自分をうつ病だと思っていた大学時代までの話【松浦秀俊さんPart1】

2017.04.18公開 2017.04.23更新
 
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今回のインタビューでは、双極性障害Ⅱ型の当事者で、うつ病の復職や再就職支援などを手がける株式会社リヴァの広報、松浦秀俊さんにお話を伺いました。

 

 

広報兼支援員として活動

はじめまして。株式会社リヴァで広報をしている松浦秀俊と言います。

 

広報以外にも、うつ病などの気分障害の方の再就職支援をする「ハビトゥス市ヶ谷」という施設で支援員として働いています。

 

僕自身、双極性障害Ⅱ型の診断を受けています。

 

症状としては主に、軽躁から来る「眠りたくない」という衝動や、活動し過ぎてしまう「過活動」があります。

 

そのため、夜も寝ずに、仕事やプライベートの予定をどんどん入れてしまうんです。

 

ストッパーをかけずに、活動を続けてしまうと、反動で意欲が下がり、ドタキャンが増え、嫌悪感が強まり、ふさぎ込む…という悪循環にはまってしまいます。

 

最終的には、誰とも連絡を取らなくなったり、無断欠勤が続いて休職に至ったり…。

 

会社を休んでしまうほどの症状というのは、私の場合、軽躁がきっかけになることが多かったですね。

 

 

3人兄弟の末っ子

私は、3人兄弟の末っ子として島根県に生まれました。

 

性格の素地でいえば、どちらかというと、人当たりがいいほうだったと思います。

 

一番上の兄が9歳離れていて、二番目の兄とは6歳離れていたので、私が小学校1年生のときに、次男が中1で、長男が高1という家族でした。

 

2人の兄とは年齢が結構離れていましたし、兄同士で殴り合いのけんかを普通にする感じだったので、もう恐怖しか感じないような存在ですよね。

 

2人とも、ちょっとしたことで本気で殴り合いしていて。そういうのを見て、「空気を読まないと自分が殴られる」と思って、怒られないように気を使う性格になったと思います。

 

 

島根から愛知への転校

中学入学後、1年たたずに家庭の事情で、愛知県に引っ越しをしました。

 

自分が転校するとは、まさか思ってなかったので、そういう意味では価値観が変わるタイミングだったと思います。

 

引っ越して、最初に影響を受けたのは、島根と愛知の方言の違いです。島根の方言が出てしまうので、何を言ってもちゃかされるんです。

 

さらに、中学校で知り合った人にはだいたい、「何小(学校出身)?」って聞かれるんです。

 

「前、島根にいて…」って説明するのも面倒ですし、みんなは地元の話で盛り上がるから、あんまり中学校で友達を作ろうという感覚を持てませんでした。

 

 

寡黙なキャラを演じる

そういったことが重なって、自分としてはもう、「寡黙なキャラ」でいようと思ったんです。唯一、自分を出せるのは家でした。

 

「全くしゃべらない転校生」「寡黙な人」みたいなキャラを中学卒業するまでずっと続けていました。

 

でも、別にクールではなく、クールな人をやらざるを得ない状況だったんです。

 

 

高校から本来の自分に

高校は、通っていた中学の学区外にある、遠くの高校を選びました。

 

同じ中学からは、10人くらいしか行かない高校だったので、そこからは自分を偽らずに、本来の自分を出せるようになりましたね。

 

我が家はそんなに裕福じゃなかったので、大学行くとしたら地元の国公立という条件があったので、条件に合う理系大学を選びました。

 

 

ネットの勉強とサークルの立ち上げ

いざ、大学に入ったときに、「このままレールをただ進んでいく感覚」を持ってしまったんですね。

 

化学の専攻だったんですけど、やっていても、別にそこまで面白みを感じなくて。

 

大学に入った2001年頃、Yahoo!のブロードバンドが始まって、ネットが家庭で一般的になりつつある状況で、「ネット、やばいな」という思いが出てきたんです。

 

と同時に、専攻は化学を選んだのですが、「ネット関係の仕事のほうが、可能性あるんじゃないかな」って思い始めている自分もいて。

 

そうすると、大学の延長線上にあまり将来を描けなくなりました。

 

大学はもう、単位を取って卒業するための場所で、興味のあるIT、それこそWeb言語を自分で書いてみたり、ネット関係の勉強会に行くようになっていました。

 

あと、大学でもう一つ大きい出来事として、大学2年のときに、バレーボールサークルの立ち上げメンバーに入ったことです。

 

自分たちが目指したい組織を創っていくのはすごく面白くて、特に、いろんな企画を自発的にやることに面白さを感じていました。

 

人を喜ばせることが性に合っていたんでしょうね。大学2年ぐらいから、サークルのために大学行くみたいな感じになってました(笑)。

 

 

研究職を目指さないアウトロー

在学していた大学の場合、学生の7〜8割は、将来研究職につくために大学院に進みます。

 

だから、みんな大学院を含めた「6年間」を見据えてるんですけど、私はもう、学部の4年間でいいやと思っていました。

 

必修科目の単位だけは取って、全くアウトローな感じで生きていましたね。周りからは、「あいつは何もできないやつ」と思われていたと思います。

 

将来的に、「何か自分でやりたい」というのが根本にあって、大学4年の就活のときは起業したいと思ったんです。

 

ただ当時は、そもそも「起業したい」という想いしかなかったので、ビジネスアイデアがあるわけではありませんでした。

 

取りあえず、起業につながりそうな会社に就職しようと思って、「新規事業をやれます」という中小企業5社くらいにエントリーしてみました。

 

 

働き方へのプライドと葛藤

内定をいただいた会社は、新規事業でECサイトを運営していて、その当時では新しい取り組みをやっている会社でした。

 

ネット業界だし、新規事業だと思って、内定をもらったんですけど、そのときに葛藤が起こりました。

 

「起業したいのに、企業に入るってどうなんだろう」って。

 

自分の中で、プライドじゃないですけど、そんなことを思うようになっちゃって、気分が急激に落ち込んでしまったんです

 

そこから、学校も行けなくなり、就活での葛藤も誰にも話せなくて。サークルの友人にも、自分の働き方や仕事のことは言えなかったんです。

 

なぜなら、周りはみんな研究者を目指していて、自分の話をしても伝わらないと思ったんです。

 

 

「うつ病」という言葉がよぎる

どんどん、ふさぎ込むようになり、部屋からも出られなくなりました。

 

そして学校にも行けずに「さすがに、やばいな」と思った時、ふと「うつ病」という言葉が頭に浮かんだんですよね。

 

このままでは、本当に学校生活や、今後の仕事にも支障が出てくると思い、一度病院で診てもらおうと思って、家から一番近くの病院に行くことにしました。

 

 

うつ病を認めたくはない。けど楽になりたい

記憶にあるのは、初めて受診しようとしたとき、病院の前まで行くものの、そのまま帰ってしまいました。

 

その病院に入っちゃうと、もう戻れないんじゃないかと思って。あとは、うつ病であることを認めたくない自分もいました。

 

「俺、うつ病じゃない。単純に変わってるだけなんだ」って。

 

でも、どこかで楽になりたいと思う自分もいる。その繰り返しでしたね。

 

 

あっけなく終わった初診

症状は一向によくならず、もう1回勇気出して、精神科の病院に行くことにしました。

 

診察を待っている間もずっと緊張していました。

 

自分の名前が呼ばれて、診察室に入って、症状とか伝えると、

 

「ああ、それはうつ病の症状ですね」と、1カ月分くらいの薬を出されて、「また来てくださいね」ってあっけなく終わりました。

 

 

楽になったけど、受容できなかったうつ病

でも、病院に行ったことで、ある程度、楽になった感覚というのもありました。

 

薬は最初は飲んでいたんですけど、結局、飲み続けなかったですね。

 

やっぱり、うつ病であることをあまり受容してない自分もいて。

 

だけど、それで1カ月ぐらい経ったら、ある程度、外に出られるようになったので、うつ病で通院したという過去はもう封印しようと思いました。

 

 

内定先のイベントをドタキャン

とはいえ、気分の浮き沈みはまだまだ続いていました。

 

内定をもらった会社の入社前交流会をドタキャンしてしまったんです。

 

「その会社に入ったら、もう自分は出られないんじゃないか」とか、いろいろ考えちゃったんです。

 

僕自身、その会社に入るかどうか、本当にぎりぎりまで悩みました。

 

入社日の朝まで悩んでいました。その会社に行くか、行かないか…。

 

続きは第2回へ

 

 

松浦秀俊さんのインタビュー

【Part1】自分をうつ病だと思っていた大学時代までの話

【Part2】軽躁の勢いで仕事をこなし転職を繰り返す…

【Part3】生き方を長距離走的に…楽しさの定義も変わった

【Part4】「人と関わることで、世界は変わっていく」

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

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