ゲイをカミングアウト…周囲の反応とは?【鈴木茂義さん Part2】

2017.01.29公開 2017.05.18更新
 
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LGBTと向き合う小学校の先生、鈴木茂義さん。第2章では、性についてカミングアウトした経緯やその時の率直な思いについて伺いました。

 

 

ゲイのカミングアウト前

中学生のときに、ある若い理科の男の先生がいました。

 

その先生がとても熱心で、担任の先生にはなったことはないのですが、親身になって私の話を聞いてくれたんです。私の家庭の状況だったり、進路についてだったり、いろいろと受け止めてくれて。

 

その先生にも性のことについては、何回も相談しようとはしました。けれど、当時はやっぱり言葉が出ませんでした。どう思われるか、すごく怖かったですね。

 

ただ、その先生と出会ってから、「こういう風に子どもを育てられる職業っていいな」という、先生に対する良いイメージが持てました。だから、将来なるとしたら教員しかないと。

 

そこで、大学は埼玉にある教員養成系の私立大学に進学しました。圧倒的に女子のほうが多くて、7:3くらいの割合でした。

 

私の専門は、特別支援や障がい児教育だったのですが、同級生が18人いて男子は3人。女の子とは普通に接することができていたので、それで余計に女の子と遊ぶ方が上手になっていきましたね。

 

 

ゲイ向け雑誌の衝撃と確信

高校までは外界からの情報が全く入ってこなかったんですけど、大学に入ってから、初めて書店でゲイ向けの雑誌を見つけたんです。それがすごく衝撃的で、その日は怖くて買えなかったです。

 

でも、やっぱり気になって、次の日また書店に行って、こそこそしながら買ってダッシュで家に帰って見たら、「ああ、これか」と。自分も間違いないと確信しました。

 

雑誌を通して、文通みたいなのもできるんです。いろいろな人のプロフィールが載っていて、何となく自分が気になった番号の人に、編集部宛てにメッセージを出すんです。

 

それで手紙を書く。そうすると、編集部が回送してくれるんです。ゲイ同士の出会いの場をつくってくれるというシステムですね。私もその雑誌の文通で初めて、自分と同じ境遇の人に会いました。

 

 

「おめでとう、気付いたね」

ゲイ雑誌と出会って、何だか腑に落ちたというか、今まで自分が悶々としてきた部分はやっぱりここだったかという、最終確認というか。

 

「おめでとう、気付いたね」みたいな、そんな感じだったでしたね。

 

でも、そういう世界の人たちと会うことに対する怖さもあって。いろんな思いがありながらも、勇気を出して文通をしてみたら、やっぱり、同じ境遇の人に会えてうれしかったですね。

 

その反面、これからどうなるんだという不安もありましたが。

 

 

ゲイを受け入れる覚悟

ちょうど同じような時期に、友達に紹介されて、大学の学科の後輩の女の子と付き合ったんです。浅草の花屋敷にデートに行ったんですけど、手もつなげませんでした。

 

女の子の方から手をつながれたんですけど、全身に鳥肌が立ってしまって、「本当に女の子が無理なんだ」という出来事もあって…。

 

女性に対して、心の部分で好きになることは全然あるんですけれども、身体の部分で、女性を受け入れることができないんです。ずっと。今でもそれはあります。

 

女の子を身体が受け付けないと気づいた時に、遂にもう自分の「ゲイ」の部分を受け入れざるを得ない、覚悟を決めないといけないなと確信しました。

 

 

ゲイをカミングアウト

長年、悶々としていた性の部分が、確信に変わってスッキリはしました。

 

それと同時に、小学校からずっと言えなかった、性のことをそろそろアウトプットしたい、誰かに聞いてほしい、誰かからフィードバックしてほしいという気持ちがどんどん強くなってきたんです。

 

それで、大学3年生ぐらいのときに、初めて同じ学科の同級生の女の子に、「実はゲイなんだ」と、ついにカミングアウトしました。

 

 

「別に、あなたが変わるわけじゃない」

カミングアウトしたその女の子はとても仲のいい子で、いまだに付き合いがあって、もう20年ぐらいの付き合いになります。

 

その子とは、青春18きっぷというフリー切符を使って、東京から北海道まで旅行したりもする仲でした。男と女だけれども、間違いの起こる関係じゃないから旅行しよう、みたいな感じで、新宿駅で出発の時間を待つためにお茶をしていたんです。そこで、カミングアウトしました。

 

まさか、私がゲイだなんて微塵も感じていなかったようで、カミングアウトしたときは、すごくびっくりしていましたね。でも、それは最初の何分かだけで、その後は、「別にいいんじゃない」って言ってくれたんです。

 

その言葉と態度でとても安心したのを覚えています。「別に、あなたが変わるわけじゃないから、まあ、いいんじゃない」と。

 

そのカミングアウトがきっかけで、お互い相手の懐にさらに踏み込んで、旅行ができたのでとても良い思い出です。

 

 

身近な人にもゲイをカミングアウト

ゲイのカミングアウトのきっかけは、「覚悟ができたから」だと思います。

 

大学に入って、人間関係がかなり広がったのですが、その中で自分を理解してくれそうな人は誰かな、カミングアウトしたときに、僕を傷つけないで受け止めてくれる人は誰かな、というのをずっと思っていて。

 

本当のことを伝えられるチャンスとタイミングをずっと探っていたんです。

 

一番仲が良い女の子に伝えられたことで勢いがついたので、今度は仲の良い同級生、サークルの後輩、あとはサークルの後輩から紹介された大学の教授など、自分の身近なところから、カミングアウトをしていきました。

 

 

ゲイをカミングアウトしたら喜んでくれた

大学の後輩にカミングアウトしたときに、すごくびっくりされたんですけども、同時にすごく喜んでくれたんです。

 

その大学の後輩たちは、僕に紹介したい大学の先生がいると言って、ジェンダー論を専門とする大学の教授を紹介してくれました。

 

その人と飲みに行く機会をつくってくれて、その教授にも、「実はゲイなんです」とカミングアウトして、いろいろな話をしました。

 

そのときに、その大学の教授が、「私は今までいろんなゲイとかレズビアンの人に会ってきたけども、あなたぐらい楽観的に生きている人は初めて見た」という風に言うんです。それがすごくうれしくて。

 

あんなに思い悩んでいた割には、人の目には楽観的だとに映ることもあるんだと思ったら、とても救われました。

 

「やっぱりこのままで大丈夫なんだな」と。

 

 

自分の生き方が肯定されたうれしさ

僕のことが、人の目には楽観的だとに映ったのは、悲観的な部分を周りに見せないために、頑張って振る舞っていた結果だと思いますが、それでも自分の生き方が肯定されたのはうれしかったですね。

 

先ほどの教授からうれしい言葉をもらえたのは、最初のカミングアウトで大きな皮がむけて、ようやく自分らしく振る舞えてきたタイミングで、自分本来の明るさみたいなものを感じ取ってもらったからなのかもしれないですね。

 

その教授は、ゲイの方とかレズビアンの方は、なかなかあっけらかんとカミングアウトできないのだと仰りました。確かに私にも壁はありましたが、それよりも自分を分かってほしいという気持ちのほうが勝ってしまったんですね。

 

カミングアウトは、高い壁だったけれども、これは自分が生きていく上で、必ず超えなければいけないものだろうなという意識があったからこそ、カミングアウトができたのだと思います。

 

 

ありのままの自分を取り戻す

ゲイのカミングアウトをしたときの思いとしては、ただただ、自分のことを理解してほしかったですし、「あなたは、そのままで大丈夫だよ」と言ってほしかったんです。

 

周りとの調和を大事にするあまり、自分のありのままの部分を小学生の頃からずっと隠してきました。

 

だから、カミングアウトのたびに、一つずつ、その皮がはがれていくみたいな感覚で。それはありのままの自分を取り戻していくための作業だったんだと思います。

 

 

***********************

自分の中で、性についても確信を持つようになり、勇気を出して身近な人へカミングアウトした鈴木さん。周囲からの反応に勇気づけられる一方で、どうしても受け入れてくれない人の存在もありました。

 

 

続きは、第3章へ

PHOTO by 齋藤郁絵

 

 

鈴木さんのインタビュー

【Part1】LGBTと教育に向き合う小学校の先生の性への葛藤とは?

【Part2】ゲイをカミングアウト…その時の率直な思いや周囲の反応とは?

【Part3】ゲイを告白して激怒された話と素朴な想い

【Part4】いろんな人が世の中にいることをポジティブに伝えたい

 

 

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