障がいをもつ子どもが社会的に自立できるように【濱島寛乃さんPart1】

2017.06.08公開 2017.06.10更新
 
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今回は、児童発達支援・放課後等デイサービスSmile Seed(東京都指定多機能型事業)を2017年4月に開所した代表の濱島寛乃さんにお話を伺いました。

 

 

社会で生きていくための療育

はじめまして。濱島寛乃と申します。

 

2017年4月1日付けで東京都からの指定を受け、高田馬場に児童発達支援・放課後等デイサービスの多機能型事業所であるSmile Seedを開所することになりました。

 

Smile Seedは、療育(※1)支援を通じて、社会で生きていく力を育んでいく所で、普通学級にいるけれども、なかなかうまく生活できなかったり、特別支援学級に在籍している軽度の知的障害の子どもたちを主な対象にしています。

 

(※1)障がいをもつ子どもが社会的に自立できるように取り組む治療や教育のこと

 

「児童発達支援」「放課後等デイサービス」と言うと、国や自治体が運営しているイメージがあると思います。

 

Smile Seedは、東京都から「東京都指定多機能型事業」という指定を受けているので、自治体が運営しているものと同じ金額体系や施設となります。

>>Smile Seedさんの詳しい内容はこちら

 

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将来の夢の選択肢を増やせるように

実はうちの息子も、アスペルガー症候群、ADHD、LD(学習障害)を持っていて、特別支援学級に在籍していたことがSmile Seedを開所したきっかけにもなっています。

 

発達障害を持つ子どもたちは知的障害を伴わないので、障害者手帳が出にくいケースが多く、最近は就労支援等が拡充しつつありますが、まだまだ社会的支援や就職先が不十分であることがすごく多いんですね。

 

その一方で、普通に将来の夢があったり、普通の社会人になって「ああなりたい、こうなりたい」という想いがある。

 

私たちは、そういった子どもたちの想いを応援してあげたいと思っています。

 

将来の夢を持てて、仕事に就いて、自立して生活ができて、結婚して子供が生まれて…といった人生の選択肢を増やせるところまでサポートすることは私たちが絶えず見据えてる目標でもあります。

 

 

児童発達支援での取り組み

児童発達支援では、小学校入学前の子どもたちを対象に、集団で生活をしていくためのスキルを身につけていきます。

 

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例えば、着替えができる、食事が1人でできる、お手洗いがちゃんとできるといった基本的なことから、決められた時間内で決められた行動をするといった集団行動の練習などがあります。

 

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そこで取り残されてしまうと、本人もすごく辛い思いをしますし、「なんでだろう」ってめげちゃったりすると思います。

 

もちろん、最初から何でも上手にできるわけではないので、一つひとつの行動に対して、カードを用意したりしながら、「次は何をやるか」と分かりやすく、丁寧にやっていくということを大切にしています。

 

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子どもたちの中には、今の瞬間が一生続くという感覚を持っていたり、今を楽しめなかったり、絶えず次のことしか考えられないなど、様々な感覚を持ち合わせてる子どももいます。

 

ですので、個別の子どもたちに応じた対応や声掛け、絵カードの提示の仕方には常に心を配っています。

 

 

「僕は一人になりたいんだ」

昨日来ていた小学校の男の子の話ですが、じゃんけんに負けて悔しくて、どうして良いか分からなくなって、「わー!」とパニックなってしまったんです。

 

「どうしたの?」と聞いてみると、「僕は一人になりたいんだ!」と。「いいよ」と言うと、「えっ、いいんだ?」とキョトンとしていました。

 

「危ないことのないように、ちゃんとカメラから見てるから、一人にしてあげるね」

「うん」

「何分間、一人になりたいの?」

「2分」

「じゃあ2分経ったら出ておいでね」

 

そんな会話をして、キッチンタイマーを2分にセットして渡したら、2分後にちゃんと戻ってくるんですよ。

 

彼が出てくるまでの2分間、モニターで観察しながら、2分で出て来れなかった場合の次の策をあれやこれや考えたりもしていましたが…。

 

戻ってきてからは、きちんと順番通りに自分の机を拭いて、歯磨きをして、他の子どもたちと手遊びに参加していました。

 

 

「一人になりたい」と言えることがすごい

まず、「一人になりたい」って自分で言えることってすごいことで。

 

気持ち高ぶってしまうと、そのループにはまってしまって、「一人になりたい」なんてなかなか言えないんですよね。

 

だからこそ、「一人になりたい」って言えたことをまず褒めて認めたんです。そして、その後に「何分間が良い?」って自分で時間を決めさせて、その時間内にちゃんと出て来れた。これもすごいこと。

 

本人はクールダウンがしたくて「1人になりたい」と言ってるのに、それを否定して、さらに手遊びなどに参加させないとなってしまうと、それは罰になってしまいます。

 

私たちは罰を与えるためにやっているわけではないですし、気持ちが「わー」となったり、ムカッてくることは人間誰しもありますよね。

 

そういった感情をうまくコントロールできるようになるために、子どもが自分でちゃんと落としどころを見つけて、「2分、僕は一人になりたい」「2分経ったら戻ってくる」と言えたことをまず認めてあげることがとても大事だと思っています。

 

 

放課後デイサービスでの取り組み

放課後等デイサービスになると、子どもたちは学校での勉強が始まってきます。

 

ただ、親御さんには、

 

「うちは学習塾じゃないですよ」

「療育の一環で、いろんなワークを取り入れてます」

 

と親御さんにはっきりお伝えしています。

 

ワークの1つとして、「脳トレEQジム」というものがあります。EQは、IQ+心という部分で日本では「こころの知能指数」と言われています。

>>脳トレEQジムのサイトはこちら

 

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「脳トレEQジム」のワークを進めていくと、計算問題なども出てきますが、基本的には、空間認識能力、ストレス耐性などといった、普段生活していく上で必要な基礎能力の土台を作るところを繰り返しやっていきます。

 

しっかりした土台ができると、そこに積み重なってくる勉強面での学習能力も安定してくると思っています。

 

ですので、親御さんも「宿題は家でやらせるから、EQジムをやらせてください」と言ってくださる方が多いですよね。

 

その他にも、ソーシャルスキルトレーニング(SST)の教材を用いて、社会で生きていくためのルールやマナーを学んでいきます。

 

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それも個別にやるのではなく、3人ぐらいの小グループでそれぞれの意見と価値観を引き出した上で、どうすることがベストかを話し合いながら考えるという風にしてます。

 

私たち大人が持っている常識と、子どもたちが生活の中で自然と身に付いけていった常識って、必ずしもイコールじゃないと思います。

 

なので、SSTのワークをやる時も、頭ごなしに「これはこういうことだからこうだよ」とこちらから言うのではなく、その子がどういう考え方なのか、どういう常識や認識を持っているかということを、必ず聞いて引き出すようにしています。

 

 

集団生活が苦手な理由が必ずある

集団生活が苦手な子どもは結構多いですが、集団生活や行動が得意じゃないことには必ず理由があるんですよ。

 

私たちが大切にしなくてはならないのは、その理由をまず知って、共感して、理解してあげることですよね。

 

原因となるものが取り除けるものであれば、なるべく取り除いた環境を用意したり、もしくは良いイメージになるように置き換えてあげるようにします。

 

「この子はいたずらをする、だから悪い子だ」

「この子は悪い子です。だからいたずらをする」

 

これだと、ただの循環論なんですよね。何の解決にもなってないんです。

 

「この子、集団生活が苦手です。なぜなら〇〇だから」「この子は〇〇だから、集団生活が苦手です」って言ってたら、いつまでも解決しないんですよね。

 

例えば、「ずっと座っていなくちゃいけない」という場合も、

 

「座っていなさい!」

「なんでできないの?」

「みんな座っているでしょ?」

 

ではなくて、

 

「隣の子との距離が近くてストレスを感じているのかな?」と少し間隔を開けてみたり、「座り心地が悪いのかな?」と座布団を渡すといったことを心がけています。

 

 

小さな成功体験を通じて「できる」を増やす

また、プログラムやタイマーを渡して「◯分でおわるよ!」と見通しを立ててあげたり、「こうやるとすごく格好良いし、すごく素敵なことなんだよ」という言い方をするだけで、出来てしまう子もいます。

 

もしかしたら、体幹がまだしっかりしていなくて、上手に座れないだけかもしれません。

 

ちゃんと原因を見つめて、そこに置き換える何かを示してあげたり、少し先の未来が見通せるようになると、子どもたちもクリアできたりするんですよね。

 

そうやって、小さな成功体験を増やしていき、たくさん褒めて定着(強化)させ、最終的に「できる」を増やしていきます。

 

 

あくまでも家庭が要

Smile Seedには、週2、3回ペースで通う子どもが多いので、普段の生活では、必然的に学校、保育園、家庭で過ごすことが多くなります。

 

ですので、Smile SeedでやったことをSmile Seedで終わらせずに、その子が生活のリズムをきちんと自分の中で整えられるように、親御さん、保育園・幼稚園・学校と連携していくことが大事だと思っています。

 

実際に、お母さん方から、こんな話を聞くことがあります。

 

「担任の先生に、どう話したら良いか…」

「『語彙が足りないから、語彙が増えるような療育をしろ』って言われたんです…」

「『療育しろ』って言われるんだけど、何をどうして良いか分からない…」

 

「それは分からないよね」と、まず何事も共感から始めています。

 

おうちに帰ってからどうか、保育園等に行ったらどうかといったところまで見据えて、「こうやるとすごくスムーズですよ」とアドバイスさせてもらったり、絵カードを作るお手伝いをしたりと、それぞれのご家庭に合わせた支援を行っているんですよ。

 

扇の要に家庭があると思うので、私たちはその扇の骨組みをお手伝いしながら、1つの扇を作ることが、子どもたちにとっても生きやすくなるのかなと思います。

 

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育児に辛くなったらいつでも相談してほしい

Smile Seedに来てくださる親御さんには、

 

「保育園の先生に『この子は発達の遅れがあるかもしれない』と言われた」

「3歳児検診の時に『発達の遅れがあるかもしれない』と言われた」

 

という方ももちろんいらっしゃいます。

 

その一方で、実際にお話を聞いてみたら、「発達障害でも何でもなかった」「ただの育児の悩みだった」という人もいます。

 

ここに来てくださる親御さんのほとんどは、

 

「みんなと一緒に楽しく過ごして欲しい」

「人並みの学力や生活能力があって、保育園のお友達と離れることのないようにしてあげたい」

 

という方ばかりで、最初から「何をどうして欲しい」ということがない人がほとんどなんです。私たちのスタンスとして、どんなことでもウェルカムです。

 

療育サービスを利用できるかは別としても、ちょっと育児の中で辛さが出てきたりしたら、相談にだけでも来てほしいと思っています。

 

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続きは第2回へ

>>Smile Seedさんの詳しい内容はこちら

 

 

濱島寛乃さん全インタビュー

【Part1】障がいをもつ子どもが社会的に自立できるように

【Part2】息子が生きることを諦めなかったから今がある

【Part3】「子どもは親の笑顔を見ていたいから」

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

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