2年間のひきこもり生活とウソ【成澤俊輔さんPart2】

2017.01.15公開 2017.04.24更新
 
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大学での福祉ボランティア

通っていた埼玉県立大学は、県立大学でも一応、日本福祉のトップ5の大学ではあるんですけど、それでも僕の中では受験に失敗したと思っていました

 

大学入った時、周りのみんなのことをバカにしていたんですよ。「この人たちと一緒じゃないし」と思って。

 

社会福祉士と精神保健福祉士と、あと介護福祉士の資格を取って卒業するよ、この人たちと違うからと思っていました。

 

そこでまず、福祉のボランティアを始めました。ALS(筋萎縮性側索硬化症)っていう、体の筋肉が動かなくなっていく難病の人のボランティアに行ったんですよ。

 

そして、そのALSの人とお会いしたのですが、まばたきしかできないんですね。

 

ボランティアみんなで、体拭いたり、お手洗いのお手伝いをしていたのですが、直感的に「これはできない」と思ってしまったんです。

 

そもそも、僕ができる仕事は、相談業務のようなものだと思っていたということもありましたが、人の生き死に関わることなんて受け止められないと思ったんです。

 

ちょうど、福祉とは全く異なる分野でインターンシップをやり始めていたこともあって、ALSのボランティアをきっかけに、福祉から逃げていくみたいな感覚でした。

 

 

自分がケアを受けている現実

あと大学時代に、一人暮らししていたんですが、家でも目が見えないことで不自由することもあったので、家事を手伝ってくれるヘルパーさんをお願いしたんです。

 

週2回、ヘルパーさんに来てもらうことにして、買い物を代わりに行ってもらったり、掃除してもらいました。

 

それである日、ヘルパーさんがお手伝い中に自分の携帯にかかってきた電話に出て一言、

 

「ごめんなさい、今ケア中だから」って言っているのが聞こえて。その時、「ケア?」とよくわからなくなったんです。

 

大学でケアの勉強している俺がケア受けている…その現実がすごく嫌になって、ヘルパーをすぐに辞めたんですよ。

 

20代ノリノリで、やっと一人暮らし始まって、そんな時に、なんで僕が支援を受けなきゃいけないんだと。すごくプライドが傷つきました。

 

そういうことがあったりしたので、僕が人生で初めてお金を頂いた個別指導の塾でバイトする時も、自分の障害のことは全部隠してやってました。

 

 

個別指導塾で人気講師に

個別指導の塾でのアルバイトが初めてのアルバイトでしたが、週3日くらいのペースで、小学校3年生から高校3年生まで見ていました。

 

その頃は、塾には来れる不登校の子どもを預かったりとか、親がいない子どもを預かることが多かったですね。

 

ただ、目が見えないので、生徒が書いた内容を声に出してもらったり、工夫しながら勉強を教えていました。

 

ゲーム形式で生徒と接していたことがかえってウケて、当時は人気講師だったと思います。

 

あと、講師用のファイルとか棚に並んでいるんですが、自分のファイルがどれか全然分からなくて(笑)

 

なので毎回、誰かに取ってもらったりして、ごまかしごまかしでやっていました。

 

講師のアルバイトでは、みんなが僕のことを必要としてくれて、結構嬉しかったですね。年末になると、生徒のお母さんから「ありがとう、先生」ってポロシャツもらったりしました。

 

 

成績が悪化。2年間のひきこもりに

大学生活のある時期から成績が悪くなっていました。今までは、ノリや雰囲気で乗り切れて来たので、どう周りに頼ったらいいかがわからずにいました。

 

それで、「明日行こう、明日行こう」って思っていたら、学校に2年間行ってなかったんですよ。

 

ひきこもり期間中は、結構大変でした。

 

ひきこもりのことを誰にも言ってなかったので、何も知らない友達が、ピンポーンって僕の家に迎えに来るんですね。部屋から出ようと思っても出れませんでした。

 

「なんで、ひきこもってたの?」って怒られるかなって思っていたり、「体調悪かったの?」って言われても、別に体調悪いっていうことではないしなぁ…と思って、迎えに来た友達と上手く話せる自信がありませんでした。

 

友達が家にきて、僕が扉を開ければ、1年や2年のひきこもりの期間がクリアになるとわかっていても、それができなかったですね。

 

すごく困りながらも、ずるずるとひきこもり生活が続いて、人生で初めて折り合いが上手くつかず、判断もできずに、2年間のひきこもるようになっていました。

 

 

2年間、嘘をつき通す

実家には、盆暮れに帰っていましたし、親とは毎週のように、電話で連絡を取っていたんです。

 

ただ、ひきこもりのことは伝えていませんでしたから、

 

「そろそろテスト期間中だよ」

「就職活動、結構大変だよ」

「卒業論文忙しいよねー」

 

って話を合わせながら、2年間嘘ついてたんですよ。

 

だって、優等生でずっと来ていたのに、目が見えなくて留年なんてしたら、捨てられると思ってたんで。優等生だった頃とのギャップで苦しんでいましたね。

 

「こんなはずじゃねぇのに」とか、「周りに求められるレベルと俺のレベルが違う」とか。

 

多分、精神障害やうつって、そういった現状と理想の間にあるギャップから作られるところが往々にしてあるのかなとも思っています。

 

 

お前もスーパーマンじゃなかったんだな

そうこうしていたら、ある国家試験を受ける日まで来てしまいました。

 

その朝方、「今日、国家試験頑張ってね」って弟からメール来ていて、「どうしよう、俺家にいるけどね」って思いながらも、その一日、反省文考えていました。「裏切ってごめんなさい」って。

 

でも、僕は嘘つきなんで、「ごめんなさい、学校に1年行ってませんでした」と言ってしまったんです。

 

「2年」って言うとびっくりするかなと思って、1年で復学して2年分をリカバリーしようと思ってたんですよ。

 

それで、「1年間、学校を休んでました」と言いました。

 

「授業ちゃんと行ってないって言い出せなくて…」と親父にも伝えたら、その国家試験の試験時間が終わった頃に、「お前もスーパーマンじゃなかったな」と。

 

その時、「失敗してもいいんだな」って思いましたね。

 

それがきっかけで、心の片隅に「これで大学卒業できるんじゃないかな」って思えるようになって、ひきこもりから抜け出せるようになった感じだったでしょうか。

 

 

また嘘をつくかもしれないから

2年間、嘘ついて生きていくって相当辛いですよ。

 

ひきこもりで学校に行っていない間、「今日は、授業早く終わったんだ」とか、「今日、休講だったから」みたいな感じで、恋人や友達や親など全員と連絡を取っていましたからね。

 

しかも、その頃、学校に行っている感じでブログも書いてました。心配かけちゃダメだなって思って。

 

「また嘘つくんじゃないかな」っていつも思ってるんです。だから、僕が逃げないように、みんなに外堀を埋めてほしいんですよ。

 

僕、また逃げちゃうかもしれないし、また嘘ついちゃうかもしれないから。そこはいつも思います。いつ嘘つくかなっていうような恐怖感はありますね。

 

続きは、第3章へ

 

 

成澤俊輔さん全インタビュー

【Part1】世界一明るい視覚障害者の原点とは?

【Part2】2年間のひきこもり生活とウソ

【Part3】人のために初めてエネルギーを注いだこと

【Part4】FDAは「大丈夫だよ」を発信し続ける場所

 

 

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また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

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