
「焦らなくていいよ」を言う側・言われる側の本音。焦りに“良い悪い”はある?
当事者側と家族側で感じる「焦り」は違う?

本人も、働けないことに対してすごく負い目があると思うんですよ。申し訳なさが伝わってくることも多いし。
それに追い打ちをかけてしまうかもしれないことを、言う勇気が私にないんですよね。


父も母も、病気になった原因として仕事がとても影響していると思うんです。だから、仕事に戻すことに対して、明るく背中を押せないというか…。
ただ、さっきの林田さんの話を聞いて、「いくら稼がなくてはいけない」ではなく、「どんな仕事がしてみたい?」で考えることができれば、もっと話しやすくなるのかなと思いました。



療養中の方って、体力が回復してきても、遊ばなくないですか…?私の母がそうなんですけど、自分の好きなことをしなくなっちゃうというか。



でも、私からすると、遊んでいないほうが大丈夫かな?と思ってしまうんです。なんか、かわいそうに見えちゃうんですよね。そう見えてしまうことも、こっちは苦しいというか…。


罪悪感なく、遊んだり、好きなものを食べたり、買い物をしてくれることで、こっちも「あぁよかったな」と思えるから。

「療養中なのに、遊びには行けるんだ」と思われている気もしたから。だから、くまのさんみたいに思っている人もいるんだということが、ちょっと衝撃!



家族側と当事者側で、考えのズレがある家庭ってめちゃくちゃ多いのかなって思いました。私も、ここまで母に本音を話したことはないかも。きっと、伝わっていないこともたくさんある気がします。

「私が出かけることを、嫌だと思ってる?」って、聞きにくい…。


「前はこのことに対してこう思っていたけど、今はこう感じる。こんな風に変わってきた」と全部聞いてもらって、夫にフィードバックしてもらうんです。
自分の中だけで考えていると、答えが出ないんですよね。ぐるぐる考えが回ってしまうというか。だから、夫の意見を聞くことで、うまく答えにたどり着くことが多いです。



だから、夫の意見は夫のものとして聞いて、自分と違う意見なら取り入れないだけ。自分とは違う意見を聞けるだけでも、参考になることが多いんです。





私にとっての普通の人って、国民の三大義務を果たしているかどうかなんですね。教育と、勤労と、納税。だから、それがクリアできていないと罪悪感があるんです。

林田さんが言っている三大義務とか、竹内さんが望んでいた理想像とか、私から母と父に望んだことはないです。


回復してきたら、じゃあプラスアルファで、自分になにができるのか考えてほしい。



林田さん「ちゃんと寝ます…(笑)」

「焦らないで大丈夫」って言われてどう思う?

なぜなら、私がものすごく焦っているから。


ただ、「焦らなくていいよ」という言葉を、100%で受け取ってしまうのは避けたいとも思っています。


それに、やっぱり自分の中に焦りはあるので、その気持ちを「焦らなくていいんだ!」と無理に変えようとすると、それはそれでストレスというか…。


自分が自分に納得しないと、人に「焦らないでいいよ」と言われても、なかなか腑に落ちないこともあると思うから。




焦る気持ちから「行動しなくてはいけない!」と思っているのか、本当に自分が「これやってみたい!」と思っているのか。焦りを取り除いてもらうことで、そこがはっきりしたことがありました。
誰かに止められてもやりたいことって、あるじゃないですか。


Remeでインターンをしたいと決めたとき、そうだったんですよ。


今は週に何回か来させてもらってますけど、「インターンに行こうと思うんだ」と周りに言ったとき、結構反対されたんです。「そんなに焦らなくていいじゃない?」「もうちょっとゆっくりしてもいいじゃない?」って。
そんな言葉を受けても、私はインターンしたいと思ったんですよね。自分のやりたいことが、周りから止められることではっきりしたんだと思います。


…ありがとうございます。
むしろこちらこそ、ありがとうございます!




くまのさん、ご家族側から今までの話を聞いて、どうですか?


でも、裏を返せば、実際に本人が焦らなかったとき、私が金銭的にすべてフォローしてあげられるわけでもないし。無責任なことを言ってるような気もしていたんですよね。
だから、言われた側も「無責任なこと言うなよ!」って思ってるかなぁって…。

でも、そこまで内面のことを考慮して言葉をかけるって、無理だと思うんです。周りの人もしんどくなっちゃうし。だから、あまり深く考えなくてもいい気もします。

根底に相手のことを心配する気持ちがあれば、それは伝わると思うから。


そんなこと言ってもさぁ!って思っちゃうから。実際に、メンタルが不調になりたてのころは、そんなこと言っても分かんないでしょ!と思うこともありました。



竹内さん「なにも知らないじゃん!って思う…」
私は、やる気が出ているときに言われるのはテンションが下がるかなぁ…。求人誌をめくっているときに「焦らなくていいよ!」と言われると、じゃあ生活費どうするの!?ってなります。


くまのさんは、焦らなくていいよの裏側にある気持ちって、家族に伝えてますか?金銭的に援助はできない、とか。
将来的に、お金のことってどう考えてる?って、聞きたい気持ちはあります。でも、聞いたことで自分を追い詰めて、症状が悪化するのが怖くて。
母や父が苦しんでいる姿って、子どもとしては見たくないんですよね。だから、いつも楽しい話ばかりしちゃっているかも。


その言葉がないと、自分が動き出せないこともあると思います。

だから、単純に心配する気持ちから「焦らなくていいよ」と言ってくれるのは、私も嬉しいです。

そもそも「焦る」ことは駄目なことなの?

焦るって、駄目なことなんですかね?


焦っていたときって、理想像を作っていることにも気がついていなかったんですよね。だから、どうして焦っているのかも分からなくて。焦っている自分がデフォルト設定みたいな。


焦る対象が分かっていれば、焦ること自体は駄目なことではないのかなぁって。


私が作った理想像に到達する人も、きっといると思うんですよ。でも、私にはできなかった。週5日間、8時間働くという社会が作った常識に、無理に自分を当てはめようとしていたんですよね。
今は、その常識で働いていない人だって、たくさんいることを知っているから。別にいいやって思えるようになりました。理想像に対する焦りも、いらない焦りだったなと思います。




そんなとき、焦りがガソリンになって行動できるときはけっこうありますよ。


自分にとってあまりにも高い目標に対して行動して、失敗してしまうと、失敗体験が積みあがってしまうんですよね。結果的に、自己肯定感も下がっちゃう。


それで、実際に目標にするのは、その目標の半分以下のところからにするんです。


スモールステップを意識して、小さなことからやるようにしています。




ガソリンとして、本当に少しずつ焦りを使う感じ。


それで何回も失敗しているので、我慢してます。


そのことに対して、焦りって生まれないんですか?
だから、小さな目標でも着実にこなしていくことで、「とはいえ前には進んでるしな~」と思えるんです。なにもしないより、変な焦りも生まれにくいと思います。


歩き出してしまえば、意外と平気。


今回も、お集まりいただきありがとうございました!
(左から)くまの、竹内さん、林田さん。ご参加ありがとうございました!
Remeで初めての、当事者側と、家族側が混ざっての座談会。お互いに「そんなことを思っていたのか!」の発見がたくさんありました。
ネガティブなイメージのある“焦り”も、焦っている理由と解決策を冷静に考えることができれば、自分を動かす原動力になる場合もありそうですね。自分がどうして焦っているのか、一度立ち止まって考えてみてもいいのかもしれません。
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2019年9月20日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。