家族、同僚、医者と接する中で気づいた病気の受け止め方【林晋吾さんPart2】

2016.12.04公開 2017.08.08更新
 
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病院の異常な緊張感

実際に病院に行ってみて、病院の異常な緊張感みたいなものが結構ありました。

 

別に、先生は乱暴な人だとは全然思わないんですけれど、僕自身、あまりうまく先生と付き合えてなかったんですよね。

 

病院に行くようになっても、途中で行かなくなったり。飲み残しの薬が、家に溜まっていたりとかしていました。

 

思考能力が落ちている中で、なかなか自分の症状をうまく先生に伝えられないんです。ぼーっとしている中で、うまく伝えられないし、そもそも受診するまでの1週間なんて覚えてないんですよ。

 

あと正直な話をすると、それなりの量の薬を飲んでいたら、どこかでお金の問題も出てくるんです。

 

 

「そうです」と答えるしかない

そもそも、言葉にして話す能力が落ちている中で、自分が表現したことのない今の状態をどう表現すれば先生に伝わるか、ちょうどいいものを持ち合わせていませんでした。

 

それで、先生に「こうでしょう」って言われてしまうと、「そうです」とは言うんですけど、違うんですよ。

 

先生の言っていることは全然的確でないのに「そうです」と答えるしかない状況です。だから、何か違うなと思いつつ、出された薬を飲んでいたみたいな感じですよね。

 

 

直そうと思っても直せない

うまく病院と付き合えず、薬も勝手に止めてしまっていた時もありましたが、病気になってから、何かをやるときに、人の顔色だったり、人の評価を一番に考えなくなった点で、病気前から大きく変わりました。

 

ただ、僕の場合、変わるための何か特別なことをしたということはなく、「これがきっかけになった」ということがあまりないんです。

 

例えば、人の顔色伺うクセって、極端な話をすると、判断の軸が「人にどう評価されているか」に偏っちゃってるんですよね。

 

それで実際、人にあまり評価されなかったりすると、かっこ悪くて、不細工なのが嫌だとか、そういうふうに見られたくないとか、そんなことばかり考えてしまっていました。

 

直さなきゃいけないクセだと分かっているけれど、直せるかといったら、直せないんですよね。ちょっと意識してみても、またすぐ同じことを繰り返して、落ち込んでということを繰り返していました。

 

だからといって、何かを止めてしまうことは違うなとも思っていたので、出来る限り、普段の生活を続けるようにしました。

 

なので、何か特別なことをしたというよりも、また同じことが起きたときに、「どこに自分のゆがみが出てきたのかな」ということを意識するようになってから、症状の波の大きさが少しずつ小さくなっていったように思います。

 

 

病気を受け入れやすくなった

最初にパニック症を発症したときから、少しずつ症状の波が小さくなっていくにつれて、その状況を受け入れやすくなっていきました。

 

もちろん、最初の方は「何でこんなことになるんだろう」「もう駄目だな」とか、すぐに気分が落ちていましたけども。実際、気分が落ち込む度に、「もう人生終わった」ぐらいのことを思います。

 

ただ、3回目くらいの波になると、「あの時、ここで調子に乗ってしまったな」とか「ここでまた悪い癖が出たな」と、自分の症状と向き合える思考がちょっとずつ出来るになってきたんです。

 

そこから、気分が落ちる期間がすごく短くなって、症状が落ち着いてくるのを感じたので、普段から自分の状態を受け入れようとする意識を持つようになりました。

 

特に、カウンセリングなどを受けたわけではないのですが、お坊さんが書いているような本やアドラーの本を読んでみて、自分にしっくり来たことを生活の中に取り入れてみることで、意識を改善していった感じですね。

 

 

当たり前を当たり前にやる

それこそ、自分がうつ病で動けなくなって、特に朝起きられない時期は部屋の中がもう、ぐちゃぐちゃになっちゃうんですよね。

 

それで、何か動いてみようかと思って、まず最初にやったことは、部屋の掃除をきちっと1回やることでした。

 

「窓を開けて、空気だけ入れ替えてみよう」とか、「まず洗濯だけきちっとやろう」とか、「今日は食器洗いだけを全部やろう」とか。

 

そういった、当たり前のことを当たり前にやることを、動き出すきっかけとすることは、大事なのかなと思っています。

 

ただ、掃除が終わって「よし、ちゃんとできた」とか思っても、「だから何やねん」って話なんです(笑)。

 

「俺、そんなの喜んでていいんかな」みたいなことは思ったりはしますが、その時の自分からすると、家事が出来ることは大きな1歩なので、できることこから始めてみるという意味で良かったと思います。

 

 

「やばい」と言うのは難しい

出来ることなら、誰だってうつ病なんかなりたくないですよね。そうならないために、僕自身の経験から言えることは、「やばい」とできるだけ早く言うことだと思ってます。

 

ただ、その一方で、落ち込んでしまっている自分の状態を受け入れられず、周りからどう見られるかを気にしてしまい、「やばい」と言えないことはあると思うんですよね。

 

実際、「やばい」と言えた時って、「やばいかもしれない」じゃなくて、「もうやばい状態」にあるんだと思うんです。やばいかもしれない時に「やばい」というのは難しいですよね。

 

よく、「早期発見」とかって言うんですけど、本人からアラートが出せるかというと、なかなか難しいんじゃないかなと思うこともあるので、周りにいる人たちが「やばい」と言いやすい環境を作ってあげる必要もあると思っています。

 

 

まさか病気とは誰も思わない

僕の場合も、会社の先輩が上司に言ってくれてなかったら、自分では「やばい」と言えないまま、仕事を続けていたと思うんですよね。

 

この時期が、もし1カ月遅れたらどうなっていたんだろうって考えると本当…。

 

仲のいい職場の仲間とかが、「最近、ちょっと様子おかしくない?」とかって意識して言えばいいと思うんですけど、これもなかなか難しいですよね。

 

気分が落ち込んでいる時は、人間関係もシャットダウンしがちですし、落ち込んでいる様子だけ見て、まさか病気だとはなかなか思わないですよね。

 

なので、「やばい」「つらい」と言った時に、周りの人がちゃんと受け入れられるかどうかが大事なのかなと思っています。

 

 

動けないんだったら動かない

精神疾患を抱えている人ができる心がけで確実に言えるのは、「焦らない」ってことですよね。

 

でも、絶対焦ってしまうと思うんですよ。「このまま自分は終わってしまうんじゃないか」とか。でも、そう思うことってしょうがないことだと思うんです。

 

でも、今振り返ってみると、焦り過ぎたなって思っているところがあるんです。いろんなことを焦ってやり過ぎたなと思っています。

 

例えば、動けないときに、何とか動こうとして外出しても、家に戻ると、またばたんと倒れちゃうんですよね。

 

体が動けないんだったら、動かない状態が正解で、「体が休息をしたがっているんだな」と一旦、焦らないことが大切だろうなと思っています。

 

 

「ちゃんと気にかけてるよ」

もし家族でうつ病になった人がいる場合、身の回りのことをやってもらったらすごく助かると思います。

 

あとは、「ちゃんと気にかけてるよ」ということを伝えてもらうことかもしれないですね。

 

ただ、気にかけてほしいと言いながらも、ちょっと放っておいてほしい時もあったりします。異常にイライラしたりとか、感情のコントロールが全然できない時もあります。

 

でも、やっぱり「誰かに話を聞いてほしい」とか「いつも気にかけてくれている存在がいる」ということが、すごく自分の支えになったりということはあると思っています。

 

 

本人のタイミングを「待つ」

サポートする上で、本人のタイミングを待つしかない部分が少なからずあります。

 

家族が色々と調べて、「こういうことがいいみたいよ」と思って言っても、本人が動かないことってたくさんあると思います。

 

自分もそうなんですけど、無理やり動いてもいいことって何もなくて、あとからまた落ち込むだけなんです。

 

本人が自発的に何かやろうとしていたら、「一人で行くのは、多分しんどいから、一緒に行こうか」っていうところまで待っていてほしいなと思うこともあります。

 

 

「こういうもんなんだ」と受け止めて

僕自身、一番つらかったことは、何となく人がどんどんいなくなっていく感覚でした。

 

精神疾患に偏見があって、離れていく人も確かにいると思います。でも大半の人たちは、精神疾患のことが分からなくて、「どうしていいか分からへん」というのが本音だと思うんですよね。

 

分からくて当然だと思うんです。だからこそ、うつ病などの症状を「こういうもんなんだ」くらいに受け止める感じで良いように思います。

 

「何かあったら、力になれることがあるかもしれない」とか「話ぐらいだったら聞けるかもしれない」っていうことを、伝えてもらえるだけでも、支えになるんじゃないかなと思います。

 

続きは、Part3へ

 

 

林晋吾さん全インタビュー

【Part1】パニック障害とうつ病をサラリーマン時代に併発

【Part2】家族、同僚、医者と接する中で気づいた病気の受け止め方

【Part3】うつ病と向き合う家族がストレスを解消するには?

【Part4】「ツレがうつになりまして」と普通に言える社会に

 

 

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