいけないとか、やっぱりまだまだしんどいです。

 

看護師の仕事も、「辞めた」と言ったら、「もったいない」とよく言われるんですよ。でも、辞めた身からすれば、やっていてしんどいことを無理にやり続けることに何の意味があるんだろうと思います。

 

だって、週7日のうち5日間も嫌なことするって嫌じゃないですか、単純に(笑)。

 

なので、これからの人生では、ちょっとでもやりたいことや、やってて心地いいものにどんどん寄っていきたいなと思っています。

 

 

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臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

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