「ツレがうつになりまして」と普通に言える社会に【林晋吾さん Part4】

2016.12.06公開 2017.08.08更新
 
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「もう二度と使うか」

ワークショップに参加されたご家族から、ソーシャルサポートと呼ばれるような相談機関や制度などへの不満は結構ありました。

 

みんな軒並み使っていなかったりするのですが、それには、そもそもソーシャルサポートの存在を知らないという問題があります。

 

また、ソーシャルサポートを利用しようと思ったけれど、途中で分からなくなったり、面倒になって止めちゃったり、実際に利用してみたけれども、思うような結果が得られなかったという話はよく聞きます。

 

あとは、電話はかけたけれど、「予約が1カ月後ですよ」とか言われたり、そもそも全然電話がつながらないところもあったみたいです。そうなると「もう二度と使うか」って普通だったら思いますよね。

 

やっぱり、自分だけで調べようとしても、どこに何があるか分からず、理解できない部分が出てくると思います。

 

だからこそ、ご家族同士が集まって、ソーシャルサポートを利用したことある人の話をまず聞いてみるということは、結構役に立つのではないかと思っています。

 

 

みんなで出来ることを増やしていく

例えば、診察に家族が同席しても、なかなか聞きたいことが聞けないとかということがあると思います。

 

ただ、そうなったからといって、「セカンドオピニオンないかな」と別の病院を探すことは、必ずしも本質的な解決になってないこともあります。

 

せっかく、病院を変えたところで、今の病院で起こっている問題と同じようなことが起こる可能性は否定できないからです。

 

やっぱり、一番患者の状況を知っているのは目の前にいるお医者さんであることが多いと思うんです。

 

そこで、もし主治医とコミュニケーションをうまくできないのであれば、まずはコミュニケーションをするためのツールであったり、方法を変えることを考えたほうがいい場合も多いと思っています。

 

また、主治医のケースと同じように、役所に行って保健師の方と話しても、自分の状況をうまく引き出してもらえなかったり、しゃくし定規に書類だけ渡されても困りますよね。

 

なので、ワークショップを通じて、それぞれのご家族が「今、どこで困っているか」を持ち寄って、解決策を出していくということをやっていきたいなと思っています。

 

問題は、一人で抱えることで、選択肢が狭まっていることが一番だと思うので、まず、リアルな場でつながれるための活動を当面やっていきたいです。

 

ゆくゆくはウェブ上で、家族同士が相談し合えたり、専門家が答えたりするサービスもつくっていきたいなと思っています。

 

 

知らないがゆえの偏見や誤解

精神疾患に対して偏った見方をする人は、絶対一定数いますし、理解できない部分はあって当然だと思います。ただ、「知らないがゆえに」理解が追いついていないことが結構あるなと感じています。

 

実際のところ、「うつ病なんです」と言って、何か拒否反応を示されたり、偏見を持たれることって、思っていた以上に少なかったんです。

 

少なくとも、時間の経過とともに、うつ病に対する理解が進んでいく部分があったのかなとは感じています。

 

いずれにしても僕自身、当事者としての経験を当事者の立場から発信していく意味は、そういった知らないがゆえの偏見や誤解を少しずつ解いていくことにもあると考えています。

 

 

日常を大事にする

今、悩んでいたり、精神疾患に向き合っている人たちに言えることとして、一つは「焦らない」ということ、もう一つは「日常を大事にする」ということなのかなと思います。

 

自分の状態がすごく悪くても近くにいてくれる人や、小さなことでも自分のできることを大事にしてほしいかなと思います。

 

そうやって、日常としっかり向き合っていくことが、意外と先につながっていくような気がしています。

 

僕の場合、ひどい時は、シャワーとか浴びるのもしんどくなるくらい動けなくなったことがありました。

 

それでも、「歯磨きぐらいはやってみようかな」という感じで、目の前にあることをおろそかにしないというか、つらいからこそ、丁寧にできることをまずやるということは、意外と大事なんじゃないかなと思います。

 

 

母親への想い

周りにいる人を大事にするという意味で、僕が一番変わったのは、特に母親への接し方や見方です。

 

母親への接し方や見方って、イケイケの頃はあまり大事にしてなかったですし、今も乱暴っちゃ乱暴なんですけど(笑)。

 

ただ、自分がどうしようもない状況であったとしても、母親はやっぱり母親で、母親の存在が自分はすごく支えになっている部分はありました。

 

そういう、普段当たり前にあることを大事にするというのは、あとあと振り返ってもよかったなと思いますね。

 

 

「ツレがうつになりまして」と普通に言える社会に

現在の活動を続けていく中で、「ツレがうつになりまして」と言うことが特別じゃないことになればいいなと思います。

 

うつ病になったことを喫茶店で話して、「そうか、そうか」「難しいよね」「分かるよ」とかっていう会話が気軽にできるようになったらいいですよね。

 

僕と同じような経験をしている人たちが、再発したり、症状が重くなったとしても、安心して毎日を送れるようになるためにも、当事者の周りにいる人が、相談できる相手や、サポートしてもらえる環境と繋がれることが大切になってくると思っています。

 

周囲にいる身近な人たちのサポートの力って、やっぱりすごく大きいんです。

 

だからこそ、現在の活動を通じて、支える家族の人たちが孤立せず、色んな情報や知識を共有し合ったり、相談できる環境をつくることで、うつ病を乗り越えていけるようになればいいなと思っています。

 

 

林晋吾さん全インタビュー

【Part1】パニック障害とうつ病をサラリーマン時代に併発

【Part2】家族、同僚、医者と接する中で気づいた病気の受け止め方

【Part3】うつ病と向き合う家族がストレスを解消するには?

【Part4】「ツレがうつになりまして」と普通に言える社会に

 

 

林さんの活動を応援しませんか?

「ご家族がうつ病になった人たち」が集まるワークショップを定期的に開催するために、現在クラウドファンディング挑戦中です。詳しくは以下のページをご覧ください。

 

「ご家族がうつ病になった人たち」が支え合うコミュニティ『encourage』

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

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