FDAは「大丈夫だよ」を発信し続ける場所【成澤俊輔さんPart4】

2017.01.17公開 2017.04.24更新
 
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成澤俊輔を守ってくれるもの

理事長になって、色んなことをすごく悩みますよ。

 

一番思ったのは、「誰かに守られたい」ということですね。誰か俺を守ってくれよと(笑)。

 

でも、もうそれには答えが出ていて、僕を守ってくれるのは、会社の理念や僕の使命かなって。

 

そもそも人って、誰もが使命を持っていると思うんです。色んな考え方ができますが、僕らの「名前」こそ、使命とか理念になりうると思っています。

 

名前は、誰もが立ち返れるものですし、両親がどんな子になってほしいかなって思いを馳せながら、名前ってつけられていると思うので。

 

僕の名前でいうと、父方のおじいちゃんの名前から一文字をもらっていますが、俊輔という名前に込められたものにはなるべく沿って生きていきたいですね。

 

 

成澤俊輔の時間は皆のもの

毎日のほとんどの時間を使って、人に会っています。デスクの前で事務仕事というのは、一切やらないです。

 

そんな時間があったら、人に会うことを優先したいですね。ちなみに、このインタビューの前日まで、広島・大阪・山形と講演でツアーにまわっていました。

 

僕のことを頼ってくれているのが嬉しいですし、なるべく人のために会いたいなと。僕の時間は僕の時間だけではなく、みなさんのための時間でもあるので。

 

どんな人でも「会いたい」って言ってくれれば会うようにしていますし、そうありたいなと思い続けています。

 

 

「今、泣いてるんですけど…」

夜の会食は基本的にお断りしているので、毎日20時前後くらいには家に帰ります。

 

365日中350日くらい、嫁さんと晩御飯を食べます。僕はなるべく嫁さんといるようにしているのですが、夜もやっぱり、色々と電話がかかってくるんです。

 

特に、FDAの利用者さんから、

 

「今、父と喧嘩しているんで間に入ってください」

「今、幻聴が聞こえているんですけど」

 

みたいな感じで、毎晩のように誰かから電話が来ていますね。

 

「いつでも連絡してきていいよ」って言っていることもあり、本当に遠慮なく連絡が来ます(笑)。

 

こないだも「今、泣いてるんですけど、話聞いてもらってもいいですか」みたいな電話が来たので、「全然、いいぜ」ってじっくり話を聞いていました。

 

 

メンバーに合った仕事を見つける

普通は、すでに業務があって人を雇うと思うんですけど、「この業務で雇ってあげるよ」みたいなスタンスって、なんだか偉そうな話だなとも感じています。

 

FDAの場合、メンバーを受け入れて、その人達に合った仕事を見つけてくるようにしています。

 

そのため、メンバーそれぞれともじっくり話をしているので、100名くらいのメンバーについて「2時間喋れ」って言われたら喋れます。誰よりも、その人たちのこと分かっていなくてはいけませんし。

 

メンバーとの面談では、「俺にできることある?」「お願いごとない?」って聞くようにしています。

 

そうすると、

 

「実はもう少しパソコンの仕事したいです」

「旅館で働くのが夢なので」

 

とか教えてくれるので、1、2週間後に、「やりたいって言ってた仕事見つけてきたよ」みたいな感じのやり取りをしています。

 

 

片手が不自由なメンバーからの贈り物

くも膜下出血で片手が不自由なメンバーがいて、切り絵をやっているんですが、涙の出るような素敵なものなんです。

 

p1240004-20

 

くも膜下出血で指が動きづらくなっているので、リハビリテーションの一環で、切り絵を作ってみたらということで始めたんです。目が見えない僕にも作ってくれるって言ってくれて。

 

作品自体は全然見えないんですけど、すごく時間かけて作ってくれていて、本当に嬉しいですね。いつもオフィスに飾ってあります。

 

 

色んな人、色んな障害

FDAの特徴としては、当事者のメンバーやその家族としっかり向き合って、積極的にコミュニケーションを取っていることでしょうか。

 

実際、メンバー本人はもちろん、そのご家族にも、どんな仕事が向いているか、どんな経験させたいかを2ヶ月に1回ぐらいのペースで会話しています。

 

あとは、10代後半から60代前後まで色んな人がいることです。

 

社会には色んな人がいるのに、訓練所は色んな人はいない…みたいなことにはしたくないなと。同じような人ばかりが集まってしまうと、メンバー同士で比べるようになっちゃうんです。

 

他のメンバーと比べてしまうと、「やっぱり、自分は生き残っていけない」ってすねちゃうんで。

 

FDAには、色んな人、色んな障害、色んなキャリアたちがいるので、比べる相手がいないことも魅力のひとつです。

 

実際に、ドロップアウトする人もほとんどいません。あとは、やっぱりメンバーさんにやってもらう、実習や仕事の種類がいっぱいあることも特徴の一つですね。

 

 

FDAのこれからのこと

目標を立てるっていうのが苦手なんです。僕らって、毎日生きることで手一杯なんですよね。

 

僕の病状だって、どうなっているかわからないですし。目標を設定したところで、メンバーもあまりピンと来ないような感じです。

 

1年後2年後3年後、そんなの知るかいって(笑)。今が一番大事なんです。

 

僕自身、「繋がり」を作ることが最大のテーマなので、就業困難な人でも、その人に合った仕事と繋がって、人生が少しでも豊かになるような取り組みをいっぱいやり続けていきたいなと思っています。

 

そのために、一つの取組みとして、土曜日もFDAの施設を開けて、イベントをやっているんですよ。みんなで洒落た盆栽作ったり、みんなでぬいぐるみ作ったり。

 

「平日はFDAに来られても、土日に居場所が無い」ってメンバーが多くて始めた取り組みです。

 

土日、家に引きこもっていると親に怒られるし、趣味サークルにでも入っている訳でもない…。

 

毎週末、ファミレスに行って、ドリンクバーで漫画読んでいてもお金かかるし、やっぱり土日に行く場所が無いと。

 

じゃあ、週末でも繋がれる場をFDAで作ろうと始まりました。

 

週が明けて、メンバー同士が「土日何やってたの?」「みんなでご飯作って楽しかったよ」なんて会話を聞いた時は嬉しいですよ。

 

仕事以外でも、その人の人生を豊かにしていけたら良いなあって思いますね。

 

 

「大丈夫だよ」を発信する場所

僕は、僕が出会いたかった人になりたいと思っているんです。

 

高校時代、誰も僕に生き方とか働き方を教えてくれなかった。

 

「点字、覚えると良いよ」とか言うけども、光を失うか失わないか、働けるのか働けないのかという大事なことは誰も教えてくれませんでした

 

だから、このFDAという組織を、僕のような境遇の人に「大丈夫だよ」ってメッセージを発信できる場所にしていきたいなと思っています。

 

今、NPO法人FDAでは、3つの事業所で、約500名くらいの人がトレーニングを受けてきています。

 

利用者のメンバーの多くは、医療や学校、行政に行っても、どこでも難しいな…となって一番最後に来るのがFDAなので、そういった方たちの支えであり続けたいですね。

 

 

さいごに、お母さんへ

以前、その講演会で200人くらいの前で母親を紹介したんです。

 

そしたら、おかんが、

 

「やっと、人前でこうやって病気について語れるようになれました」

「今はすごい仕事をしてくれて嬉しいです」

 

って言ってくれて、少しは親孝行が出来ているのかなとは思います。

 

これから、おかんにしたいこと…なんですかね。これは授かりものですけど、「子供」ですかね。

 

子供が生まれるかどうかで、人生を変えられそうな気もするので、ちょっと楽しみにしているところありますかね。

 

あとは、特別なことをするというよりかは、日頃のちょっとした会話で笑顔を一つでも増やしていくことで、恩返しができればと思っています。

 

(成澤俊輔さんインタビュー完)

 

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PHOTO by 齋藤郁絵

 

 

成澤俊輔さん全インタビュー

【Part1】世界一明るい視覚障害者の原点とは?

【Part2】2年間のひきこもり生活とウソ

【Part3】人のために初めてエネルギーを注いだこと

【Part4】FDAは「大丈夫だよ」を発信し続ける場所

 

 

FDA説明会&無料体験会

成澤さんが理事長を務めるNPO法人FDAでは、様々な理由で働けない方々へ、就労支援を行っています。

 

・就労トレーニングを一度体験してみたい!

・自分が働けるかどうか自信がない…

 

そんな方向けに、説明会・無料体験会が開催されます。ぜひご検討を。

 

詳しい内容はこちら

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

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