拒食症になりたい?知っておくべき4つの症状とは?看護師&心理相談員が解説

2017.03.20公開
 
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「食べないでいられる拒食症になれば、太ることから逃れられるかも知れない…」「だから、拒食症になりたい」

 

と、あなたは拒食症について憧れにも似たイメージを抱いていませんか?

 

今に生きる女性の中には、

 

「痩せている=可愛い」

「やせる=瞳が大きく、顎が小さくなる」

 

といった表面的な見栄えを基準にして、人の価値を判断する傾向もあるように思います。

 

ですが、拒食症は、心の病であり、ただ体重が減少するだけでなく、心身に様々な症状が出現し、命にも関わる可能性も秘めた疾患です。

 

そこで今回は、拒食症になりたいと憧れる前に、知っておくべき4つのことをご説明します。

 

 

そもそも、拒食症とは?

拒食症とは、食欲を自分でコントロールして、食欲を取らないでいられるという状態ではなく、摂食障害の一つです。

 

「体重に関する異常ともいえるこだわり」と、「体重や体型の維持が、自己評価の基準に大きく影響する」傾向を持つ、心の病気の一つです。

 

そのため、やせるために食事を徹底的に制限するタイプと、食欲をむちゃ食いで発散させつつ、体重を維持・低下させるために無理に吐いたり、下剤を乱用したりという「代償行為」を繰り返すパターンがあります。

 

 

拒食症の原因とは?

拒食症に陥る原因は、人によって異なりますが、気質としては完璧主義傾向が強く、自己評価が低いタイプの方が多いといわれています。

 

また、人間関係によるストレスや、体重や体型について言われて傷つけられたり、仕事などでスリムになるように圧力をかけられたり、セクハラや性的虐待にあったりしたことなどがきっかけで、拒食症が発症することもあります。

 

 

拒食症の状態が続くと…

最初は、少し体重を落とすことが目標だったとしても、もともと完璧主義の傾向があるため、体重をコントロールできる自分にこだわり始めます。

 

また、やせたことで周囲の人から褒められたり、注目をされる体験が、さらに体重を落とすことに拍車をかけ、

 

「また太れば、自分の価値が下がる」

「太ることが怖い、不安」

 

という気持ちが強くなり、十分に痩せたにもかかわらず、「痩せ続ける」ことに意味を見出そうとすることになります。

 

そのため、徐々に正常な自己認知ができなくなり、骨が浮き出た状態や、栄養不足でむくみが出現した状態であっても、「太っている」と思い込み、体重を落とそうとしてしまうのです。

 

拒食症は、自分を否定し、体重をコントロールできる自分に価値を見出そうとする、心も体も苦しい状態であるともいえるのです。

 

 

拒食症が引き起こす、4つの症状とは?

拒食症が、心の病気であることは理解できたと思います。ここでは、拒食症が引き起こす、知っておくべき4つの症状についてご説明します。

 

食べたくても、食べられなくなる

拒食症が進むと、適切な体重コントロールができなくなります。

 

標準体重も、BMIも十分に痩せている数値を示しているにも関わらず、相対的に見て「太ももがまだ太い」「おなかが出ている」などの歪んだ体型の認知をするようになります。

 

その傾向は、低体重・低栄養状態が進行するとさらに強くなり、最終的には食べたくても食べられなくなり、低血糖・飢餓状態となり、命にかかわる状態に陥ることもあります。

 

拒食症から回復するまでも、かなりの時間が必要になります。

 

食べられないため、点滴が必要になりますし、3食きちんと食べ始めても、体が食べ物を受け付けない場合や、一時的に体に浮腫が出現することもあります。

 

食べることへの罪悪感や恐怖で、食べることができないなることもあります。食べたくても、食べられない状態も苦しみがあるのです。

 

 

過食になる

拒食症になった人の中には、「食べたい」欲求が抑えきれずに、むちゃ食いと呼ばれる短期的に大量に食べ物を体に取り入れる行動をとることがあります。

 

冷蔵庫の中にある食べられるものを隠れて食べるという隠れ食いなどの行動をとることもあります。

 

しかし、食べてしまった後には、太ることの恐怖や食べてしまった自己嫌悪のために、

 

・口に手を入れて吐く

・下剤を大量に服用する

・過激な運動を行う

・絶食をする

 

などの行動を行って、体重を維持しようとします。

 

そのため、体の電解質のバランスが崩れてしまったり、精神的に不安定になり、抑うつが強くなり、心身共に大きな負担がかかることになります。

 

 

感情の抑制が効かなくなる

拒食症が進むと、感情や欲求の抑制が効かなくなることが報告されています。

 

異常なほど活動的になったり、性的な衝動が抑えられなくなったり、リストカットや自傷行為などを発作的に行うこともあります。

 

また、万引きや薬物乱用などの反社会的行為を行ってしまう場合もあります。

 

さらに、思考力の低下や感情のコントロールの低下が起こることも知られています。急に泣き出したり、抑えきれない感情を家族や恋人にぶつけてしまったりするため、人間関係が悪化してしまうこともあります。

 

食欲は、人間が生きるための欲求だからこそ、それを無意識にコントロールしようとすると、代償として、コントロールすべき欲求があふれ出てしまうのかもしれませんね。

 

ですが、この症状は、本人が望んでいた状態とは違う、苦しい症状の一つではないかと考えます。

 

 

体の変化

拒食症に陥ってしまうと、体重をコントロールするためには、栄養のことや体のことに注意を向けることがなくなってしまいます。

 

そのため、偏った食事をとり続けたり、絶食や過食、嘔吐や下剤の使用を行うことで、体のバランスは大きく崩れることになります。

 

・水分を抑えることによる脱水

・嘔吐や下剤使用による電解質バランスの異常

・低栄養から飢餓状態に陥ることによる無月経

・おなかの張り

・低体温や低血圧

・自己免疫力の低下

・浮腫、消化管をはじめとする臓器不全、

・骨粗しょう症や歯が解ける

 

などの症状も出現します。電解質バランスが崩れることによって、心電図の異常や不整脈なども起こるようになります。

 

体の細胞を作っているのは、飲食物から得られる栄養や電解質です。

 

その栄養分や電解質を適切に得ることができない状態が長く続くことは、自分の体を内部から壊すことにほかなりません。

 

拒食症になることは、結果として自分の体を壊すことにつながってしまうのです。

 

また、拒食症は女性の方が多く、無月経になってしまうことも多いのです。

 

無月経が長く続くと、拒食症が治っても、将来子供を望んだ時に不妊症で苦しむことにもつながります。

 

ただ、やせたいから「拒食症になりたい」と思い、食事制限を始めたことがきっかけで、やせることに異常にこだわりはじめ、歯止めが利かなくなることもあります。

 

拒食症になることは、その代償も多いものなのです。

 

 

まとめ

今の風潮として、「やせていること=かわいい・美人」があります。

 

標準体重をキープすることは大切ですが、拒食症にあこがれを持つことは、とても危険な考えともいえます。

 

拒食症は摂食障害の一つで、心の病気でもあります。

 

「やせること」にこだわりを持つことで、いつの間にかボディーイメージの認知が歪み、正常な自分の姿が見えなくなり、さらにやせることに固執します。

 

その先にある、低体重や低栄養状態が続くことは、心の体のバランスを崩し、感情コントロールがきかない、命の危険に陥ることさえあります。

 

拒食症になりたいと憧れを抱く前に、自分の今の体重が適正体重であるかどうかを客観的に把握し、ダイエットが必要な時には、適切な栄養を取ったうえで、運動を取り入れ、無理なくやせる方法を見出すようにしてください。

 

健康的にやせること、それが心と体に優しいダイエットだと思います。

 

 

【執筆者】

村松真実 看護師・心理相談員

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