難病患者就職サポーターってどんな存在?就職事例・良い活用方法は?

2020.03.05公開 2020.03.16更新

どのくらいの人が就職できていますか?

全国の相談件数、就職者の推移は、こちらの厚生労働省の資料を参照ください。相談者も就職件数も増加しています。

 

私の予約窓口では、月に5,6名ほどが就職されていました。全国的には多い数字と聞いています。

 

その内訳としては、

 

・難病を開示して就職

・障害者手帳での就職

・就労継続支援A型に就職

・病気を非開示で就職した患者

 

など含まれます。地域により差があろうかと思いますが、私の窓口は、病気開示が8-9割、残りが非開示でした。

 

「開示できるものであれば開示したい」というニーズはやはり強かったと認識しています。

 

病気を開示して就職する難病患者は、ほかのハローワークの専門援助部門への相談からもおりますので、当然県全体としては毎月就職者はもっと増えます。

 

就職者数は、都道府県の人口や求人倍率、震災などの影響も受け、取り組みの差もそこに反映され、就職者が少ない都道府県も出てきます。

 

また、就労支援に力を入れている熊本県など、都道府県の取り組みによっても、差が如実に出てまいります。

 

ただ、就職者が多くても、病気非開示でのカウントだったり、就労継続支援A型が多いケースもあります。

 

極端なことをいうと、人出不足の身体に高負担な夜勤なども含む職場に、就職しやすいからと就職してしまう可能性も否定はできません。

 

難病就職サポーターを通じた良い事例は?

潰瘍性大腸炎の方(30歳)の例があります。

 

最初はどういう観点で求人を見たらわからない状態からのスタートで、面談は毎週をご希望でした。

 

こちらとしては、相談者の希望や基本的な情報を把握し、不明な点をクリアにしながら、ポイント等をお伝えしたり、具体的な求人の絞り込み方を説明させていただきました。

 

その後、徐々に相談者自身でも準備が進み、こちらとの相互理解が整っていく中で、具体的な求人応募に入っていきました。

 

次第に自分の方向性が見えてきて、月一回の通院は必要でしたが就労準備性も整い、複数社から内定が出るに至りました。

 

うまく就職に至ったポイントは?

以下、3つのほどポイントを挙げてみました。

・治療と仕事の両立としての就活のポイントを理解されたこと。(専門外な情報を知ろうという柔軟な姿勢)

 

・毎週、求人票をチェックされたこと。サポートする人に、その求人票と、ご自分のこれまでの経験やスキルがどう活かせるか、毎回端的にでも説明していただけたことで、その情報を企業に説明できたため、企業の関心と紐付ける説明ができた。

 

・応募した企業をご自分で記録し評価しながら取り組まれため、客観視することにより、俯瞰した見方に繋がり、修正点が明確になり、応募先(まと)の焦点の精度が高まっていった。

※詳しいは、あらためてわかりやすく説明ができればと思います。

 

助成金目当てのブラック企業が多いのでは?

職業安定所も助成金目当ての企業への規制・対策に試行錯誤してきた歴史があり、助成金を目当てにしている企業がゼロではないとは思います。

 

しかし、私の印象では助成金がなくても、①経験、②スキル、③合理的で過分でない配慮の申告等により、企業側は採用していました。

 

着任した当初に比べて、人手不足要因の高まりに比例するかのように就職しやすくなっていった印象が現場ではありました。

 

実際、こちらから企業に助成金の説明をしても、10社中9社…いや、ほとんどの企業は、難病患者の就職を後押しする助成金があることすら知りません。

 

当事者の方々も7〜8割程の方々は知らなかったです。現在もセミナーや座談会をしていますが、助成金の存在や利用の特徴など、知らない方が半分以上はいます。

 

いずれにしても、助成金ありきの企業に就職して就職率を高めるような「カタチだけの支援」にならないように、‘支援の質‘‘取り組みのあり方‘にも自覚的でありたいと思います。

 

難病患者就職サポーターをうまく活用するポイントは?

まずは電話予約の際、難病患者就職サポーターに「どんなサポートをしてくれるか」をストレートに聞いてみてください。

 

電話対応の仕方で、難病患者就職サポーターの人となりや支援体制をある程度イメージするのに役立つこともあります。

 

ただ、電話で色々と聞きすぎてしまうと難病患者就職サポーター側も身構えてしまうのでほどほどに。笑

 

次に、難病患者就職サポーターとの面談の際、自分の情報を伝えるために、

・主治医に対して、就労について「こんな仕事をしてみようかと思っていますが、気をつけることや、注意することはどんなことでしょうか?」など、一度就労にあたり、主治医に相談した際にどんなことを言われたか

 

※主治医から就業の際の意見書などを書いてもらうという方法もあります。(書類にはお金がかかります。)

 

・就労にあたって、どんな作業がやりにくく、どんな配慮がもらえると労務提供がしやすいか

などを紙にまとめて整理しておくことをオススメします。

 

面談の際、難病患者就職サポーターに意欲も伝わりやすく、支援がスムーズに行きやすくなると考えています。

 

難病患者就職サポーター、どこに行けば会えますか?

難病患者就職サポーターの配置場所については厚生労働省PDF資料を確認してみてください。

 

都道府県によってはハローワークの巡回相談をしている為、配置職安と相談できる場所に違いが生じることがあります。

 

都道府県の予約状況によりますが、基本的には予約相談です。ただ、相談ができるまで時間がかかる地域、すぐに相談ができる地域と、違いがあるのが現状です。

 

相談は無料なのですが、相談回数に制限を設けているケースもあると当事者から聞いたことがあったので、気になる人は事前に確認してみてください。
 
>>【無料】中金竜次さんに質問できるオンライン難病就職サポートコミュニティはこちら
 

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中金竜次

看護師

難病患者の就労支援ネットワークONE代表・難病患者就労支援ネットワークコーディネーター

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2020年3月5日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。