ひだまりを通じて「心の引き出し」をたくさん持てるように【後藤美穂さんPart2】

 
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精神科の看護師を志したきっかけ

もともと、私が精神科の看護師を志した一番初めのきっかけは、すごく身近な人を自殺で亡くしたことでした。

 

すごく可愛がっていた従弟で、近くにも住んでいたし、近くで見ていたけれども、心の病といったことには全く気づけなくて。

 

その子が高校生の時、クリスマスイブに、家族全員でクリスマスケーキ食べて、「また明日ね」とみんなで別れたその日の夜のことでした。

 

12月25日の早朝に、みんなで探しに行って、飛び降り自殺していたところが見つかったんです。

 

見つかった後、その子の部屋に戻って来ると、いつも散らかってた部屋が、その時はピシッと整理整頓されていて。

 

クリスマスイブの夜、「明日もみんなでケーキ食べようね」と言って別れたけど、従弟はもうみんなとケーキを食べないことを分かっていて、自殺したのかもしれない…

 

そう思った時に、私の従弟や、その周りにいる家族や親族みたいな思いをする人を出したくないなと強く感じたんです。

 

当時の私はまだ看護などの勉強をしていない普通の高校生でしたが、この思いはずっと私の中であって。

 

それから、精神科の看護師を志すようになりました。

 

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「私、このままじゃだめだ」

看護師になってからは、約5年間、精神科病院の閉鎖病棟やデイケアなどで働いていました。

 

精神科の看護師として働きはするけれども、病院ではやはり薬物療法中心で。

 

患者さんともっといっぱい話したり、聞いてあげたいっていう思いがある一方で、業務で忙しくしているうちに、なかなか時間が作れずにもどかしく感じたりもしていました。

 

ある時、勤めていた病棟で、残念ながら患者さんが自殺されたことがありました。

 

そして、その自殺された患者さんの病室を見た時に、やっぱりピシッと整理整頓されていて。

 

私が従弟を亡くして、その子の部屋に入った時に感じた、あのサーッとする思いと全く同じ感覚が出てきました。

 

その時、「私、このままじゃだめだ」という気持ちが出てきたんです。

 

ここで看護師をしているよりも、入院や自殺となってしまう前のもっと軽い段階から、精神科領域の看護師や臨床心理士が、もっと話を聞くところから始めないとだめだな、と。

 

薬だけでは取れないモヤモヤ感に対処したり、考え方を楽な方向に持っていくことで、自分で自分の心をコントロールできるようになってもらいたい、という思いがだんだんと強くなっていきました。

 

 

産業保健師にキャリアチェンジ

精神科病棟を退職後、予防的なアプローチもできる産業保健師としてのキャリアを始めました。

 

企業で働く人のメンタルケアには、かれこれ10年以上携わっています。

 

うつで休職し、復職を本人が希望していたとしても、職場に戻れないケースは少なくないのですが、産業保健師として、いかに復職しやすい状態にしていくか力を入れて取り組んできました。

 

職場復帰や次のキャリアへ歩みやすくするために、自己モニタリングができる状態になることが一番大切なのかなと思っています。

 

例えば、躁うつの方で、仕事を頑張り過ぎてしまうと、そのうちダブルブッキングしたり、アポを忘れたりしてしまいます。

 

そういう方の場合、「そういったミスが出たらSOSだよ」といったチェックポイントを手帳にメモしておいたりして、自分なりに把握してもらいます。

 

ある程度、メンタルの状態が良くなってからにはなりますが、「こうなったらSOSだよ」という行動を把握していくことは、復職にあたってすごく大事かなと思っています。

 

また、自己モニタリングができるようになると、自分のSOSのサインに気づいてもらうだけでなく、SOSのサインが出た時の対処法やSOSがでないためのリストを書いてもらうようにしています。

 

「最悪な状態にならないために何をしたらいいのか」ということを思い出してもらうことや気づいてもらうこともやはり大事なポイントです。

 

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身近なコーピングをお守り代わりに

職場復帰を目指す方に、「身近なコーピングを20個出せるようになろう」とよく言っています。

 

コーピングは簡単に言うと「自己対処方法」という意味なのですが、お金がかかる方法ばかりだと、あまり実行できず形だけになってしまいますよね。

 

そうならないために、「自分がこの状態だったらリラックスできる方法」を20個、身近なところから見つけてもらうことを大事にしています。

 

でも、いきなり20個書けと言われても難しいかもしれません。でも本当に「身近」で良いので、例えば、

 

「コーヒー缶を開けた時の香りを嗅ぐ」

「とりあえずボーっとしてみる」

 

といった、お金がかからない本当に身近もので良いんです。

 

すぐできるコーピング20個を手帳とかにメモしておいてもらって、しんどいなって思った時に、すぐにできそうなコーピングを見て、対処するようにしてもらっています。

 

対処法として、病院に行くとか、誰かに相談することは、物理的に難しかったりとハードルが高い場合もあります。

 

自分ですぐにできて、かつ無料であれば、手軽ですし、それが20個もあると、お守り代わりにもなりますよね。

 

ひだまりでは、身近なコーピングを一人ではなく、グループワークを通じて見つけていくので、他の人の対処法で良いのがあれば、自分のものにしてもらったりもしています。

 

 

心に目を向けて生きづらさを和らげる

精神科病院、産業保健師の仕事を経て、私の問題意識として、生きづらさを感じている人たちがずっと生きづらい状態にいるということがあります。

 

そこで、ひだまりでは、医療制度の中だとうまく対処しきれない人にも、ちゃんとしたケアを提供したいと思っています。

 

特に、疾患まではいかないけれども…という方に対して、薬物療法を行って、一時的な気持ちを抑えることはできても、どうしても限界を感じています。

 

たまに、「具合が悪くなったら、薬飲めばなんとかなる」という方がいらっしゃいますが、心の根本から見つめて、辛かった場所から前に進んでいく必要もあるのかなと思っています。

 

医療機関に通って薬を飲んでても、どうしても根本の考え方が否定的になってしまったり、家族との関係でどうしても越えられないものがあって悩んでいる方々は存在します。

 

Part1でご紹介した女の子のように、お母さんに自分の意志を言えたところから自立が始まったことからも、その人の根本となる、心の問題にも目を向けていかなきゃいけないとは思っています。

 

だからこそ、ひだまりでは、利用者さんの生活に応じた問題点を見つけて、一歩ずつ解決していくことで、社会に出ていった時に、つまづきにくくなるためにも、活用してもらえればと思っています。

 

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相手を主語にして寄り添っていく

「私がこうしてあげたい」ではなく「その人がどうしたいのか」という視点を一番大事にしています。

 

ひだまりなどで接する方に対して、その人を主語にして対話をしながら、こちらの意見を押し付けず、その人の想いに寄り添っていくということです。

 

また、自分が今、思っている考えが100%正解じゃないと思えるための「心の引き出し」をたくさん持てる状態になってもらえたらと思っています。

 

今ある気持ちが全てじゃないですし、例えば、1人でどうしようもなく落ち込んだ時も、寝て起きたら、また気持ちは変わっているかもしれません。

 

ひとつの考え方に縛られない考え方を作るためにも、ひだまりではグループワークなどを通じて「こういう人もいるんだな」という気づきを提供していければと思っています。

 

ご興味があれば、ご自身が引きこもりかどうかに限らず、自分自身の心の健康を保つ意味でも、是非「ひだまり」に来てみてほしいですね。

 

 

これからの「ひだまり」への想い

今後のビジョン、チャレンジという面では、Part1でも触れたように、支援に繋がれていない女性の力になれる取り組みを進めていきたいという想いがあります。

 

20代〜30代の女性の約30%が自殺を考えたことがあるといったデータもあるように、悩んでいたり、生きづらさを感じつつも、声をあげられていない女性は多いと思っています。

 

そういった方に「ちょっと行ってみたい」と思ってもらえるような通いやすい居場所にもしていきたいですね。

 

最近では、「女性活躍」といった言葉もよく聞かれますが、そのためにもまずは女性が心の健康を保つことがすごく大切で。

 

自己効力感が下がった状態のままだと、結婚・出産・育児などの大きなライフイベントに対して前向きになれることことさえ難しくなる時もあります。

 

だからこそ、病院に行かざるを得なくなる前の段階から看護師として関わっていける、そんな仕組みが出来たらと思っています。

 

人って誰しもアップダウンがあって、落ち込む時も健康の時だってあります。

 

そんな時に、自分の心の健康を自分自身でも保っていけたら、苦しい時にちょっとでも楽になる可能性が増えるのではないでしょうか?

 

そういった可能性を増やすために、「ひだまり」でも何かお役に立てることがあれば嬉しいですね。

 

【後藤美穂(NPO法人CNSネットワーク協議会)さんインタビュー完】

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後藤美穂さん全インタビュー

【Part1】「ほっといい場所ひだまり」安心できる居場所作りを通じて

【Part2】ひだまりを通じて「心の引き出し」をたくさん持てるように

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

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