公認心理師の受験資格や経過措置ってもう決まったの?

2016.03.11公開 2016.08.21更新
 
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「公認心理師の受験資格や経過措置って決まったの?」

−いいえ,まだ「国民のための資格」として資格制度の適正な運営が検討されている段階です。

 

 

公認心理師には,まだまだ検討段階のことがらもあります

2015年9月16日に初の心理職の国家資格である公認心理師の法案が公布されました。

 

また、2016年3月4日付で関連する政令の一部も公表されました。

 

しかし、具体的な育成プログラムや資格認定の細目は検討が続けられている段階です。

 

本当の意味で,国民の福祉につながる資格としてどうあるべきなのか,どのように資格制度を運営するべきなのか,関係者のみなさまは日々全力で検討していらっしゃいます。

 

 

こんな情報には注意が必要です!

そんな中で、一部では公認心理師を取りたい人に向けた情報も発信されているようです。資格取得を望む人には喜ばれるかもしれません。

 

しかし中には「今がチャンス」と取得のハードルが低いかのような印象を与える情報もあるようです。このような情報には注意が必要です。以下に私が気付いた範囲ですが,注意が必要な理由を述べます。

 

 

1.国家資格は利用者のためのものです

まず,今の段階で資格を取りたいと思う人の目線で資格を考えるのは危険です。

 

国家資格は資格を取る人のためにあるのではありません。有資格者による安全性の高い高度な専門サービスを利用者に保証するためにあるのです。

 

言い換えれば,資格は利用者のためのものです。「利用者のためにどうあるべきか」も検討されている途中ですので,資格の取得に関わる方向に注目が集まるのはいいことではありません。

 

今必要なのは「本当に役に立つ資格制度」にするための国民的な注目です。

 

 

2.今,公表されている事柄は「大枠」です

また,「今,まさに検討が進んでいる」事項が多いわけです。大枠は決まっていますが細部は「曖昧」なのです。

 

曖昧な情報は時に誤った理解を招きます。誤った理解に基づいて何かを計画したり,行動したりするとどのような不利益を被るかはかり知れません。資格を取りたい人にも不利益になるかもしれません。

 

 

3.難易度は高いものにならざるを得ないと考えられています

さらに,有識者の間では容易に取得できる資格にはならないという予想が大勢を占めています。

 

「心」は私たちの「存在」の中核です。

 

その重要さは体の問題と同じか,場合によってはそれ以上です。

 

間違った支援をすると,対象者や関係者が生きる気力を失ってしまう場合もあります。なので,心理職の仕事は常に最悪の展開を想定しながら,望みえる最良の状態への道筋を科学的に確認しながら行う高度な専門業務です。

 

当然ながら難易度の高い資格にならざるを得ません。

 

このような状況から,今は資格試験の運営を担う団体が決まってから,団体を通して正式な発表があるまでお待ちいただくことをお勧めします。

 

なお,今現在,信頼できる情報はこちらにまとめられています。
http://www.ccppn.net/news/

 

国家資格ですので,できるかぎり公的なリソースに基づいた情報を得るように心がけてください。

 

決して曖昧な情報から誤った理解をなさいませんようにご注意ください。

 

 

現状への私の感想

最後に公認心理師に関する私見を述べます。

 

「心」を支援する仕事の必要性は長く訴えられていました。しかし,既存の法律や心に関連する職種が心理職の存在を考慮せずに体系付けられていました。既存の体系を壊すわけにも安易に変更するわけにもいきません。

 

このような事情の中で国家資格化は遅れていました。しかし,志のある先生方,政治家さま,お役人のみなさまのご尽力のおかげで,待望の国家資格として公認心理師資格ができることになりました。

 

その結果,公認心理師資格には各方面からさまざまな期待が寄せられています。

 

その期待の一つに「臨床心理士より取得の間口が広がるかもしれない」というものがあるようです。

 

大学学部卒で取得できる道が制定されていますので,大学院修了に限定されている臨床心理士と比べると,そのように見えることは否めません。

 

しかし,本当に大事なことは公認心理師の支援を受ける方がどれだけ幸せになれるかです。

 

資格を取ることに注目する人ではなく,「資格を取ったら自分にはどのような支援ができるだろう。誰の力になれるだろう。」に注目してくれる方に公認心理師を目指していただきたい気持ちです。

 

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【執筆者】

杉山崇 臨床心理士

神奈川大学人間科学部 教授

 

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