覚醒剤の症状や特徴とは?中毒性について臨床心理士が解説

2016.03.01公開 2017.01.23更新
 
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有名芸能人やスポーツ選手が、覚醒剤や危険ドラックの使用で、警察に逮捕されたことが報道されています。

 

犯罪であることがわかっているのに、どうして使ってしまうのか?

捕まることがわかっているのに、どうして止めることができないのか?

 

今回は、そのメカニズムや心理に触れてみましょう。

 

 

覚醒剤や危険ドラッグを使用するとどうなってしまう?

これはネズミの実験でも明らかになっています。

 

本能的にネズミは暗がりを好むので、明るい所と暗い所があれば、暗い所に駆け込みます。

 

しかし、明るい所でたった2度の覚醒剤、もしくは危険ドラッグを摂取しただけで、そのネズミは本能を捻じ曲げられて、暗い所ではなく明るい所に駆け込むようになるのです(※)。

 

「人間の脳は、ネズミと違うから大丈夫」「ネズミと違って、意志の力でコントロール可能なはず」と思う方もいるかもしれません。

 

しかし、覚醒剤や危険ドラッグは、意志をつかさどる大脳に激しい血流障害をもたらすので、覚醒剤や危険ドラッグを摂取すると、意志の力は全く発揮できなくなってしまうのです。

 

 

覚醒剤や危険ドラッグを、一度使ってしまうと…

覚醒剤や危険ドラッグを摂取すると、それらを使用したい欲求ばかりに支配されてきます。

 

そして、仕事・夫婦関係・親子関係・子育てなどの日常生活を営むことができなくなります。

 

ごく普通に身の回りにあった様々なものが、「薬物使用欲求」の引き金(トリガー)になります。例えば、ペットボトル、音楽、衣服、香りなどです。

 

驚くべきことに、これらを目にしたり、耳にしたり、鼻にしたりするだけで薬物使用欲求に支配されてしまいます。そのため、薬物を止めるにはその人の趣味嗜好を全て変更せざるを得ないのです。

 

 

もし「覚醒剤や危険ドラッグを使用した」と大切な人から言われたら

ここであなたに質問があります。

 

あなたの大切な人から「今朝、覚醒剤や危険ドラッグを使用した。」と聞かされたら、あなたはどうしますか?

 

1、説得する(危険性を訴える)

2、説教する(害になることを伝える)

3、警察に通報する(通報義務は法律では定められていない)

4、ヤキを入れる(2度としないように恐怖感を植え付ける)

 

実は、覚醒剤や危険ドラッグの使用者は、上に挙げた対応を周囲の人々にされると、もう2度としないと思うよりも、逆にまた使用したくなってしまうようなのです。

 

したがって実際には、厳罰系の対応は、再使用防止の決定打にはなり得ていないようです。

 

 

覚醒剤や危険ドラッグに手を出すきっかけ

そもそも薬物を使用するきっかけになるのは、週刊誌で取り上げられているような「快楽」のためではなく、何らかの「苦痛を麻痺させること」であることが多いようです。

 

苦痛の中には、不安感、恐怖感、さみしさ、無力感、焦燥感が含まれます。

 

 

覚醒剤や危険ドラッグに、手を出さないようにするために

覚醒剤や危険ドラッグの使用者が周囲の人々へ求められる対応は、罪や害を説かれるような対応よりも、「どうやったら、再使用の衝動から逃れることができるのか」を具体的に共に考えてもらえることです。

 

そして、覚醒剤や危険ドラッグの再使用によって麻痺させようとしている「不安感、恐怖感、さみしさ、無力感、焦燥感」そのものをオープンに話し、共感してもらえることのようです。

 

しかしながら、覚醒剤や危険ドラッグの使用者が、薬物作用によって暴力をふるったりしているうちは、上記のような望ましい対応を配偶者や家族に求めることは酷です。

 

配偶者や家族は、まず自分自身の安全と安心を確保しなければなりません。具体的な方法は、臨床心理士などの専門家に躊躇せず相談してみてください。

 

また、まだまだ数は少ないのですが、薬物依存・乱用から回復した人や専門家などがグループを作って、薬物の支配から自由になるために、苦しんでいる人たちが集まれる場所を各地域で展開しはじめています。

 

そのような場所も支援の拠点になっていくのでしょう。

 

 

あなたは、本当に手を出さない?

今回は、覚醒剤や危険ドラックの使用の影響と心理について書きました。

 

皆さんは共感できるような内容はありましたか?

 

不安感、恐怖感、さみしさ、無力感、焦燥感をマヒさせたくて、お酒をたくさん飲んだり、コーヒーをがぶ飲みしたり、甘いものをたくさん食べたりしたくなるような、私たちが普段感じている気持ちと、彼らの気持ちは、さほど変わらないのではないかなと感じる部分もあります。

 

つまりは、条件さえそろってしまえば、覚醒剤や危険ドラックの魔の誘惑に引っ張られてしまうことは、誰にでもありうるのではないかと思うのです。

 

誰でも簡単に、覚醒剤や危険ドラッグに、誘惑されうるということをどうか忘れずに。

 

※参考文献:松本俊彦,小林桜児,今村扶美:薬物・アルコール依存症からの回復支援ワークブック.金剛出版.2011

 

cidd_profile【執筆者】

傍島史聡 臨床心理士

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