がん患者の家族に必要なケアとは?がん専門看護師&相談員が解説

2016.12.24公開
 
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大切な家族ががんになった時、家族全体が大きく揺れ動くことがあります。治るがんが増えてきたといっても、日本人の死亡原因第一位であるがんにかかることは、本人も家族も精神的な動揺だけでなく、経済的問題・介護やケア負担・家族役割の変化などを伴うことになります。

 

そこで今回は、家族ががんにかかった家族にできるケアと、がん患者の家族として必要となるケアについてご説明します。

 

 

がん患者に対する家族ができるケアとは?

まずは、がんにかかった家族に対するケアについてご説明します。

 

 

「がん患者」という特別な目で見ない

がん患者さんが傷つくことは、自分ががんにかかったことで特別視されることです。

 

がんにかかったことで、変に気を使われたり、隠し事をされたりすることで、さらに自分ががんであることを再認識してしまうようです。

 

治療による副作用や、体調の変化によってできないことはあっても、それ以外は今まで通りの家族の一員として接することが、家族にできるケアの一つになります。

 

 

唯一弱音の吐けるのは家族だけ

家族は、患者さんの元気がないときに元気づけようと「しっかり」と励ましたり、治療中の揺れ動く心に対して「がんばれ」と言ってしまったりしまいがちです。

 

ですが、患者さんがつらい思いをいえるのは、実は家族の前だけのことが多いのです。医療者の前ではあえて元気なふりをし、知人などには病名を伏せて仕事をしている方も多く、唯一弱音の吐けるのは家族だけ。

 

だからこそ、「しんどい」「つらい」という感情を患者である家族が吐き出したときは、そのつらさに理解を示し、受け止めることも家族にできるケアになります。

 

患者さんは、気の利いたセリフを期待しているのではなく、ただ、そばにいてくれるだけでも心が慰められることが多いのです。気持ちを受け止める、弱音を否定しないことを心がけて下さい。

 

 

これからのことを話あうことから逃げない

一般的に、がんにかかることは、やはり「死」を意識し、想像していた未来が揺らぐ体験をすることでもあります。そのため、患者さんから将来の不安や、死についての会話が聞かれることが増えます。

 

死を意識した話や、未来の準備について、「縁起でもない」と避けようする家族の方もいます。

 

ですが、病気になることで、改めて家族の未来を考える機会を得ることができたと考え、話を避けるのではなく、お互いの思いを確認しあう時間を持つことも、家族だからできるケアになります。

 

将来どう生きたいのか、どんな治療を受けたいのか、どこで最後を過ごしたいのかなどを、家族全員で共有しあうことは、とても大切なことです。

 

思う通りにならないことが、病気になると増えます。ですが、お互いが「これは願いをかなえてあげられた」「伝えたことで気持ちが楽になった」という体験を得ることは、患者さんだけでなく、その家族にとっても、心の拠り所になるケアになります。

 

 

環境を整える、生活を整える

今のがん医療は、外来通院が中心です。そのため、がん治療の副作用を抱えて過ごす場所も主に自宅になります。

 

がん治療の副作用を抑えるお薬や対処法は、徐々に改善しています。ですが、手術・抗がん剤・放射線治療によって生じる副作用や後遺症はゼロにできることはありません。そ

 

のつらさを軽減するために家族ができるケアは、環境を整えることや、生活を整えることになります。

 

例えば、乳がんの手術を行った後は、患側の腕を使うことがつらいことが多いのです。そのため、洗濯物や家事の負担を軽減できる工夫を一緒に考えることも環境を整える一つの方法です。

 

また、食事のサポートや、生活のリズムを作ることも、家族ができるケアになります。抗がん剤治療を行った後は、食欲が低下することが多くなりますが、その時「体力が落ちるから食べて」と無理に食事を勧めることは、患者さんの負担になることがあります。

 

ですが、家族の食事なら少しずつ食べられるという患者さんも多いのも事実です。何が食べられて、何を食べると気分が悪くなるのかを把握して、体調に合わせて水分量や食事量を増やしていくことは、家族ができるケアの一つです。

 

今まで通りに起きて、食事を食べて、入浴をして、寝るという生活サイクルを守ることも、家族ができるケアになります。

 

病人としてではなく、家族の一員として、家族時間の中で過ごすこと、それは、家族だからできる大切なケアです。

 

 

家族に必要なケアとは?

今までは、家族が患者さんにできるケアについて説明してきました。ですが、がん患者さんの家族は、「第二の患者」といわれるほど、心身共にストレスを感じている存在でもあります。

 

ここからは、家族が受けてほしいケアについてご説明します。

 

 

自分の生活を大切にする

家族の方ががんと診断されることで、家族のバランスが大きく崩れることがあります。

 

私の知っている人は、旦那さんががんと告知され治療しなければ予後半年程度と言われたことで、奥さんも仕事を辞めてしまった方がいます。ですが、治療効果があり、1年以上治療を継続することとなり、今度は経済的な不安が先に立つようになってしまったのです。

 

ご家族の中には、本人以上に「がん」という言葉に反応し、自分の生活スタイルを変化させてしまい、そのことで精神的に不安定になる方がいます。

 

ですが、今のがん治療は、数年から十数年治療や外来通院をする可能性があります。大切な家族の一大事であっても、そのことに大きく振り回されずに自分の生活を守ることも、自分自身のケアになります。

 

 

辛さを聞いてくれる相手を作る

今は、本人にがんを伝える時代です。そのため、家族はある程度病状が進行するまで、主治医と接することなく過ごすことになります。ですが、がんが進行し、本人だけに病状を伝えることを避ける時期が来た時、治療の意思決定がご家族にシフトすることがあります。

 

その時、家族は、本人のつらさを受け止めながら、家族を失うつらさを抱え込むことになります。大切な人のつらい意思決定を行うことは、心のバランスを失いやすくなりますし、同時に介護の負担もかかることもあります。

 

そんな時、あなたを支えるサポーターを作ることが、とても大切なことです。例えば自分の兄弟姉妹であったり、独立した子供であったり、心を許せる友人などに、自分のつらさを吐き出すことが、家族であるあなたの気持ちを支えることになります。

 

身内や友人に心配をかけたくない…と思う時には、病院などのがんサロンや患者会に参加することも良い方法です。同じ辛さを受け止めてくれる相手と話すことは、何よりも癒される時間になります。

 

 

心の専門家の支援を受ける

がん患者さんのご家族は、患者さんのつらさを前に“辛いのは自分じゃない”と思い、自分のつらい気持ちに蓋をしてしまいがちです。

 

ですが、その気持ちを我慢することで、ご家族自身が不眠や食欲不振、頭痛などの身体症状に悩まされることが多いのです。

 

家族のことが心配で眠れない、将来のことを考えると不安になる、家族に対して何もしてあげられない…そんな思いを抱えてしまったときには、心の専門家の支援を受けることがご家族に必要なケアになります。

 

いつも気持ちが晴れない、今までのように笑うことができない、そんな気持ちの時は、自分を責めずに心の専門家を受診して、あなたの思いを吐き出してください。

 

 

まとめ

家族ががんにかかった家族にできるケアと、がん患者の家族として必要となるケアについて説明してきました。

 

大切なことは、家族自身もがんについて理解することと、自分自身をサポートしてくれる誰かを見つけることです。一人で考え込む前に、がん相談支援センターがあります。お気軽に頼ってくださいね!

 

 

【執筆者】

村松真実 看護師・心理相談員

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