うつ病からの社会復帰 『ワールドカフェ・ダイアログ』参加レポート

2017.08.10公開
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今回は、臨床心理士の三瓶真理子さんに、医療・保健・職場の連携で変わる、うつ病からの社会復帰 vol.4『ワールドカフェ・ダイアログ』(主催:株式会社リヴァ主催、共催:株式会社ベータトリップ共催)の参加レポートを書いていただきました。

 

 

リヴァトレ御茶ノ水へ!

7月5日、水道橋の駅に降り立った私は、元同僚の保健師とともに、株式会社リヴァが運営する、うつ病の再発予防、職場復帰のトレーニング施設「オムソーリ御茶ノ水(8月1日よりリヴァトレ御茶ノ水に施設名を変更)」へ向かった。

 

リヴァのホームページを見ると、「うつになる前よりも、回復後の方が素晴らしいと思える人生を一緒に歩もう」と書いてある。(7月5日時点)

 

素晴らしい!こういう考え方は大好きだ。

 

その日、オムソーリ御茶ノ水でおこなわれていたのは、「医療・保健・職場の連携で変わる、うつ病からの社会復帰vol.4」。

 

『当事者中心のサポートとは』というテーマで、ワールドカフェ形式のダイアログ(??)を用いて、職場復帰支援に関わる関係者たちで話し合いましょう、というものだった。

 

 

主催者、共催者の想いに共感

正直、ワールドカフェで何がおこなわれるのか、よくわからなかった。

 

しかし、主催しているリヴァさん、そしてベータトリップの林さんは、本気でうつで困っている人たちのためになることをしたい、と思っている方々だ。

 

彼らに会って、話をするだけでも、十分元は取れるだろう(失礼)、と判断した私は、参加することを決めた。

 

 

ワールドカフェ当日

当日のワールドカフェに集まったのは、産業医や産業保健スタッフ、医療機関関係者、企業の人事担当者など、総勢31名。

 

ランダムに(しかし、よく考えられた)6つのグループにメンバーが分けられ、自己紹介とともに「オープンダイアログ」の形式で、『当事者中心のサポートとは、一体どのようなものか』について各々の考えを話していく。

 

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「オープンダイアログ」とは、一つの答えを求めるような「閉じた」会話でなく、聞き取りや仮説を立てたりすることもせず、自由に質問したり、応答したりしながら会話が進んでいく、開いた「治療的会話」の場である。

 

参加者は、互いが独自の気持ちや考えを話すのを聞きながら、自分自身を振り返ったり、新たな理解を得たりして、気づきを深めていく。

 

 

専門職とうつ当事者が一緒に話せる機会

この会の素晴らしいところは、各グループにうつを経験した当事者の方が入っているところだ。

 

専門職だけで話し合ったり、うつを経験した方が一方通行で自分の体験を話したり、という機会は、他でもあるかもしれない。

 

しかし、うつの経験者(当事者)を交えて、『当事者中心のサポートとは何か』を話し合う、というのは、経験したくてもなかなかできるものではない。

 

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うつ病の再発予防、職場復帰トレーニング施設を運営しているリヴァが主催していること、また、彼らが利用者であるうつの当事者の方々と、良い関係を築いているからこそ、私たち専門職も恩恵を受けられるのだな、と感じた。

 

 

ワールドカフェを通じて対話する意味

話を元に戻そう。セッションは3つに分けられ、1つのセッションが終わると、同じグループだったメンバーは他のテーブルに移動する。

 

そして、また同じテーマで話し合いを行い(これが2回目のセッション)、3回目のセッションで再度最初のグループに戻り、得られた考えをシェアする。このやり方を、「ワールドカフェ形式」と言うそうだ。

 

10人、ひとがいれば、10通りの考え方があることは、想像に難くない。

 

10通りの考え方から得られるものもある。

 

しかし、このワールドカフェ形式のダイアログは、それ以上のものを提供する。

 

体験してみて感じたのは、グループのメンバーが変わると、「力動も変化する」ということだ。

 

「同じテーマなのに、全く違った方向性で話が進んでいく…」

「あれれ?私はその話じゃない話がしたいのに…

「あの人とあの人は主張が強いからな、ここでは黙っておこう…」

「さっきのグループでは、積極的に話をすることができたのに…」

 

集団では、他のメンバーそれぞれが「自分の鏡」になる、とはよく言ったものだ。

 

安全な場で自分の話ができ、周囲に否定せずに受け入れてもらえることが「治療的会話」の中核だが、グループによって得られる自分への気づきがさらに、この先の糧として、治療的な意味合いを持っていくのだろう。

 

 

気づきを得た当事者からの声

さいごに、『当事者中心のサポートとはなにか』というテーマで、私が得られた気づきについて。

 

うつなどの当事者の方と関わる時、関わる人はそれぞれ、「本当に本人(当事者)のためになるサポートをしたい」と考えていると思う。

 

しかし、当事者の『何』をサポートしようとしているか、常に意識している人はどのくらいいるだろうか。

 

そして、そのサポートを、当事者が必要としているかどうか、意識できている人はどのくらいいるだろうか。

 

私の場合は、「その人がまた元気に働けるようになること」をサポートする。

 

しかし、相手の方のフェーズによって、「今」欲しいのはもっと別のサポート、ということもあるだろう。

 

最も心に残った気づきは、やはり当事者の方々が語った言葉だった。

 

「専門家としてのサポートもそうだが、『人としてのサポート』、これが嬉しいんだ。」

 

「うつで支援を受ける方にいると、支援を提供する相手を『完璧な存在』だと思ってしまう。

 

うつの当事者は、『頼りたくても頼れない』というのが病であり、特徴的な部分だと思う。

 

だから、お互いの『弱さの情報公開』…支援者が完璧ではないところを見せることも支援になる。」

 

教科書では得られない、気づきを得た。

 

やはり、この会に参加して良かった、と感じた。

 

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【執筆者】

三瓶真理子 臨床心理士

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