就労継続支援A型とは?対象・支援内容・費用・申請方法・事例を社会福祉士が解説

2017.01.22公開 2019.05.16更新

就労継続支援A型の費用

利用料は、基本的に1割負担ですが、本人の収入状況によって異なってきます。

 

また、利用者は就労継続支援A型施設にて給料をもらっているため、その給料から利用料が天引きされるケースも多いです。

 

 

就労継続支援A型の申請方法、利用方法

就労継続支援A型施設を利用したい場合は、まず主治医への相談が必要です。

 

本人の希望と主治医の勧めの意見が合えば、最寄りの市役所(障害福祉課など)へ行き、サービス申請のための手続きを行ってください。

 

その後、福祉サービス受給者証が送られてきますので、その受給者証を持ち、自分が希望する施設に申し込む必要があります。

 

精神障害者福祉手帳を持参している場合は、障害の程度が分かるため、より申請がしやすいですが、持参していない場合でも、主治医からの診断書の提出で利用が認められる場合も多いです。

 

 

就労継続支援A型の該当する事例

【Aさん30代男性】アスペルガー障害

Aさんは、事務の仕事で一般企業に就職したいという希望を持ち、就労移行支援サービスを受けていました。

 

そこで、ワードやエクセル、パワーポイントなどの技術を学び、ある職場に事務としての職場体験を何度かしましたが、場の空気が読めず、一緒に働く方との摩擦が絶えませんでした。

 

技術や能力には問題ありませんでしたが、何回訓練しても、人とのコミュニケーションの面で上手くいかず、訓練期間の限度の2年間を過ぎてしまいました。

 

Aさんは、自分に自信を失くしていましたが、就労支援移行施設のスタッフから、就労継続支援A型のサービスを受けてみてはどうかと勧められ、主治医にも相談し、事務系の仕事に強い、あるA型施設に通所することになりました。

 

アスペルガーという障害の特徴である、他人とのコミュニケーションが上手くできないということも、A型施設のスタッフは配慮してくれたため、一般企業で職場体験をしているときよりもストレスが減り、のびのびと働くことができるようになりました。

 

一緒に働く仲間に、傷つける言葉をつい吐いてしまうこともありますが、そのたびに指導を受け、自分も言ってはいけない言葉などを学びながら頑張って仕事をしています。

 

 

【Bさん50代女性】統合失調症

Bさんは、長い間、統合失調症の症状が落ち着いており、通院治療を続けながら高齢の母親と暮らしています。

 

生活は障害年金と母親の年金でまかなっていますが、最近母親が足腰を悪くし、病院通いが増えたため、Bさんが母親を心身ともに支えなくてはならないことも多くなりました。

 

また、医療費も以前よりかさむようになったため、今まで母親にお世話にばかりなって、何もできない自分に対して、腹立たしくなっていました。

 

今度は、自分が母親を守りたいと考えるようになったBさんは、金銭的に少しでも支えになりたいと「働きたい」と思うようになりました。

 

ですが、病気を抱えているため、一般企業で勤務することは難しいことも分かっていました。悩み始めたBさんはその旨を主治医に相談。

 

すると主治医が、障害を抱えながら雇用してくれ、その人に合った仕事の訓練も行ってくれる、就労継続支援A型施設というものがあると教えてくれたことで、あるA型施設に通所するようになりました。

 

そこでは、お菓子を箱詰めするという軽作業をすることとなり、初めて本格的な仕事をしたBさんは緊張で体調が悪くなることもありましたが、周りのスタッフや仲間たちに支えられながら、徐々に仕事にも慣れてきています。

 

結果、収入も増え、やっと母親に恩返しをすることができたとBさんは喜んでいます。

 

 

就労継続支援A型の注意事項

就労継続支援A型は、一般企業に就職ができない場合でも利用できることが多いので、障害者自身にとっては、とても助かる場所となり得ます。

 

ですが、どうしても一般企業と比べると、賃金が低くなってしまいます。

 

そのため、1人暮らしの場合は、障害年金などと上手く併用しながら、やりくりをしていく必要が出てくることがあります。

 

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久木田みすづ

精神保健福祉士 社会福祉士

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2017年1月22日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。