「勘弁してくれ!」精神疾患の親を持つ子どもが悩んだ、病院・親戚・情報収集

2019.10.09公開 2019.11.17更新

苦手な家族・親戚とどう付き合っている?

林田さん
そうやって過介入してくる家族や親戚と、どう折り合いをつけているんですか?
くまの
祖父母とは、そもそも会わないです。年に1回、新年のあいさつのときだけしか会いに行きません。そこでも、なるべく母の話をしないですね。またいろいろ言われるだけなので。

 

最近出てきた親戚に関しては、できるだけ流すようにしてます。議論になっても、こちらが傷つくだけだから。

林田さん
流すって、どうやってですか?
くまの
私が直接言われたときは、基本ヘラヘラしてるかも?

 

父のアルコールが止まらなかった時期があって、その親戚が「またお父さんお酒飲んでたよ?止めなくちゃだめでしょ!」って言ってくることもあったんです。

林田さん
本当にうるさいですね。そういうとき、なんて言うんですか?
くまの
ヘラヘラしながら、「まじでそれですよね~~アッハハ~」って言いながら逃げます。
林田さん
それいいですね!!
くまの
逃げ足はめちゃくちゃ早いです。
林田さん
大事ですよね、逃げ足。
くまの
その親戚のことを、深く考えないようにしてるんです。向こうの焦りや不安をぶつけられているだけだと思うから、それに対して悩んでもなにも解決しないし。

 

議論できるくらい冷静で、話が通じる相手なら、姉や私に対してもう少し気遣ってくれると思うから。怒りが生まれたら姉と愚痴って発散させるけど、そこで終わらせます。

林田さん
親戚の方に、「そういうこと言わないで!」と伝える気もないですか?
くまの
いやぁ、全然ないです。
林田さん
それはどうして?
くまの
祖父に対しては、そういうアプローチをしたこともあったんです。「お母さん病気で治療してるんだから、寝てるだけとか言わないほうがいいよ」と伝えたり。

 

でも、返ってくるのは「母親に似て理屈っぽい」とか、そんな言葉だけだったので…。

林田さん
言っても、なにも変わらなかったんですね…。
くまの
そう。言うことで、こっちの心が削れただけでしたね。

 

だから、本気で理解してもらいたい相手じゃない限り、なにも言わないです。言って自分が傷つくのも嫌だから。

林田さん
ミルコさんも、言わない派ですか?
ミルコさん
私もそうです、まったく同じ。

 

祖母に対しても、なにか言われたら「えへへ~そうかなぁ、どうかなぁ」って、流しています。会話をしないで、はぐらかす。

 

自分の中では、くまの〇ーさんスイッチと呼んでます。

林田さん
プ〇さん!!
ミルコさん
「はちみつ食べたいなぁ~」のテンションで、「そんなこと言われても分かんないなぁ~」って。

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〇ーさんのテンションに爆笑の林田さん。

 

林田さん
それいいですね!頭いい!
ミルコさん
ただ、他の親戚では通用しないこともあって。そういうときは、「うーん、まぁ、そういう考え方もありますかね」って言ってます。別の意見として認める感じですね。
林田さん
なるほど…。
ミルコさん
話し合う意味がないことってあるんですよね。議論で私が勝ったとしても、「私が打ち負かしてやったぞ!」という気持ちが出てくるだけで、事態が好転するわけでもないから。

 

なにも解決することのない議論は、すべてスルーすると決めてるんです。議論したことで、病気になった本人が治るわけではないですからね。

 

公的な補助制度ってなにか使ってる?

林田さん
国や自治体の制度で、今使っているものがあれば教えてください!
くまの
我が家では、母が生活保護を受けています。救護施設の方や、ソーシャルワーカーの方に助けてもらうことも多いですね。頼れるものには、がっつり頼ってます。
・救護施設
救護施設は、身体や精神の障害や、何らかの課題(生きづらさ)を抱えていて、日常生活を営むことが困難な方たちが利用している福祉施設です。救護施設は社会福祉法第2条によって定められた第一種社会福祉事業で、生活保護法第38条第1項第1号によって規定された保護施設のひとつです。
出典元:全国救護施設協議会

 

林田さん
ミルコさんのお家はどうですか?
ミルコさん
医療費が年間いくら以上になったとき、こちらが申請すると返金が受けられる制度は使っています。診察費と、処方箋にかかる支払いと、交通費を請求すると、いくらか返ってくるやつ。
・医療費控除
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記3参照)の所得控除を受けることができます。
出典元:国税庁

 

林田さん
お二人とも、制度の情報をどこで知ったんですか?
くまの
生活保護に関しては、母が入院してしばらくしたら、もう入っていたんです。そのとき私は高校1年生だったので、最初の手続きは祖母と離婚した父がやってくれたんだと思います。
林田さん
ソーシャルワーカーについては、ご自身で調べたんですか?
くまの
いや、違います。ソーシャルワーカーの方は、多分ですけど入院した病院で繋がることができたんじゃないかなぁ。姉も私も、自分で調べて問い合わせして、ということはあんまりしてないです。

 

分からないことはソーシャルワーカーの方や救護施設の方に聞いて、教えてもらいながらここまで来た感じですね。

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林田さん
ミルコさんは、どこで制度のことを知ったんですか?
ミルコさん
私、子どものころ怪我がとても多かったんですよ。医療費もすごく高かった時期があって…。

 

そのときに、父が「これ還付受けられるよな」と言い出して、そこからやり始めたんだと思います。

林田さん
なるほど、昔から知っていた制度なんですね。
ミルコさん
あとは、通院しているクリニックが公的な制度にとても詳しいところで。ソーシャルワーカーの方がしてくれるような提案を、病院がしてくれるんです。
林田さん
おぉ、すごくいい病院ですね!
ミルコさん
父の休職期間が長かったときも、今後の生活のために障がい者手帳を取得するケースを教えてくれたり、会社に対しての関わり方でアドバイスをくれたり。いい先生だと思います。
林田さん
手続きをするとき、いろいろな書類が必要になることもあるじゃないですか。

 

そういうときって、ご本人では厳しいときもありますよね?ご家族が対応してましたか?

くまの
母の手続きに関しては、ほぼ家族かなぁ。

 

最初の手続きは父と祖母で、そこからは姉と私にバトンタッチしました。姉と一緒に役所に行って、分からないながらもなんとか手続きしてましたね。

林田さん
手続きをする中で、「ここが面倒だった!」と思ったところってありますか?
くまの
いやぁ、そこまでないかも…?

 

役所に行くことがめんどくさいなとは思いましたけど、手続きは役所の人に聞けば「ここにこれを書いて、これを提出して」って全部教えてくれるから。

林田さん
分からないまま、とりあえず役所に行った方がいい?
くまの
事前に必要なものだけ電話で聞いておけば、後は聞きながら書いていけばなんとかなると思います。

 

国の制度について、ネットで調べるのすごく苦手なんですよ。小さい字で細かく書いてあって分からないし、単語も難しいし。だから、制度のことなら、役所の人にまず聞いちゃう!

林田さん
調べていくうちに分からなくなってしまうこともありますもんね!

 

ミルコさんも、ご家族が手続きしてますか?

ミルコさん
いえ、うちは父本人がすべてやってます。Excelで。
林田さん
そうなんですか!すごい!
ミルコさん
まぁ、計算はほぼ間違ってるんですけどね(笑)

 

私はつい自分でやりたくなるんですけど、それは母に止められたので。できるだけ父にやってもらうようにしています。

林田さん
お母さまは、どうして止めるんですか?
ミルコさん
父にやってもらうことが、リハビリの一環になると言ってましたね。

 

再発を繰り返しているので、確かに認知機能は落ちていると思います。適度に計算に触れることで、脳をトレーニングできたらなぁと。

 

情報収集でおすすめの方法ってある?

林田さん
病気や病院のことを調べるときに、どんな方法で調べてますか?
ミルコさん
病院は、ネットで探したことはないですね。予約が取れる、家から近いところに行きます。

 

調べても、おすすめの星が付いているわけでもないし、食べログみたいな評価サイトがあるわけでもないから、結局行かないと分からないんですよね。

くまの
私も、病院は調べたことないです。緊急入院するときは、受け入れてもらえるところに入るだけだし。

 

遠くの病院になってしまって、片道1時間以上かけて面会に行っていた時期もありました。

林田さん
病気のことも、あまりネットでは調べないですか?
ミルコさん
調べないです。
くまの
私も調べない。
林田さん
お二人とも調べない派なんですね!それはどうしてですか?
ミルコさん
昔は、調べたこともあったんです。でも、信憑性のある記事を見つけることが大変で。なにが本当で、なにが根拠がない情報なのか探すのが一苦労なんですよね。

 

私は専門医の先生が書いている、当事者研究をした本を読むことが多かったです。

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林田さん
確かに、ネットは根拠のない情報もたくさんありますもんね…。

 

くまのさんは、最初からネットでは調べなかったですか?

くまの
いや、私もまずは調べました。でも、調べても「統合失調症は治りません」と書いてある記事と、「統合失調症は完治します」と書いてある記事が並んで表示されていたりして…。

 

専門的な知識も自分にないから、正しい情報を選択することができなかったんですよね。だから、ネットで調べることはしなくなりました。

林田さん
今は、どんな方法で情報収集してますか?
くまの
やっぱり、人に聞くことが多いです。救護施設の方に相談したり。

 

あとは、当事者の方が書いているコミックエッセイを読むこともあります。

ミルコさん
あぁ~~、確かに、私も読みます。
くまの
分かりやすいですよね!

 

統合失調症の方が書いたエッセイもあって、読むと「この症状が出ているときは、こんな気持ちになってたのか!」って参考になるんです。

林田さん
ネットで調べた記事より、コミックエッセイの方が受け入れられるのはどうしてですか?
くまの
コミックエッセイは、個人の体験談として書かれているので、母と重ねるも重ねないも私の自由なんです。だから楽。

 

ネットの記事は、「統合失調症はこういう病気で、こんな薬が必要で、改善するにはこうで」と専門的に書いてあるのに、情報元が分からないところもあって…。読んでいると不安になることも多かったんです。

ミルコさん
コミックエッセイってひとつのケースではあるけど、個人にフォーカスを当てて深くまで書いているのがいいですよね。

 

活字だと読んでいて苦しくなることもあったから、ポップな感じでまとめてくれているのが読みやすいです。

林田さん
エッセイで得た知識を、ご家族と接するときに役立てることもありますか?
くまの
なんだろ、待つようになったかな?
林田さん
「待つ」?
くまの
母の症状が出ているときに、理解できなかったときは否定してしまうこともあったんです。「虫なんて飛んでないから!」とか。

 

でも、他の方の体験を知ることで、母もこんな気持ちだったのかなと考えるようになって。すぐに否定しないようになりました。

ミルコさん
とりあえず、一度受け止めてみるのって大切ですよね。

 

いろいろと情報収集をして症状を知ることができたからこそ、受け入れることができる気がします。知らないと、やっぱり否定してしまうこともあると思うから。

林田さん
なるほど…。情報収集をするからこそ、柔軟に対応できるようになるのかもしれないですね。コミックエッセイ、読んでみたくなりました。

 

今回もいろいろなお話を伺えてよかったです!ありがとうございました!

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(左から)くまの、ミルコさん、進行役の林田さん。120分の座談会、今回もあっという間に終了しました。そして、なんと第3回目の計画が進行中です!どうぞお楽しみに!

病院への不信感、親戚との対立、根拠のない情報への疑問。精神疾患と診断されたご本人以外のところで、いろいろな衝突が起きることも残念ながら少なくありません。

 

物事と真っ向から向き合わないのも、自分の心を守るひとつの方法なのかもしれません。意味のない議論を避ける、ときにはくまの〇ーさんに。「はちみつ食べたいなぁ~」の精神で、今日も無理せずいきましょう!

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くまのなな

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年10月9日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。

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