嫌いな人の対処!職場や飲み会での苦痛の解消策は?臨床心理士が解説

2019.01.06公開 2019.05.16更新

嫌いな人の存在が与える3つ影響

①体調悪化

仕事のストレスのうち、最も多くの方が感じているストレスは「人間関係」であると言われています。

 

離職率が高い職場に共通する問題として「人間関係」が挙げられていますので、嫌いな人が同じ職場にいる場合、うつ病や適応障害といった精神の不調を引き起こす可能性がとても高くなります。

 

②生産性の低下

「上司からの評価」「同僚や先輩といった仲間からのフォロー」などの人間関係が生産性に影響を与えることが研究によって明らかになっています。

 

つまり、「嫌いな人」がいる状況は、生産性に大きな悪影響を与えることになると考えられます。

 

③コンプレックスがわかる

そもそも誰かを嫌いになる心理の背景には、「自分の弱さ」があります。

 

例えば、

「あの先輩が嫌い」の背景には(あの先輩は自分の苦手なことを叱ってくるから嫌)

「あの子が嫌い」の背景には(自分にはない“かわいがられキャラ”がずるくて羨ましい)

といったように、「自分が苦手とすること」や「自分に欠けているもの」への“引け目”が隠されているのです。

 

したがって、「どうして嫌いなのか」を紐解くことで自分自身のコンプレックスを克服することができますし、将来的に「嫌いな人」を減らしていくこともできるのです。

 

以下の項目は「どうして嫌いなのか」を考えるヒントになります。

・自分自身がどんな相手を嫌いになりやすいか

・その相手に共通する特徴はなにか

・客観的に考えて、もし同じことを他の人がされたとしたら自分と同じように嫌いになるか

ただやみくもに「嫌いだから近づかない」のではなく、自分自身の成長のきっかけに変えてしまいましょう!

 

 

職場・飲み会時の嫌いな人への対処法

そうはいっても、苦手な人と毎日顔をあわせるのはストレスフルです。

 

嫌いな相手が直属の上司など、距離の近い人間関係ならばなおさら辛いですよね。

 

明日からすぐに使える「イメージを用いた嫌いな人への対処法」をご紹介します。

 

①嫌いな相手を小さな人形サイズに

これは特に上司や年上の相手といった「威圧感を感じている相手」に有効なテクニックです。

 

なんでも良いので、イメージしやすい小さなぬいぐるみを想像してください。

 

相手がその人形のような「質感」「サイズ」になっているようなイメージをしながら話をすると威圧感がやわらぎます。

 

相手の声を、小さなぬいぐるみが出すような「甲高い声」に変換してしまうのもおすすめです。

 

②白黒に変換する

2つ目は、いつもガミガミと叱ってくる先輩に有効なテクニックです。

 

相手の方だけが白黒の世界になったようにイメージしてみましょう。ここで大切なのは、しっかりとその白黒の世界に入り込むことです。

 

「白黒映画の中の出来事」のように、心理的な距離を置くことができるため、「怖い相手」から矢継ぎ早に飛んでくるダメージから心を守ることができます。

 

③自分の習慣を少し変えてみる

対人関係は自分でも気づかないうちに「型」になりやすいものです。

 

例えば、「いつも最初は仲良くなれるのに、徐々に希薄な関係になってしまう」など、あなたの対人関係には必ず「クセ」があるはずです。

 

そういった「クセ」を変えることで、嫌いな人とのいつものコミュニケーションに少し変化を加えてみましょう。

 

例えば、

「いつもは挨拶もあまりしないけれど、たまには旅行のお土産を渡してみる」

「普段は一緒に飲みに行かないけれどたまにはふたりで行ってみる」

「怒られたらすぐに謝るけど、次は反論してみる」

「いつも顔色を伺っているけど、それをやめて堂々と対応してみる」

といように「普段やらないことをやる」、もしくはその逆のことを行ってみましょう。

 

「クセ」を変えることで、嫌いな人とのコミュニケーションが少しでもスムーズになるパターンを見つけられるかもしれません。

 

 

さいごに

どんな人にも嫌いな人がいます。

 

しかし、それは健康なことで、むしろ自分に成長の機会を与えてくれるきっかけにもなりえます。

 

どうしても毎日嫌いな人と会わないといけない職場や学校はとてもつらいですよね。

 

みなさんがプラスに変えられるお手伝いになれればとても嬉しいです。

 

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広瀬絵美

臨床心理士

心理学の大学を卒業後、広告会社にて勤務。退職後、心理系大学院修士課程を修了し臨床心理士資格を取得。精神科病院にて従業員のメンタルヘルスケア業務に従事する。また、国立研究所にて職場組織や妊婦さんのメンタルヘルスに関する研究にも携わっている。理想的な「ワークライフバランス」を目指し、研究と実践の両面から支援を行っている。一児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年1月6日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。