【第27話:スタンダード】〜お父さんうつ日記〜

ある時、母が言いました。「なんでうちの家族ってこんなに普通じゃないかしら」と。

 

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私はこの言葉に疑問を持ちました。「うちってそんなに普通じゃないだろうか?」

 

第1話でも書きましたが、私は私が直面している家族の状況を「ごく普通」と捉えていました。

 

「一見、普通に見えるところに『生きづらさ』が潜んでいるという状況は、実は今更言及する必要もないほどありふれたことなんじゃないだろうか」と考えていたからです。

 

隣の家族、友人の家族の抱える問題は外から分からない。だから、自分の家族が問題を抱えていると「自分たちだけ」と思ってしまうんでしょう。

 

でも、本当のところは分からない。もしかしたらみんなそれぞれ大なり小なり悩みや生きづらさを抱えているかもしれない。

 

でも、「私たち!辛いです!!!!!」なんて公言しながら生活している訳にもいかないし、それぞれが自分たちのやり方で、問題と向き合いながら生きてるんじゃないかなぁと思ってこの4コマを描きました。

 

とは言いつつ、最近振り返って思うのは、「そう思っちゃうのも仕方ない」ということです。

 

母の気持ちも分かる。もし父がうつ病患者じゃない“普通”の父親だったら。

 

「父母共に健康で、元気な子どもがいる。別にお金持ちじゃないかもしれないけど、日々平穏に過ごして、それなりに不自由なく暮らす。」

 

そういうことがスムーズに実現したかもしれない。実現したかもしれないんですね~・・・。

 

してたらどうなってたんだろう。もしそうなったら、それはすごく幸せな状況の気がするけど、それが“普通”なんだとしたら、私も「なんでうちの家族ってこんなに普通じゃないかしら」と言いたくなると思う。

 

そして望めば、その“普通”が手に入るなら、正直私は喉から手が出るほど欲しいです。

 

そんなこと言うと父にはすごく申し訳ないけど、やっぱりそう思う気持ちは否定できないかなぁ。

 

でも、もう手に入らないと分かってるものをずっと欲しがり続けるのは苦しいから、そういう気持ちを落ち着けるためにこういう4コマを描いたのかもしれないですね。

 

「仕方ない」と思えればいくらか楽になりますから。

 

【第28話を読む】

 

 

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【執筆】

シブ子

 

 

 

 

 

 

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  • 本記事は2017年7月2日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。