生き方を長距離走的に…楽しさの定義も変わった【松浦秀俊さんPart3】

2017.04.20公開 2017.04.21更新
 
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
38

リヴァとの出会い

今、勤めているリヴァの代表である伊藤は、前職の役員でもあって、僕の直属の上司でもあったんです。

 

ただ、伊藤は、私が2011年2月に休職する前には、リヴァを創業すると決めて辞めていました。

 

当時、伊藤は、

 

・うつ病の方への対応に企業が困っている点

・実際、伊藤の身近な人がうつ病になり対応に困った点

・社会復帰に向けてトレーニングできるところがほぼ無い点

 

といったところに、すごく問題意識を持っていました。

 

リヴァを創業するという中で、私が双極性障害で前職を辞めたというのも知っていたので、気にかけてくれていました。

 

 

最初はリヴァの利用者として

2011年の夏、傷病手当金をもらいながら、「これからどうしようかな」と思ったところ、「リヴァのプログラムを使ってみない?」と、伊藤に誘ってもらいました

 

まだ、働く先も決まってなかったし、知り合いでもあるし、わらにもすがる思いで、利用者としてリヴァのプログラムに参加することになりました。

 

当時は、立ち上げたばかりだったので、スタッフ5人に対して利用者3人。スタッフのほうが人数が多い状態でした。

 

プログラムの中で、グループワークやコミュニケーショントレーニングなどを通じて、自分の働き方を見つめ直す時間が持てました。

 

 

農地でのプログラム

特に影響を受けたのは、「農地」でのプログラムでした。

 

農地でのプログラムは、朝、農家に行って、

 

「じゃあ今日は、ニンジンの周りの雑草を抜いてください。雑草抜きが終われば、次の作業をやってもらっていいけど、終わらないなら終わらないでいいです。休憩とかも自由に取ってください」

 

という感じで、農作業を手伝うシンプルなものです。

 

プログラムが終わったら、たまに野菜をもらって帰ったりもします。

 

なにより、農地のプログラムの日は、眠りがいいんですよね。

 

普段、体を動かしてなかったり、頭ばかり使ってるので、体動かして、自然に眠くなって寝るというのが人間的だなとか思いながら。

 

 

「人ってこういうものなんだよな」

農地で仕事をやると、自分が種を植えた物が食べ物になって、それを食べたらおなかが満たされるときに、人の根源を体験するじゃないですか。

 

「人ってこういうものなんだよな」、みたいな。

 

自然の中での作業なので、天候に左右されて当たり前だし、ウェブの仕事みたいにきれいに終わらないことも当たり前。

 

その中で、「自分がまかなえるだけ、野菜が取ればいいよ」という感覚で、自分のペースを保ちながら働く農家の人をみて、「こういう生き方もあるんだな」と。

 

人としての根源をやっと何か体験できて、「生きるってこういうことなんだな」というのは、すごく思いましたね。

 

 

「マネジャーゲーム」での気づき

グループワークのプログラムでも、「マネジャーゲーム」というワークにはとても影響を受けました。

 

マネジャーゲームは、マネジャー1人、グループリーダー2人、スタッフ2人の5人でやるプログラムです。

 

マネジャーはグループリーダーとやり取りができる一方、スタッフとはやり取りできないというルールの中で、あるミッションが課されるんです。

 

そしてミッションを達成するために、マネジャー、グループリーダー、スタッフに内容が異なる指示書が渡されるんです。

 

マネジャーの指示書には、ミッションの詳細や目的まで丁寧に書いてある。

 

グループリーダーの指示書には、ミッションを書かれておらず、やるべき作業だけ。スタッフの指示書には「頑張ってください」とだけ書いてある。

 

その中で、何が起こったかというと、自分の指示書に書いてある内容をみんなも知っているものだと思って、一方的に指示ばっかり与えるマネージャーが出てくるんです。

 

実際、僕はそんな感じになりました(笑)

 

 

自分の疾病を受け入れられるように

さらに、「マネジャーだから、自分で全部やらないといけない」って感じで、一人でミッションを抱えちゃったんです。

 

結果、ミッションを達成もできないし、スタッフは不満。

 

「何やってるのか分かんない」

「もっと頼ってくれればいいのに」

 

といった感じになってしまって。

 

このプログラムを通じて、自分で抱えちゃうとか、人に仕事を振れないといった自分の悪い癖を振り返りながら、疾病もそこで受け入れていけるようになりました。

 

 

リヴァを利用して変わったこと

実際にリヴァのプログラムを利用して、これまでの「短距離走的な生き方」から「長距離走的な生き方」になった点があります。

 

双極性障害のことをそもそも知らずに生きていたときは、「自分はいつか働けなくなる」という前提があったんです。

 

軽躁期やうつ期といった、体調や気分の波が絶対にあるというのは分かっていたので、走れるときに突っ走るという発想でした。

 

つぶれる前にガッと仕事をやれるだけやって、つぶれそうになったら人に任せる、みたいな働き方を続けてしまっていたんですね。

 

でも、リヴァでのトレーニングを経て思ったのは、いきなり全力でスタートダッシュする必要はないということ。

 

マラソンのようにゴールを見据えて、

 

「自分の今の体調どうだ?」

「これぐらいなら、行けそうだ」

 

と、自分の体調と相談しながら、コンスタントに走っていくイメージですね。

 

 

長期的にコンスタントに続ける大切さ

実際、短距離走の3カ月でできるものって、ビジネス上では大したことないですよね。

 

だから、長期的にコンスタントにやることが、結果、大きい成果につながるんじゃないかと思えるようになりました。

 

前までの僕だと、双極の気分の波で、1社を2年以上勤務することは無かったのが、今は休職することなく、リヴァに勤めてもう5年になります。

 

やっぱり、1年目より2年目のほうができることは増えますし、それだけ周りからも信頼されるようになりますよね。

 

短期間でパッとやるよりも、浮き沈みの波をできるだけなくして、長期的なゴールに向かっていく生き方のほうが自分は楽だし、生きやすいなと。

 

 

「楽しい」の定義が変わった

あと、「楽しい」という定義が変わったと思います。

 

その当時は、もう刹那的な、瞬間的な刺激のあるものが楽しいとか、それが幸せだと思っていたんです。

 

そうじゃなくて、今は「何となくいい」みたいなものを「楽しい」と感じられるようになりました。

 

和やかな日々が続いていく…みたいなのが、自分の中でしっくり来る幸せなんじゃないかと思うと、刹那的に瞬間な刺激のものを求めなくなっていきましたね。

 

定年後のおじいちゃんじゃないですけど(笑)。

 

 

短距離走から長距離走に変わるには

方法は、もちろん一つとは言わないんですけど、僕自身、一番変わったのは、「人に頼る」ということです。

 

今までは、「一人で結果を出さないと評価されない」と思っていたんですけど、人と協力したほうが、一人でやるよりも、効率よく結果が出て、自分も楽になりますよね。

 

「人に頼る」ことを敬遠していたのは、

 

「こういうのを人にお願いしたら、何て思われるんだろう」

「分からないって言ったら否定されるんじゃないか」

 

といった「恥ずかしさ」にありました。

 

特に、今までは双極性障害のことを隠して生きてきたので、自分の弱みを見せることに抵抗があったんです。

 

だからといって、この記事を見ている人全員に、「弱みを開示しろ」とは言わないです。

 

ただ、疾病あるなしに関わらず、うまく仕事をしている人って、人に相談したり、甘えるのがうまいように思います。

 

 

「それって本当?」と自分に問いかける

今までは、こうあるべきみたいなのが強かったんです。

 

だけど、それはあくまで一つの視点でしかないですよね。

 

「〜すべき」と思っていること「それって本当なの?」って自分で問いかけてみることで、バランスの良い視点に切り替えることができるようになりました。

 

仕事に対する視野が狭くなって、「この選択肢しかない」と思ってしまったときに、

 

「それって本当?」

 

と、自分を客観視したり、難しい場合は、人に話したり、相談したりすることを心がけています。

 

実際、人を頼ったり、巻き込んだりすることが上手くできるようになってから、働きやすくなりましたね。

 

続きは第4回へ

 

 

松浦秀俊さんのインタビュー

【Part1】自分をうつ病だと思っていた大学時代までの話

【Part2】軽躁の勢いで仕事をこなし転職を繰り返す…

【Part3】生き方を長距離走的に…楽しさの定義も変わった

【Part4】「人と関わることで、世界は変わっていく」

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

お名前
メールアドレス
保有資格・所属・ご要望など

シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
38

関連記事