就労移行支援とは?対象・支援内容・費用・申請方法・事例を専門家が解説

2017.01.21公開 2017.03.21更新
 
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
2

就労移行支援とは?  

近年では、精神疾患を抱えながらも適切な治療を受け、一般企業に勤務する方も増えています。

 

また、今は勤めていない方でも、それ相応の能力があり、いずれは就職を目指す方もいます。ですが、それには当事者も病気のことをしっかりと理解し、仕事に就くまでのプロセスを整える必要が出てきます。

 

そのような方たちを支えるプログラムを提供するのが「就労移行支援」です。今回は、「就労移行支援」のしくみなどについて詳しく見て行きましょう。

 

 

就労移行支援の対象

65歳未満で、何らかの精神疾患を持ち、いずれ一般企業に就職できる能力や技術を持ってるが、現状では自信がないため、就職のために必要な知識や技能などを学びたいと思っている方。

 

 

就労移行支援の支援内容

一般企業にいずれ就職したい希望を持ち、それが見込まれる方に対して、就職するための必要な知識や技術を専門スタッフとともに訓練するための事業です。

 

例えば、面接の練習や履歴書の書き方、対人コミュニケーションの効果的な取り方などを学びます。また、気になる企業があった場合、そこの職場体験や見学を行ったりなどもサポートしてくれます。

 

また、雇用してくれる企業の開拓や利用者が無事に就労できた後も、必要な相談や助言などを行います。

 

 

就労移行支援の費用

就労移行支援は、障害者サービスの一環に含まれますので、1割負担で利用できます。

 

ただ、世帯所得に応じて、上限額が設けられていますので、収入状況によって負担上限が異なる場合があります。

 

 

就労移行支援の申請方法、利用方法

まずは、主治医に就労移行支援のサービスを受けたい旨を相談してください。精神保健福祉手帳を所持している場合であれば、持参していない場合より手続きが容易になります。

 

手帳を持っていない場合は、手帳を申請するか、主治医にサービスを受ける旨の診断書を記載してもらいましょう。

 

そして、最寄りの市役所(障害福祉課など)に行き、障害福祉サービス支給申請の手続きを行ってください。その後、福祉サービス受給者証が発行されますので、そちらを使い、サービスの利用ができる状態になります。

 

 

就労移行支援の該当する事例

【Aさん40代男性】うつ病

Aさんは、ウェブデザイナーとしてデザイン会社で働いていました。数社の会社で勤務し、キャリアを積んできた彼ですが、ある会社は生産性を特に重視する場所だったため、残業は当たり前。

 

能力が足りないとみなされると減額もあり、「必ず良い作品を作らなくてはならない」というプレッシャーに常に付きまとわれていました。

 

ある日、手掛けていた案件のアイディアがなかなかまとまらず、取引先のクライエントから受注を取り消されたことをきっかけに、気分の落ち込みや不眠、焦燥感で押しつぶされそうになり、出勤することもできなくなりました。

 

仕事から逃れたい一心で、会社を退職。その後、精神科病院を受診するとうつ病と診断され、入院治療を行うことになりました。

 

その後、十分な休養と治療でAさんはみるみる回復し、退院し通院治療を行うことになりました。

 

ですが、健康が戻ってきたことがきっかけで、「早く再就職しなくては」という焦りと仕事への能力が低下しているのではないかという不安もあり、その旨を主治医に相談。

 

そこで主治医より、一般企業に就職したい人を対象に職業訓練などを行ってくれる就労移行支援というサービスがあることを紹介され、ウェブデザイン系の訓練に強い、ある就労移行支援施設に通所することになりました。

 

施設に通い、技術を学ぶことができるので、日中の時間を持て余すこともなく、目標に向って努力しているという自信も生まれ、自分が希望する企業に就職できることを目指しています。

 

 

【Bさん20代女性】社交不安障害

Bさんは、社交不安障害で精神科病院に通院中です。

 

病状には波があり、調子が戻ったなと感じたら、アルバイトを見つけ働き始めることもありましたが、安易に接客業を選ぶことが多かったため、お客さんから少しクレームを付けられると、人が怖くなり病状が悪化し、結局退職するという繰り返しでした。

 

そのせいで、自分に自信がなくなるというのも悩みのひとつとなっていました。その旨を主治医に相談すると、主治医より「就労移行支援サービスを利用してみたらどうか」と提案され、Bさんも興味を持ったため、サービスを利用することとなりました。

 

就労移行支援施設のスタッフは、Bさんの話を聞き、接客業だけではなくて、彼女にもっと適した仕事があるのではないかとアドバイスし、病気の特徴も考慮に入れて、人とあまり関わらなくてもできる仕事を体験してみる、という就労計画を立ててくれました。

 

Bさんは、スタッフとの話の中で自分自身を見つめなおし、工場内の仕分けの仕事の職場体験をしてみることになりました。

 

接客業に就いていたときよりも、ストレスを感じずに済んだので、もうしばらく施設で職業訓練などを行い、よりふさわしい職場に就職できることを目標に頑張っています。

 

 

就労移行支援の注意事項

障害を持っていても、一般企業で働きたいと思う気持ちはとても大切ですが、症状や能力により、就労移行支援サービスが利用できない場合もあります。

 

その際は、その人の障害の程度や能力に合わせた他のサービスもありますので、そちらを検討してみるのも良いかもしれませんね。

 

また、就労移行支援を利用できる期間は、最長2年となっています。

 

 

Misudu Kukita【執筆者】

久木田みすづ 精神保健福祉士 社会福祉士

LINEバナー
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
2

関連記事