LGBTの割合ってどれくらい?本当に身近にいるの?【鈴木茂義さん】

2018.04.26公開 2019.05.23更新

LGBTの人ってどれくらいいるの?

LGBTの人口規模については、このような論文をネットで閲覧することができます。

 

LGBTの現状と課題―性的指向又は性自認に関する差別とその解消への動き―中西 絵里(法務委員会調査室)

 

その中では、

「LGBT層」に該当する人は【7.6%】との調査結果(電通ダイバーシティ・ラボ)、

 

LGBTに該当する人は【約5.9%】(株式会社LGBT総合研究所)、

 

LGBT当事者等(性的マイノリティ)は【8.0%】(日本労働組合総連合会)

といった調査結果があります。

 

これは企業等の調査であり、国などの公的な調査等は存在していません。

 

仮に、LGBTの人を少なく5パーセントで見積もると、20人に1人の割合で当事者と考えることができます。

 

学校のクラスで考えると、1クラスの定員40人学級に2人はいることになります。

 

あなたはこの5パーセントという数字を多いと感じますか?少ないと感じますか?

 

それともやはり、自分の周りには存在しない!と感じますか?

 

 

LGBTの内訳は?

LGBTは、L(レズビアン)・G(ゲイ)・B(バイセクシュアル)・T(トランスジェンダー)の頭文字をとったものです。

 

私は自分ことを男性だと認識していて(性自認)、恋愛対象(性的指向)が男性の、G(ゲイ)に当たります。

 

前述の論文では、Gの割合は1.94%、Lの割合は1.70%、Bの割合は1.74%、Tの割合は0.47%(いずれも株式会社LGBT総合研究所による調査)と書かれています。

 

100人の人がいれば、0.5人~2人の割合になります。

 

これらの調査方法や考察については色々な意見がありますが、LGBTの存在が可視化されるきっかけになったことは大きな一歩のように思います。

 

 

LGBTを身近に感じられない背景は?

私も自分自身はゲイの当事者ですが、20年間以上、他のゲイの人に会ったことはありませんでした。

 

目には見えないし、ゲイであることをカミングアウトしている人に出会ったこともありませんでした。

 

ですから、「自分の周りにLGBTの人はいない。」と言う人の気持ちもわかります。

 

ではなぜ、身近に感じることができないのでしょうか。

 

①教育の機会がなかった

私はLGBTや性的マイノリティについて、学校で習ったことがありませんでした。

 

テレビで見ていた「ホモ」「オカマ」といった情報は断片的なものでありました。

 

教科書にも載っていなかったですし、先生から話を聞いたこともありません。

 

同じように、私に勉強を教えてくれた先生方もそれについて習ったことはないと思います。

 

ですので、LGBTや性的マイノリティについての知識を手に入れたり考えたりすることがありませんでした。

 

②カミングアウトがしにくい

自分がゲイであることをカミングアウトすると、

 

「え?同性同士でセックスをするの?」

 

と即座にベッドの話題に結びつけられることがよくありました。

 

私は自分がゲイであることは、生き方、在り方、働き方、人との付き合い方と大きく結びついていると思っています。

 

しかし、「ゲイ=男性同性愛者」という看板だけが強く意識されがちなので、セックスの話題と結びつきやすいのかもしれません。

 

その部分に偏見や嫌悪感をもたれることで、カミングアウトしにくい状況が生まれていると思います。

 

LGBTの人がカミングアウトするかしないか、カミングアウトしにくい社会の雰囲気に問題があるのではないかと、このことについても色々な意見があります。

 

「カミングアウトしたい」という人がカミングアウトしにくい状況が、私のようなゲイの存在を感じにくくさせている部分もあるかもしれません。

 

③ロールモデルに出会いにくい

今でこそ、「同性同士で結婚式を挙げた」「パートナーシップの宣誓をした」という話を目にしますが、少し前はそのようなロールモデルに出会うことも難しいことでした。

 

私自身も好きな人とどうパートナーの関係をつないでいくか、家族になっていくか、なかなか想像しにくいことがありました。

 

ネットの掲示板などで出会った年上の友人カップルの関係性や生活を垣間見て、おぼろげながら自分たちの未来を考えたものでした。

 

これからはメディアだけではなく、日常の仕事やプライベートの場面で、ロールモデルに出会えることが増えるといいなあと思っています。

 

 

まとめ

今回は、「LGBTの割合ってどれくらい?本当に身近にいるの?」ということについて、お話をしてきました。いかがでしたか?

 

今回は数字を引用しながらLGBTの存在について話してきました。

 

しかしながら、大事なことは数字だけではありません。

 

私たちは社会の中で生きており、既に色々な人とかかわりながら生きています。

 

自分も豊かに生きてゆきたいし、自分の周りの人にも豊かに生きて欲しいと私は願っています。

 

目に見える存在であったもそうでなくても、マイノリティであってもそうでなくても、よりよい関係と心地よい関係を人々と積み重ねていきたいと思います。

 

私自身もまだまだ人間関係で失敗することもありますし、間違えることもあります。

 

いつも完璧でない自分を認めつつ、他者の完璧でない部分も受け止めながら、楽しく豊かな時間を過ごしていきたいです。

 

また次回のコラムでお会いしましょう!

 

【関連記事】

 

【Part  1】LGBTに関する日本の現状は?最近のニュースから解説

【Part  2】LGBTの割合ってどれくらい?本当に身近にいるの?

【Part  3】LGBTのイベント!東京レインボープライドとシゲせんせー

【Part  4】LGBTと差別問題の実態や背景…差別問題を乗り越えるには?

【Part  5】LGBTのカミングアウトをされたら?職場・家族の対応事例を紹介

【Part  6】LGBTのカミングアウトの割合や理由って?事例を挙げてご紹介

【Part  7】LGBTのカミングアウトについて~シゲせんせーが伝えたいこと~

【Part  8】【LGBT問題】教育現場での事例と解決策をシゲせんせーが解説

【番外編】らしく、たのしく、ほこらしく。東京レインボープライド2018レポート

 

【関連まとめ】

>>LGBTとは?割合・カミングアウト対応例・インタビュー【臨床心理士&当事者まとめ】

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鈴木茂義

上智大学文学部非常勤講師。公立小学校非常勤講師。東京都世田谷区男女共同参画センターらぷらす相談員。専門は特別支援教育、教育相談、教育カウンセリングなど。14年間の正規小学校教諭として勤務を経て現職。教育研究会や教育センターでの講師経験も多い。お仕事のご依頼・お問合せはこちら

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  • 本記事は2018年4月26日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。