障害者トライアル雇用とは?対象・支援内容・費用・申請方法・事例を社会福祉士が解説

2017.01.28公開 2019.05.16更新

障害者トライアル雇用の費用

費用は、障害者と雇用者の間で一定期間の雇用契約を結ぶため、企業より給料が支給されます。

 

給料の額は、各企業の規定によって決められます。また、障害者だけではなく、企業側にもトライアル雇用者を雇うと、1ヶ月で4万円の報奨金が支払われます。

 

 

障害者トライアル雇用の申請方法、利用方法

障害者トライアル雇用申請の窓口は、最寄りのハローワークとなります。

 

企業を探す際に、障害者トライアル雇用の求人を探したい旨を伝えて下さい。

 

ハローワークにはさまざまな企業が障害者トライアル雇用の求人を出していますので、自分が興味があり、挑戦できそうな職種を選ぶと良いでしょう。

 

目ぼしい企業が決まったら、面接を受け、合格したら障害者がその企業で働くこととなります。

 

自分の体調に合わせて勤務する時間なども選択することができます。

 

 

障害者トライアル雇用の該当する事例

【Aさん20代男性】自閉症スペクトラム障害

Aさんは、通院治療をしながら生活をしています。

 

20代も後半に入り、周りの友人が仕事を頑張っている姿を見て、自分も就職したいとハローワークで求人登録し、紹介された職場へ何度か面接に行きましたが、結果はすべて不合格でした。

 

努力したつもりなのに、どうして不合格になったのか分からないAさんは、ハローワークの職員に不採用の理由を聞いたところ、「面接の際の礼儀ができていない」「場にふさわしくない不適切な発言をする」などと返事が来ているということでした。

 

やはり、病気を抱えていると、就職さえできないのかと落ち込むAさんでしたが、ハローワークの職員が、障害者トライアル雇用という制度があるので、それに挑戦してみてはどうかと言われ、話を聞くことにしました。

 

この制度は、雇用者側が障害を理解したうえで、3ヶ月程度試雇採用し、その間にお互いの相性を見ながら問題がなかったら、本採用になることができるというものだったため、Aさんはトライアル雇用を募集している企業に応募してみることにしました。

 

ハローワークの職員が、ある企業に連絡を取ってみたところ、「まず職場見学をしてみないか」ということで、Aさんが見学に向かいました。

 

すると、その事業主は他にも数人の障害者を雇用しており、仕事内容なども親切に説明してくれたので、この企業でトライアルをしてみることを決意。1日5時間、週4日の勤務から始めることになりました。

 

現時点では、事業主側が障害を理解してくれているということだけでも、随分と仕事がやりやすく、トライアル終了後も本採用を目指すことができるように働いています。

 

 

【Bさん40代女性】適応障害と軽度知的障害

Bさんは、飲食店でアルバイトをしていました。

 

しかし、自分の持つ障害を隠して働いていたため、事業主も理解がなく、普通の人がしない失敗もBさんが時々してしまうため、解雇になってしまいました。

 

障害を相手側に教えると、雇ってくれない可能性があるので、隠し通した上で必死に働いたのですが、こういうことになるのなら最初から理解がある企業に勤めればよかったと後悔しています。

 

今後どうすれば良いか悩んでいるBさんは、通院日に主治医に相談。そこで主治医はハローワークで障害者トライアル雇用という制度があるので、話を聞いてみてはどうかということでした。

 

ですが、主治医からBさんは頑張り過ぎて疲れてしまうことがあるので、短時間勤務ができるところが良いだろうとのアドバイスももらいました。

 

ハローワークに訪れ、トライアル雇用で短時間勤務ができるところを探してもらったところ、ある仕分け作業を行う企業が条件にぴったりでした。

 

早速申し込むと、面接があり、1日4時間、週3回の勤務条件でトライアル雇用をしてくれることとなりました。Bさんは、心機一転、この企業で頑張ってみることになりました。

 

 

障害者トライアル雇用の注意事項

障害者トライアル雇用は、原則的に3ヶ月間だと決められていますが、精神障害者の場合は、最大12ヶ月の雇用契約を結ぶことが可能になります。

 

また、精神障害者を初めて雇用した企業には、報奨金が1ヶ月に8万円支払われます。

 

また、トライアル雇用前に職場見学などをさせてくれる企業もありますので、企業を決める前に自分に合うか体験してみるのも良いでしょう。

 

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久木田みすづ

精神保健福祉士 社会福祉士

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2017年1月28日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。