学問をすることが「かっこいい」世の中に【長内優樹さん Part3】

2017.02.05公開 2017.05.07更新
 
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学問には失敗も必要

現在の仕事の中で意識していることは、アドバイスするときは、なるべく自分の色を出し過ぎずに、アドバイスをしなければいけないということです。そのためにも、日々ひたすら勉強ですね。

 

また、「僕がどう思うか、どうしたいか」ではなくて、「お客さまが何を望んでいるか、どう仕上げたいのか」というゴールを理解して、ゴールに近づけることは常に心掛けていることでもあり、難しい部分でもあります。

 

そういう意味では、失敗させてあげる余裕みたいなものも必要になります。

 

「それ、多分うまくいかないよ」といったアドバイスもたまにするのですが、「うちの研究室ではみんなこうやってやるんです」と言われてしまうと、それ以上は踏み込めない…。

 

そんな場合、心苦しいですが、失敗すれば、それで学ぶこともありますし、それも一つの方法だと思うんです。

 

もしかしたら、その方の目標は、研究室のほかのメンバーと同じような分析手法を使って、論文を投稿して雑誌に載るということかもしれませんし、雑誌に載るかどうかということは、どうでも良いと考えているかもしれない。

 

お客さまの求める方向に向かわせてあげるのが、僕たちの役割なんです。一概に正しい方法があるわけでもないですし、僕が「絶対、こっちが正解」だと思っても、アドバイザーとして無理強いはできないですし、しないように心がけています。

 

 

学問に取り組みやすくするサポート

大学では、研究者の評価が厳しくなってきていて、これまで以上に競争社会になってきています。

 

以前は、大学自体は、研究と教育をやっていれば良いようなところがありましたが、今は、入試をはじめ、高校訪問など営業的な方面も求められているんです。

 

そうなると若手の先生は、いろんな雑務に追われて、ほぼ研究ができなくなってしまうという悪循環に陥っています。その上、ハードな労働が精神的面にダメージをきたしてしまう方も非常に多いんですよ。

 

それでも、どうにか研究を進めないといけないので、そういった教員の方にも弊社のサービスは重宝されています。

 

僕たちが研究をお手伝いすることによって、少しでもいい方向に行けばいいのかなと思ってサポートさせていただいていますが、大学の内部の状況を聞いてしまったりすると心苦しいときもあります。

 

もちろん守秘義務ですが、すごくダークな部分をたくさん拾っちゃうと個人的には少し苦しくなりますね。

 

だから、自分のメンタルヘルスにも気を遣っています。たまに、臨床心理士の先生に来ていただいたりすることもあって、独特の間で話を聞いてくれる姿勢に助けられています。

 

どうでもいい雑談ぐらいしか話せることがありませんが、それだけでも十分、心が楽になるというか。でも僕の場合、「料金設定はそれでいいですか?」とは、何だかんだで、相手の仕事の話になってきちゃうんですけどね(笑)。

 

 

心理学はオカルトではない

心理学に対する社会の認識として、すごく軽い言い方をすれば、心を読む学問みたいな読心術だと思われていたり、テレビなどの影響もあり、まだまだ学問として正しくは認識されてないかなという印象です。

 

学問として正しく認識されていなくても、学問側としてはそれほど問題はないのですが、心理的な支援サービスというものが正しく認識されていないのは課題だと感じています。

 

心理学という学問は、オカルトのような見方を一時期されたというのがあって、日本の学問の中でも特異な形を取ってしまっていると思います。

 

本当は科学的であろうとする学問なので、ちゃんと根拠のある学問であることをもっとアピールすることが必要になると思います。

 

臨床心理士という立場が、一般の方と心理学をつなぐ身近な存在だと思いますが、臨床心理士に相談するのも、今はまだ気軽ではありませんよね。相談に行く側がちょっと隠れていくような雰囲気は拭えません。

 

だからこそ、学問としての心理学が魅力のある、楽しい学問だということを知ってもらいたいです。

 

人の心は実態がないところがありますが、そういう一面を楽しいなと思ってくれる人が増えていってほしいなとは思っています。

 

だから今、非常勤講師のお仕事もお引き受けして、多くの方に学術的な研究分野の心理学や研究のエッセンス、日常生活の見方、世界の見方を少し変えてもらったり、増やしてもらうことに役立っていけばいいなと思っています。

 

 

学問することをもっとオシャレに

個人的には、学問をすること自体が「オシャレだ」と思われるような世の中になって欲しいです。

 

すぐに役立つとか役立たないとか、そういうことではなくて、学問すること自体に何か尊さを感じてもらえる社会というのを目指しています。

 

そのためには、ある程度、心理学を大衆化することが必要になると思いますね。

 

心理学が大衆化して、それこそ心理学的な知見を使った何らかの価値が世の中にあふれてきて、心理学に興味を持ったり、心理学を学んだり、心理学を研究する人が増えるといいなと思っています。

 

心理学というのは対人関係の学問ですから、心理学を学ぶと、学んでない人よりも幅広い目で対人関係を見られるというふうな部分を知ってもらいたいです。

 

心理学が大衆化するにあたって、いろいろな意見が出てくるとは思います。それは何の分野でもそうですよね。

 

音楽でも何でも、多くの人が聴いたことのない分野の音楽が大衆化するときというのは、受け手側も少し引き気味になるというか。アレンジされていたり、「それは本当のその分野の音楽じゃない」みたいな意見もあるかもしれません。

 

でも、エッセンスとなる「要」の部分をしっかり残しておくことで、心理学だって、もっと社会に浸透していくことが可能になると思うんです。

 

心理学は、人の気持ちを読んで自分の思うように操縦するとか、そういうことではありません。他人に関する視点を増やすことによって、人間関係を豊かしていくものなのです。

 

心理学をはじめ、学問をやることがかっこいい、オシャレという価値観がこれから生まれてくる可能性はすごくあるのかなという感じはしています。

 

 

公認心理師の誕生で、心理学がもっと身近に

これから、公認心理師という国家資格がスタートします。先日も、そのカリキュラム検討会の2回目に行ってきました。

 

国家資格に関しては、それぞれの立場でのご意見があるかと思いますが、国家資格という制度としてしっかりとした基盤を持つことによって、医療現場をメインとした他職種との連携がしやすくなるのではないでしょうか。

 

僕自身、心理職の資格で自分のキャリアを形成してきたわけではないのですが、国家資格という柱ができて、それによってケアがより多くの人に行き届いたり、ケアをする側が十分に力を発揮できるような場が得られたり…ということにつながっていけばいいかなと思ってはいます。

 

個人的には、多様性ということを重視すべきだと考えていますので、国家資格ができたからといって、それに縛られるのは良くないと思います。

 

ですが、この国家資格の新設により、多くの人が心理学のこれからに期待し、関心を持っていただける世の中になっていけばいいなと期待しています。

 

(長内優樹さんインタビュー完)

 

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PHOTO by 齋藤郁絵

 

 

長内優樹さんのインタビュー

【Part1】学生の自主性や熱い想いをすくい上げたい

【Part2】「やる気のない自分」が研究テーマ

【Part3】学問をすることが「かっこいい」世の中に

 

 

長内優樹さんの活動をチェック

Secondary, LLC(セカンダリー)

公認心理師推進ネットワーク

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

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