巣立ち会ピアスタッフになるまでの原点【黒川常治さん Part1】

2017.02.17公開 2017.05.07更新
 
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
23

今回は、三鷹市の社会福祉法人巣立ち会で、ピアスタッフとして主に活動されている、黒川常治さんのインタビューです。

 

全4回のインタビューでは、黒川さんの生い立ちやデザイナーとしてのキャリア、うつ病を発症された時のご様子や心境の変化、さらには現在のピアスタッフとしての取り組みについてお話いただきました。

 

インタビューの最後には、読者の皆さんへのメッセージもいただきましたので、ぜひご覧ください。

 

 

 にぎやかな家庭環境で育ち、デザイナーに

調布市の深大寺で生まれて、小学校2年生からは稲城市で暮らしました。その後、ちょくちょく引っ越しをしていましたが、主に多摩地域で過ごしていました。

 

4人姉兄(きょうだい)で育って、貧しかったけどにぎやかな家族でした。中1の時に父が他界をして、それからは母子家庭で育ちましたね。

 

私は音楽とデザインが好きだったので、高校を卒業してからはデザインの専門学校に行って、「早く働いて一人暮らしをしたい」って思っていましたね。

 

その後、グラフィックデザイナーになって、DHCという会社に所属していたことがあったので、DHCのロゴマークや、今売ってるサプリメントのパッケージの元のデザインにも携わりました。

 

 

物心ついたときからデザインに興味

子どもの頃に、バスとか電車にすごく興味を持っていて、なぜか不思議と、バスの前面などにある「行先表示板」の漢字に興味を持っていました。

 

行先表示板そのものではなく、そこに書いてある漢字やバスから見える看板の漢字とか、目に見える文字に関して、すごく興味を持つようになっていったんです。

 

そしたら、小学校5年生の時に、レタリングの好きな先生と出会ったんです。

 

レタリングとは、文字のデザインのことを指します。装飾文字はタイポグラフィーと言うんですが、パンフレットや広告などで印刷されている、活字のような文字をレタリングというんです。

 

それで、レタリングやタイポグラフィーに非常に興味を持ち始めて、中学校の時にはレタリング辞典なんかを図書館から借りてきて読みふけっていました。

 

漢字には小学校2年生の時にはすでに興味があって、母親と一緒に外出してる時に、「あれなんて読むの?」ってよく聞いてたんです。だから、子どもの時にすでに「三鷹駅」は読めていました。

 

 

先生にもらった花マル

学校の先生の出会いはすごい恵まれている方だと思います。小学校1年から先生に本当に上手く育ててもらえて。

 

例えば、今でも覚えているのは、小学校1年生の時に書いた作文です。国語は苦手だったんですけど、初めての作文で褒めてもらえたんです。

 

作文の中で、つり橋を渡ったことを書いたんです。つり橋ってぐらぐら揺れるじゃないですか。「ぐらぐらと揺れて」って書いた時に、「ぐらぐら」の所に花マルがあったんです。

 

今振り返ると、大したことではないようなことかもしれません。でも、その花マルのおかげで、表現の大切さを自分なりに覚えることができました。

 

他にも、いろんな先生と出会いましたが、自分の肝となるところは先生との出会いから始まることが多いように感じています。

 

先生との関係性の中で、様々な学びや気づきを吸収していくっていうことが本当に多かったと思います。

 

 

欲しいものは自分で作れば良い

実は、音楽も本当に好きで、小学校の合奏では鉄琴とか木琴とかを進んでやっていたり、リコーダーで作曲したりしていました。自分で譜面書くぐらい大好きでしたね。

 

ただ、うちは貧乏だったので、欲しいものがすぐに手に入る環境ではありませんでした。大学にも行きたかったんですが、経済的な理由もあって断念しました。

 

同級生がすごくたくさんお年玉もらったりしてると羨ましくてね。

 

でも、母親が手芸とか、何かを作るのが得意だったということもあって、「欲しいものは自分で作れば良い」みたいな感覚が幼少期からあったんです。

 

母が手芸を楽しそうにやっていたので、自分も自然と真似ごとのように、色々なものを作っていたりしていました。

 

そういったこともあって、曲も作っちゃうんでしょうね。今は作詞もしたりしますし、執筆活動も楽しんでやっていますよ。

 

 

高校から、美術の道に

高校に入ると、そろそろ進路を決めなければならず、音楽と美術、どちちかを選ぶことになりました。

 

選択科目によって、クラス分けが決まっちゃうので、「みんなと一緒のクラスになりたいから美術選ぶか」って感じで美術を選択しました。

 

デザイナーを目指している友だちは美術大学を目指していましたが、僕はお金もありませんでしたし、デッサンが苦手だったこともあって、大学は考えていませんでした。

 

就職する上で良さそうなところを探している中で、東京デザイナー学院という専門学校に入りました。

 

そこでも先生に恵まれて、素敵な先生がたくさんいました。タイポグラフィーに関して言えば、「渡る世間は鬼ばかり」のタイトル文字を書かれていた、篠原榮太先生という方がいらっしゃったり。

 

ありとあらゆるものをやってきた大御所の方ですので、授業も面白くて、すごく影響を受けました。

 

デザインのスキルに関しては、専門学校で叩き込まれたというよりも、レタリング辞典を読みふけっていた小学校の時から少しずつ吸収してきた感じです。

 

なんというか、「フォントマニア」みたいなところはあるかもしれないですね。だから、専門学校時代は楽しくてしょうがなかったです。

 

 

ピクトグラムを使った卒業制作

卒業制作では、「ピクトグラム」をテーマにしました。

 

よく見かけるトイレのマークなど、ピクトグラムを使った公共空間のデザインに興味を持ちはじめていたんです。

 

東京オリンピックでも、海外からの来訪者が増えるのでピクトグラムがすごく活用されていたと思います。

 

そこで、卒業制作では、今で言う「ベイエリア」の再開発をピクトグラムを使って行ったら、どうなるかということに取り組みました。

 

たとえば、モノレールが浜松町から羽田空港まで出てますよね。そこを「ピクトグラムを使って、街を整備をしてみたり、迷わず行きやすい街にする」という計画を卒業制作で作りました。

 

ピクトグラムを一つひとつ考え、ピクトグラムを配置した地図を作ったり。「こんな駅もできたら良いんじゃないか」というようなことを考えながら取り組んでいました。

 

卒業制作の中間報告的なプレゼンでも、先生方に色々と「あーでもない、こーでもない」と言われる人がいる中で、僕の時は「君、面白がってやってるよね、楽しいでしょ」って言ってくれて。

 

「はい、楽しいです」と答えると、「じゃあ、そのままやりなさい」という言葉をもらえました。しかも、その卒業制作では、見事、ちょっとした賞もいただけました。

 

 

「好き」が出発点

先生が言ってくれた、「楽しんでやってるんだったら、そのままやりなさい」という言葉、その言葉が原動力になりましたし、自分にとって一番良かった言葉です。

 

例えば、「上手いものを作ろう」「先生に評価されたい」と思ってしまうと、実はなかなか上手くできなかったりするんですよね。そもそも「出発点が何なのか」ということが大事なんです。

 

個人的には「好き」が出発点というところが大事だと思っています。

 

「先生の合格点を取りたい」とかだったら、何かつまんないものを作っていたかもしれません。

 

特に卒業制作では、自分が調べたいもの、知りたいものをテーマにしやすいですよね。

 

そういったことを掘り下げていくところに「楽しみ」があることが理想的と思って、実際に取り組めたところが良かったのかなと思います。

 

 

小さなデザイン会社へ就職

気になった小さなデザイン会社に応募をして、内定をもらいました。

 

そして、一番面倒みてくれてた先生に「受かりましたよ」と伝えると、「お前、博報堂に推薦しようと思ってたのに」と言われてしまって。

 

実は、通っていた専門学校には、就職先として博報堂に1枠ありました。

 

それを入学前に知ってはいましたが、「自分は小さい所からコツコツやろうかな」という気になっていたので、自分で勝手に就職活動始めていたんです。

 

ただ、もう内定はもらっていたので、そこで小さいデザイン会社に入って、1年目から色々デザインの仕事はさせてもらってました。

 

そこで、広告業界の過酷労働を目の当たりすることになるとは、思いもしませんでした。

 

続きは、第2回へ

 

 

黒川常治さんのインタビュー

【Part1】巣立ち会ピアスタッフになるまでの原点

【Part2】終電に間に合うはずもない仕事と心身の異変

【Part3】うつ病と診断。家族に呆れられ、家を出る

【Part4】「つながっていれば、なんとかなる」

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

お名前
メールアドレス
保有資格・所属・ご要望など

シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
23

関連記事