子供の貧困問題…貧困の原因や教育現場での対策とは?小学校の先生が解説

2017.01.23公開 2017.01.28更新
 
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朝の8時。私は学校の正門に立ち、登校してくる子供たちと挨拶をします。

 

元気に挨拶をする子、うつむきがちに歩く子、友達と談笑してやってくる子と様々です。

 

「おはようございます!今朝は寒いね。」「いい挨拶だね、○○さん。

 

「□□さん、今日の昼休みに委員会の集まりがあるからよろしくね。」

 

私は「おはようございます」と挨拶をしながら、子供たちの表情、服装、友達関係、しぐさ、体調などをじっくり見ています。

 

「あ、真冬なのに、肌着なしでトレーナーだけで登校している子がいるな。」

 

「あの子は洋服が少し汚れているな。昨日も同じ洋服を着ていたな。」

 

「体や頭の臭いが気になるな。お風呂に入っていないのかな。」と様々なことを見ているのです。

 

 

学校現場で感じる子供の貧困

貧困という言葉を分解して考えると、「貧(まずしい)」「困(こまっている)」。となります。

 

貧しいと聞くと、身なりや生活など、ある程度、目に見えるものが想像されます。しかし、私が本当に気になるのは「心の貧しさ」の方です。

 

生活の貧しさや心の貧しさは、子供の困り感につながっていきます。ただ、「心の貧しさ」は目に見えにくいので、教員は子供たちをじっとよく見ることが必要になります。

 

そのようなことからも、「心の貧困」を防ぐことが何よりも大事なのです。

 

 

心の貧困と自尊感情

生活の貧困は、心の貧困を招きやすい傾向があります。

 

例えば、

 

生活の貧困から、学校で必要な学習用具を揃えることができない

先生や友達から学習用具の貸し借りはあるものの、授業に集中しにくくなる

学習意欲の低下

自尊感情の低下

 

といった流れがあります。また、別の例として、

 

生活の貧困から、家庭での食事の質や回数が落ちる

生活リズムの乱れ

学習意欲の低下

自尊感情の低下へとつながることもあります。

 

子供たちは、学校のほとんどの時間を授業の中で過ごしており、学習意欲の低下は大きな問題となります。授業に集中できなければ、学校やクラスは居心地の悪い場所となります。

 

自尊感情の低下は、「どうせ私なんて」と更なる心の貧困を招くのです。

 

 

心の貧困を未然に防ぐには?

貧困についても、問題が起きてからの事後対応ではなく、問題が起きる前の予防的対応を心掛けたいものです。生活や心の貧困を防ぐ上での3つのポイントをご紹介します。

 

【生活の貧困を防ぐ】就学援助

就学援助とは、生活の厳しい家庭に行政から支援を受けられるサービスです。給食費や修学旅行費の補助が受けられることが多いです。

 

卒業アルバム費を補助してもらえる自治体もあると聞きます。私が以前勤務していた自治体では、新年度である4月に全家庭に就学援助の申請書類を配布していました。

 

【心の貧困を防ぐ】楽しい授業

「先生、今日の授業はとても楽しかった!」「勉強がわかるようになったよ!」と子供から言われることは、教員としてとても嬉しいことです。

 

子供にとっての楽しい授業は、子供の心を大きく満たすことになります。

 

今までたくさんの貧困予備軍の子供たち、貧困の子供たちを見てきましたが、授業に満足している子供は自尊感情が高く、学校や家での生活で荒れることが少ないです。

 

「学校の授業が楽しい」「僕には得意な科目があるんだ」という前向きな気持ちは、多少の生活の貧困を跳ね返す力があると感じています。

 

教員は、各家庭の生活の貧困に直接手を差し伸べることはできませんが、楽しい授業を通して、子供の心の貧困を防ぐことはできると思います。

 

【生活の貧困を防ぐ】行政サービスの活用

「教育」を行う学校現場で、対応しきれないケースもあります。その時は行政サービスの「福祉」の出番となります。

 

最近は「スクールソーシャルワーカー」(SSW)が導入されている学校や自治体もあります。生活の貧困や心の貧困に、福祉の面からアプローチをすることができます。

 

学校は、行政などの外部の機関や資源とうまく連携を取りながら、問題に対応していきます。

 

以前、行政の方から「一番サービスを提供したいと思っている家庭に、それを提供することが一番難しい。」という話を伺ったことがあります。

 

貧困の家庭は有益な情報から遠ざかっていることも多く、学校がお便りやチラシで情報を提供する意義は大きいです。

 

 

おわりに

子供の「心の貧困」をキーワードにお話しをしましたが、いかがでしたか。

 

貧困の問題も他の問題と同じように、少し気になった時の予防的対応が有効です。また、少し辛くなったときに、学校も家庭も保護者も子供も「助けてください」と言えることが大切です。

 

「助けてください」の言葉で、行政や学校や先生や他の家庭や友達が手を差し伸べてくれます。あなたの近くには、助けてくれる人がいます。手を差し伸べる準備ができています。

 

教員である私自身も、遠慮なく人に「助けてください」と言える人でありたいです。そして、安心して「助けてください」と言ってもらえる教員でありたいと思っています。

 

 


img_1691【執筆者】

鈴木茂義 小学校 非常勤講師

鈴木さんのインタビュー記事はこちら

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