うつ病と向き合う家族がストレスを解消するには?【林晋吾さん Part3】

2016.12.05公開 2017.08.08更新
 
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
1

うつ病と向き合うご家族の悩み

ご家族の悩みは、うつ病などの当事者と、どれくらいの期間付き合っているかによっても違ってきます。

 

例えば、急性期の人のそばにいるご家族の場合、そもそも右も左も分からなくて、当事者で起こっていることが理解できないことが多くあります。

 

「何で、朝起きないんだろう?」

「何でご飯食べないんだろうか?」

「何でそんなこと急に言うんだろう?」

「あれ、何か急にしゃべり出して止まらへん」

 

だとか。

 

どうしていいか分からずに、調べようと思ってネットや本を見ても、書いてあることって割と一般的なことというか、自分のケースに当てはまらないんです。

 

うつ病と一言で言っても、みんな個別の症状が起きてくるので、それを本やネットだけで自分のケースに合うものを探そうとすると、やっぱり難しいんだろうなと思っています。

 

 

サポートする側のストレス

あとは家族側のストレスの問題もあります。知らず知らずのうちに、サポートする側にも負担がかかっています。

 

特に、急性期と呼ばれる一番状態が安定しない時期が、一番負担がかかるみたいです。

 

それなのに、サポートしている家族の気持ちのやり場って、多分どこにもないというのが現状なのかなと思っています。なかなか話せる場所や相手がいないというのはあるのかなと。

 

「ツレがうつになりまして」は、すごいいい映画なんですけど、「ツレがうつになりまして」とつぶやける先っていうのは、実はあまりないですよね。

 

 

コミュニティから孤立する家族

実際に、家族がうつ病であることを打ち明けて、友達が離れていって、コミュニティから家族が孤立化していくなんて話もありました。

 

まだまだ、周りに精神疾患を受け入れられる素地がないのと、実際に話せる人を見つけられないというのが実態なのかなと思います。

 

「どうやって接していいんだろうか?」とか「そもそもうつ病って何?」という知識的な問題だったり、ご家族自身にかかっている、心の負担をどうやってクリアにしていくかということを気軽に聞ける機会の必要性はとても感じています。

 

 

先輩家族が知っている

セミナーでのご家族同士のやり取りを聞いていると、色々な発見があります。

 

例えば、家族のうつ病と向き合って、2、3年経っている方というのは、状況が落ち着いてきていたりして、色んな問題に対して、意外とうまく乗り越えてこられてる人が多い。

 

そういった方は、「この人だったら話しても大丈夫だ」という人を確保していたり、ちゃんと相談の窓口を持っているんですよね。

 

あとは、どこに何があるかということを知っていたりするので、うつ病と向き合って間もないご家族にとっては、2、3年うつ病に向き合っている方のお話は日常生活の中でとても役に立つ情報が多いと思います。

 

あと、何名かの方に個別でインタビューさせてもらったんです。

 

その中で、ご家族自身が分からないことを「誰に聞いたらいいか分からない」という問題や、「そもそも相談したことがない」という人が多くて、結局、自分で何とかしようしている人が多いことにも改めて気づかされました。

 

ただ、「Aさんが困っていることは、僕が前に会ったBさんが答えを持っていそうだな」とか、「BさんとCさんが分からないと言っていたことは、Dさんがこういうことを言っていたぞ」ということが結構あります。

 

そういった意味で、うつ病の急性期の人を支えている人にとっては、回復期に入ったご家族を支えている人の話が有益になり得るように、それぞれのご家族が持つ経験が、ほかのご家族にとってすごく有益な情報だったりとか、ヒントになることがあると思います。

 

これは、専門家目線ではなく、家族という同じ立場だからこそ、「よく分かる」ということが多いように思います。

 

 

家族ならではのあるある

例えば、「病院変えたいな」と思ったときに、紹介状を書いてもらわなきゃいけないんだけど、なかなか面と向かって、先生に「別の病院に行きたいので紹介状を書いてください」って言いづらいじゃないですか。

 

実際、「ここの病院に通い続けていいのかな」と思っているけど、結局何も言えずに通い続けて、悶々としているご家族の方は、セミナーの参加者にも何人かいらっしゃいました。

 

でも、「病院変えたいので紹介状を書いてください」って先生に言う必要はなくて、受付で言えばいいんです。受付で事情を説明して変えたいと言えば、ちゃんと紹介状を書いてもらえるんですよね。

 

こういうご家族ならではの「あるある」って結構あると思っています。

 

そういった「あるある」に対して、一番近しい体験をしていて、一番難しさを分かっていて、答えを持っているのは、同じご家族という立場なのかもしれません。

 

 

セミナーを始めて嬉しかったこと

一番嬉しかったのは、参加していただいた方から、「ちょっと気持ちが救われた」とか「この話はぜひ自分でもやってみたい」といった、リアルな反応をたくさんもらえたことですね。

 

あと、セミナーの冒頭では緊張感があったのですが、帰るときには、表情がパッと明るくなって、笑ってお互いに連絡先を交換している光景を見たときに、「やってよかったな」と実感しましたね。

 

参加していただいた方が、セミナーに参加する前と比べて、「支えること」について前向きに捉えられたり、落ち着いて話ができる人を見つけられたとしたら、すごく嬉しいことだと思っています。

 

 

「支える」を前向きに

まずは、ご家族向けのワークショップをテーマを変えながら、月に一度くらいのペースでやっていきたいなと思っています。なるべく、参加人数を少なくして、交流しやすい形でやっていきければと考えています。

 

また、テーマに応じた専門家にご参加いただき、ご家族の疑問や分からないことを気軽に聞けるようにしたいと考えています。

 

右も左も分からない状態で、分からないことを調べて、電話して、コンタクトを取って…ということを繰り返すのって、そもそも結構エネルギーがいることだと思います。

 

それがましてや、家族がうつになって、支える側も負担がある中で、いろいろ能動的なアクションをしていくというのは本当に困難なことです。

 

だとしたら、「ぽっ」と聞きたいことや困ったことをつぶやいたら、それを知ってる人が「こうじゃない?」って会話の中で共有し合うことが、一番負担がないなと思っています。

 

同じような境遇の家族同士が、みんなで会話しながら、「こういうとこって困るよね」ということを共有して、支えることを前向きに捉えていける場を作っていけたら良いですね。

 

続きは、Part4

 

 

林晋吾さん全インタビュー

【Part1】パニック障害とうつ病をサラリーマン時代に併発

【Part2】家族、同僚、医者と接する中で気づいた病気の受け止め方

【Part3】うつ病と向き合う家族がストレスを解消するには?

【Part4】「ツレがうつになりまして」と普通に言える社会に

 

 

林さんの活動を応援しませんか?

「ご家族がうつ病になった人たち」が集まるワークショップを定期的に開催するために、現在クラウドファンディング挑戦中です。詳しくは以下のページをご覧ください。

 

「ご家族がうつ病になった人たち」が支え合うコミュニティ『encourage』

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

お名前
メールアドレス
保有資格・所属・ご要望など

LINEバナー
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
1

関連記事