「諦めず、真っすぐ前を向いて生きていく」【赤津ゆいさん Part3】

2017.10.31公開
 
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妊娠発覚後の変化

私の妊娠が分かってから、祖母が毎日、何か物思いにふけったような顔になってしまいました。

 

「私が妊娠したからいけないんだ」と思って、毎晩ずっと泣いていました。健診にも行けなかったです。

 

過干渉だったおばの家に行って、「赤ちゃんがおなかの中で死んでいるかもしれない」といったことを色々と考えて、ようやく健診を受けられました。

 

今思えば、祖母も不安だったんだと思います。

 

普通、妊娠したら結婚とかそういう話が出るのに何もないし、相手の母親からはおなかの子のことを「いらない子」「望まれてない子」って言われました。

 

 

「どうしても中絶してほしい」

中絶するという話にもなったんですが、やっぱり私は中絶はできなくて。

 

そしたら、相手の母親が私の全く知らない第三者を連れてきて、「どうしても中絶してほしい」と頭を下げてきたんです。

 

そのことがきっかけになり、「あんな男いらない。自分で育てる」と、私の気持ちははっきりと決まりました。

 

その後、病院の助産師さんが市役所の保健師さんにつなげてくれて、保健師さんが定期的に来てくれるようになりました。

 

病院に行けば助産師さんが話を聞いてくれて、保健師さんも定期的に来てくれて、精神的にも安定を取り戻しました。

 

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安心した状態で出産に臨めた

カウンセリングも受けて、だんだんと復活して、安心した状態で出産に臨めました。やっぱり出産は少し不安にはなりましたけど。

 

ただ、産後うつなど色々な心配事に気にかけてくれる病院だったんです。

 

助産師さんがすごくいい人たちで、看護師長が話をわざわざ話を聞きに来てくれるんですよ。

 

看護師長に肩をもんでもらいながら話を聞いてもらえたり、授乳室でお母さんたちと話し合えたりして、とてもいい環境だったと思います。

 

そういった支えがあって、産後も順調に過ごすことができました。

 

 

私は母親でありたかった

頭下げられてまで中絶してほしいと言われても、出産しようと決められたのは、やっぱり「命」だからだと思います。

 

中絶をするということは殺すことになるし、私は母親でありたかった。

 

「何で子どもを犠牲にしなくちゃならないんだ」という気持ちでした。

 

子どもが好きで、高校のときも保育園にボランティアで絵本の読み聞かせに行ったり、実習に行ったりしていました。

 

それなのに自分の子どもを殺したりしたら、もう子どもに携わることなんてできない、と思ったんです。

 

もし育てられなくても特別養子縁組という法律もあるし、私は産むんだと決めました。

 

 

駄目もとのお見合いパーティで

出産は帝王切開でしたが、出産後3カ月目ぐらいからスーパーで働き始めて、生活保護からも抜けました。

 

子どもを祖母に預けてレジ打ちをひたすら頑張っていた時に、お見合いパーティーを知り、駄目もとで申し込んだら、抽選に当たりました。

 

産後、これほどおしゃれをしたことあったか、というくらいおしゃれをしてお見合いに行って、今のパートナーと出会いました。

 

本当に運がよかったと思います。約1年前の話です。

 

 

彼と子どもがいるから今がある

私の活動も理解してくれて、支えてくれているし、金銭面でも支えてくれています。

 

彼と子どもがいるから今の自分がいて、どれか1つでも欠けたら私は今に至っていないと思います。

 

シングルマザーとして子どもを産んで良かったと思っています。

 

辛いこともありましたが、職場に同じシングルマザーの人や、シングルマザーだったけど今は結婚している、という女の子もいたので、職場での出会いも良かったですね。

 

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相談できる場所に繋がるのは難しい

ボンドプロジェクトの橘さんにも言われたことですが、「相談上手」だと言われるんです。的確な相談場所を知ってる。

 

法律だったら法テラスに、妊娠出産のことだと保健師や助産師に、とか。でも、そういったところと繋がれる人って少ないんですよね。

 

『思いがけず妊娠してしまったら』というパンフレットがあるんですが、そのパンフレットが置いてあるのが産科の前なんです。でも、めったに行かないじゃないですか、産科なんて。

 

何かに困ったとき、本当に相談できる場所に繋がるのは難しいんだろうな、と感じました。

 

でも私みたいに、変なNPOに引っ掛かって、風俗で働いて、最悪死んでしまうこともあります。

 

困ってる人が適切な相談場所を知らないというのは大きな社会の課題だと思っています。

 

 

子どもの心に寄り添う活動を

これからの活動では、子どもの心に寄り添うということを大切にしたいと思っています。

 

心に寄り添わないと分からないことってあると思うんです。ただ、寄り添いすぎても離れすぎてもダメなので、程よい距離感で。

 

人に寄り添うには、それだけ自分が人間としてしっかりしていて、強くなっていなければならないですよね。

 

優しさは人間としての強さで、その強さが人間としての魅力や包容力につながっているのかな、と思います。

 

偽りの包容力で寄り添っていても子どもはすぐ見抜くので、やっぱり真摯に向き合っていくってことが重要です。

 

 

子どもも一人の人間。信じることが大切

程よい距離感で寄り添うには、子どもを信じることが大切だと思います。

 

あれができない、これもできないと頭から決めつけていると、子どもは嫌がります。

 

信用して見守ってあげることで、「見てくれてるんだな」って分かってくるんです。

 

保育士さんや幼稚園教諭さんを見ていてもそうですが、子どもに携わるということは子どもを信用することだと思っています。可能性を秘めてる者たちですから。

 

可能性を摘むのも芽生えさせるのも大人。それを忘れてしまうと、子どもの尊厳を汚してしまうことになると思うんです。

 

子どもも1人の人間だし人格だからこそ、それを踏みにじることは紛れもなく虐待なんです。

 

 

無理に生きにくい所にいる必要はない

子どもたちに伝えたいのは、「逃げてもいいんだよ」ということです。

 

無理に生きにくい所にいる必要はないし、逃げることだっていいことなんだよということを伝えたいですね。

 

生きづらい時はその場から逃げて、生きやすいほうに行ってもいい、という選択肢を見つけてほしいです。

 

家庭以外になかなか居場所を見つけられない子どももいると思います。

 

そんな子たちのために、図書館においでという取り組みもあります。

 

NPOでもいいから頼れる大人のところに行こう、自分で命を落とすまでつらいならそこから逃げよう、という呼びかけをしています。

 

必ずしも無理やり親と一緒にいる必要はないし、親と自分は別の存在なんだから、親に支配されることはないと思うんです。

 

理不尽な暴力を受けて、裸足で家を出されて、街をさまよっていた頃の自分にもやっぱり、「抵抗しよう、逃げよう」と声をかけたいです。

 

「もっといい選択があるよ」って。

 

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シングルマザーだからといって諦めない

思いがけず妊娠をしたシングルマザーの人は、まず「妊娠かな」と思ったら、迷わず助産師さん、保健師さん、看護師さんに話してほしいです。

 

自分を自分で発信することが必要になってくると思うのでためらわないでほしい。必要であれば法テラスも活用することができます。

 

シングルマザーだからといって諦めずに、「これならできる」という1つの可能性に向かって走っていってもらいたいです。

 

人間の生き方に型なんてないので、シングルマザーだから、未婚だから、シングルファザーだからって諦める必要はないし、人間だから人間らしく生きてほしいと思います。

 

 

しんどい時や落ち込んだ時の対処法

とはいえ、私もしんどい時や落ち込んだりすることもありました。

 

私の場合は市役所の保健師さんが来てくれたことと、カウンセリングを受けていたということで立ち直ることができました。

 

カウンセリングは保険は利かないんですけれど、今は自立支援法があるので、それを申請すれば1割で受診できるんです。

 

精神科や診療内科ってどうしても敷居が高く感じられてしまうんですが、心も体の一部です。

 

メンタルヘルスをケアするのも人として必要なことなので、ためらわず行く、ためらわず話すということが楽になる一番の近道なんだと思います。

 

 

話したり書いたりしてモヤモヤを吐き出す

もし、Remeなどに相談しようか迷ってもやもやしている人がいたら、モヤモヤは後回しにしていいから、今の一番しんどいことを話したほうがいいと思います。

 

モヤモヤは後になって解決することもありますし、話すことによってモヤモヤが出ていくこともあるので、まずは話すことですね。

 

話すのがしんどかったら文字に書いてもいいです。

 

言葉にできないんだったら絵にしてもいいし、何だっていいんだと思うんです。自分を表現できる方法で吐き出してほしいです。

 

 

真っすぐ前を向いて生きる

私が大事にしているのは「真っすぐ生きる」ということです。

 

真っすぐ生きると、後ろのことが見えなくなるんですけれど、私はそういう生き方しかできないと分かっているので。

 

真っすぐに生きて、どんな問題に対しても適切な相談場所で対処することを覚えていくというのは、生きていくうえで必要なことだと思います。

 

ちゃんと、信用できる人とか場所を持っていてほしいです。

 

諦めず、真っすぐ前を向いて生きていれば、いつかは報われると思います。

 

 

【赤津ゆいさんインタビュー完】

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赤津ゆいさん全インタビュー

【Part1】「私はいらない子」とずっと思っていた子ども時代

【Part2】自分の居場所や愛情を感じない世界で

【Part3】「諦めず、真っすぐ前を向いて生きていく」

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

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