メンタルハッカーほっしーが「もう死にます」と泣いた日と八方美人を捨てられた理由

2019.01.02公開 2020.05.30更新

八方美人の自分を一気に捨てられた

人に合わせるのではなくて、どうやったらもっと普通でいられるかなと思って、自分に自信のない原因を考えたんです。

 

これはブログにも書いたんですけど、顔に大きいホクロがあることがすごく嫌で、自信が持てない原因と思っていたんですよね。

 

それで、ホクロをレーザーで焼き切ったんです。あれ、すごいですよ。「シュッ」で終わりなんですよ。それでホクロが消えるんです。

 

1年くらいは跡は残るんですけど、「ついに、ホクロを取ったぞ」と。

 

高校の残りの1年は「お前、ホクロ取ったやーん」とかイジられるのを我慢しようと思っていたら、衝撃的なことが起きたんです。

 

誰も気づかなかったんです。ホクロを取ったことに。

 

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高校でも、ホクロはイジられていたんです。そのときは多少耐える力があったので、イジられても学校に行っていたんですけど、

 

「お前、ホクロ取った?」とか誰も言わないんですよ。

 

普段、喋っている友達や先生も誰も何も言わないんです。

 

一番ショックだったのは、そのとき付き合っていた彼女や親父も気づかないのか、全然ホクロのことを触れてきませんでした。

 

そのときに、

 

「自分が思っているよりも、他人は自分に興味がない」

 

ということを身をもって感じたんですよね。

 

そこで、一番ガラッと変われたというか、今までの八方美人の自分を一気に捨てられたんです。

 

今まで人に合わせるばっかりの僕が、急に180度、人が変わった感じになるので、何を言われるのかという怖さはありました。

 

実際、「何かあった?」「変わったよね」と言われましたが、最初の1日2日くらいで、1週間もするとみんな慣れてくるんですよね。

 

おかげで、それまでに比べて、生きやすさは増えました。

 

それでも自分を押さえつけていた期間が長すぎて、全然自分を解放し足りないという感じではありました。

 

「もっと自分を出したい」という勢いそのままに大学へ行くと、自分を出しすぎるキャラがウケたんですよね。先輩にも言いたい放題言ってました。

 

「北九州出身だし」みたいノリでガンガン言いたいことを言うのを面白がってくれて、大学の4年間は本当に楽しく過ごしました。

 

ただ、冬になると調子が悪くなる自覚はありました。

 

11月を過ぎて、冬至まで体の調子が下がり続けて、冬至を超えるとまた調子が上がっていくという…。

 

その頃は、まだ自分がうつ病だとは全然知らないときだったので、「なぜか冬場になるとエネルギーが切れる」くらいでした。

 

学校は普通に行くんですけど、「理由なく何もしたくない」という状態が冬だったんですよね。

 

日常生活に影響が出るほどではなかったですし、周りの環境も良かったんだと思います。

 

一人暮らしをしていたんですけど、家からすぐのところに、一番仲がいい奴の家があったんですが、10人くらい集まって、みんなで朝までゲームしてみたり。

 

「授業に出る奴は負け」みたいな感じで、ちゃんと卒業したのは僕を合わせて3人でした。笑

 

さすがに、就活しないとヤバいと思って、卒業するための単位はしっかり取れたのですが、結局、就活はあまりやる気がなくて…。

 

「楽しいことばかりしていたい」という夢見がちな性根が全然抜けませんでしたね。

 

就職は一応、決まったんですよ、サイゼリヤに。そこしか受からなかったんです。笑

 

就職試験のSPIがもう全然できなくて。

 

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今でこそ、ブログやTwitterで発信していると、「頭、良さそう」とか言われるんですけど、偏差値35しかないんですよ。

 

小学校から、まともに学校に行ってないじゃないですか。中学校も支援教室でほとんど授業が無いんですよ。

 

社会復帰させることが目的なので、あまり勉強していないんですよね。ヤンキー高校の時も、本当に勉強をしなくて。

 

それでも、改めて将来のことを考えたとき、親父が大手電機メーカーのシステムエンジニアということもあって、「システムエンジニアになりたい」という思いが強くなってきたんです。

 

それで何とか親に頼んで、大学卒業後、システムエンジニアになるための専門学校に行くことにしました。

 

専門学校に入ると、最初に適性試験があったんです。どんな問題かと思ったらSPIなんですよ。

 

適性試験には英語もあったのですが見事に3点でした。

 

その結果でクラス分けされたんですが、クラスがAからEまで5クラスあって。

 

予想通り、Eクラスでした。笑

 

専門学校って、資格を取らないと就職が難しい面があるんですが、その学校は「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」という資格取得を目指す学校でした。

 

DとEのクラスは、資格取得が難しいので、一般職の事務などでなんとか就職させる。その枠に入れられたんですよ。

 

僕の場合、大学卒業後に入学したこともあって、専門学校の先生からも、

 

「年齢的にも不利だし勉強もできないから、君はもう諦めてください」

 

と、めちゃくちゃストレートに言われました。

 

せっかく大学卒業してまで専門学校に入れてもらったのに、「お前にはもう未来がない」って先生に言われたら、頭真っ白になりますよね…。

 

そのときは「いい会社に入る」という思いに縛られていましたし、22歳で大学卒業してまで専門学校に入って、一般職の事務でした…では親を泣かせてしまうと。

 

「どうしよう」となったときに、それまで1冊も本を読んだことがなかった僕が本屋に行ったんですよね。

 

 

『引き寄せの法則』との出会い

メンタルが弱っていて、「これからどうしよう」ってなっているときに、手に取った記念すべき1冊目が『引き寄せの法則』

 

そのときは自分を救ってくれる本を探していたんです。

 

「『お前、大丈夫だぞ』と言ってくれる本がないかな」って思っていたんですよね。

 

それで初めて手に取った本が、『引き寄せの法則』や『思考は現実化する』といった本でした。

 

そのときはビビッときて。パラパラと読んでみたんです。

 

すると、「自分が強烈に想像していることが現実を作り出す」といった、今までの自分の観点から考えたらありえないことが書いてあるわけですよ。

 

そのときは、未来が閉ざされたような状態だったので、それにすがりたかったんですよね、やっぱり。

 

「専門学校の先生はあんなふうに言っていたけど、資格に受かった自分をずっと考えていたら、なんとかなるんじゃないか。」みたいな。

 

それで『引き寄せの法則』にすがってみようと思ったんです。

 

実際に、目標を紙に貼り出して常に見えるところに置いたりもしました。とにかく信じて勉強していたんですよね。

 

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そしたらなんと、基本情報と応用情報、両方の資格に受かったんです。

 

Eクラスからはもちろん僕だけ。Aクラスでも2〜3人しか受からないという。

 

当時は「引き寄せ、キタ!」みたいな感じになったんです。

 

でも今思うと、単純にめっちゃ勉強してたんですよね。ただ単純に。

 

授業が6時間目まであるんですけど、その後、2時間残って学校で勉強。

 

さらに家に帰って寝るまで勉強という生活を2年間毎日やっていました。

 

それだけ勉強をすれば、『引き寄せの法則』とか関係なく受かるだろうって感じですよね。笑

 

でも、応用情報まで受かったときは「引き寄せの法則が効いた」と思っていました。

 

本当に信じ込んでいたんですよ。「絶対、引き寄せた」と。

 

応用情報に受かってから、意識もすごく高かったので、自分でソフトウェアを作ったり、学校の活動にも積極的に参加していました。

 

なので、就職活動時も企業から結構声がかかり、企業に就職することを目標にする必要がなかったんです。

 

そうなったとき、僕の中で目標が無くなってしました。

 

「次、どうしよう」と思って立てた目標が「3年後に独立しよう。」でした。

 

まだ就職する前だったので当たり前ですが、企業で働くことや昇進のイメージが持てなかったんです。

 

それで目標を「とりあえず、3年後に独立しよう」と決めたんですけど、目標までの期間が遠すぎたんですね。

 

だって3年後だし、「じゃあ、その間の目標は?」という感じになり、燃え尽き症候群みたいになったんですよね。

 

引き寄せの法則を信じていたので、目標がないとなった途端、

 

「自分がどんどん悪いものを引き寄せている」

 

と、病み出したんですよね。

 

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ちょうど冬の時期で、ただでさえメンタル的に調子の悪い時期でしたが、

 

「昨日寝るときに、病むようなことを考えてしまった自分が悪いんだ」

 

と思うようになってしまっていました。これが悪循環の始まりだったのかもしれません。

 

その後、どんどん病んでいって、引き寄せの法則を信じられなくなったときには、相当調子が落ちているところでした。

 

今思うと、うつ状態を悪化させてしまった原因のひとつに、引き寄せの法則を信じ切ってしまっていたことも影響していると思っています。

 

 

「もう死にます」

無事、就職できたのは良かったですけど、加速度的に体調は落ちていきました。

 

そういう状況の中、新卒で1人だけ、少数精鋭の名古屋の部署に転属になったんです。

 

そこでいきなり、あるシステムの設計を担当することになりました。

 

専門学校でも要件定義書や詳細な仕様書とか書いていました。

 

でも、先生に協力してもらって書いていたので、そんなすぐビジネスの場で実践できないんですよ、当たり前ですけど。

 

そこでも、「できないのは、自分の何が悪いのか」「これは引き寄せか」と。

 

働いていれば、入社前に思っていたのと現実が違うなんてことはあるじゃないですか。入社前は夢見ている部分もありますし。

 

そんなことですらも「なんでこんな現実が引き寄せられたんだ?」と。

 

今はヤバいと思えるんですけど、自分が想像していたバラ色のようなイメージじゃないとなったときに、「自分の引き寄せ力が足りないんだ」となってしまったんです。

 

それでもう、手がつけられないくらい落ちていって、

 

「悪い現実しか引き寄せられないから、死ぬしかないな」

 

というところまでいっちゃったんですよ。

 

ある夜、上司の家に行って、「もう死にます」って言って泣いたんですよ。

 

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もう結構、病んでいたので、その上司も「ヤバいかな」と思っていたみたいで。

 

「別に仕事なんて辞めたって全く問題ない」

「すぐに精神科で診断をもらって休職しろ」

 

って言ってくれたんですよ。

 

「良くなったら戻ってくればいいし、良くならなかったら辞めたらいい」と言ってくれたんですよね。

 

本当に良い上司でした。

 

それで初めて病院に行って、うつの療養がスタートしました。

 

今回、なんで引き寄せの法則の話をしたかというと、特にうつの人が「何かにすがりたい」と思って、引き寄せの法則にハマると危険な面もあるということを知ってほしかったんです。

 

うつ病って体調にどうしても波はあるし、調子悪い日もありますよね。

 

「自分がダメなのは目標を立てていないからだ」

「熱意が足りないんだ」

「マイナスなことは1秒たりとも考えてはダメ」

 

みたいな解釈から、

 

うつ病になった現実を引き寄せた自分が悪い…

うつ病が治らないのも自分が悪い…

主治医が悪いのも自分が悪い…

 

となってしまったら、僕のように本当に落ちるところまでどんどん落ちていってしまう人もいるんですよ。

 

引き寄せの法則自体を否定することはありませんし、今でもエンタメ的な読み物として触れることはあります。

 

しかし、特にうつ病の人にとっては、僕のように傷つくリスクもあるので、読み方、タイミング、目的は注意してほしいと思っています。

 

 

ブロガーとしての働き方

会社を辞めてから、フリーのブロガーとして生活しています。

 

今では、仕事をやると決めた日でも、ちゃんと集中して仕事しているのは5時間くらいで、金曜日と土曜日は何もしないって決めています。

 

理由は単純で、サイトのアクセスが少ない曜日ってやる気が出ないんですよ。笑

 

ただ実際は、3,4日何もやらない日が続くこともあるので、集中できる日に一気に作業することもあります。

 

一応、休みは取るんですけど、ずっと本を読んでいたり、最近ではYouTubeのコンテンツを作っていたり、Twitterに呟くネタをメモしていたり…。結局、休んでないんです。

 

なので、カウンセラーには「ほぼ24時間働いているから、ちゃんと休みなさい」と。散歩に行くとか、デバイスを手放すという時間を作ることをアドバイスされています。

 

散歩も行くことは行くんです。

 

でも歩いているうちに、「あっ」とひらめくことが出てきて、その瞬間に走って帰っちゃうんです。全然、意味が無いですよね。笑

 

睡眠に関して、最近はわりと安定していることが多くて、8時間くらいはしっかり寝ています。

 

夜も23時頃には寝るようにしています。

 

やっぱり、睡眠をちゃんととれていると体調はすごく良いですね。

 

専門家ではないのでいろいろ意見はあると思うんですけど、個人的には睡眠のリズムさえ整えれば、8割9割治ったものと言いたいくらい、睡眠は大事だと思いますよね。

 

元気な人でも、夜中に起きてしまって、2時間くらい眠れなかったら、ストレス溜まるじゃないですか。

 

「眠れない自分が情けない…」

「明日仕事あるのに…」

 

とか。眠れないとめっちゃ凹むんですよ。

 

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「昼間、結構長い時間、寝てたから夜眠れないんだな」と自分でわかっていても、みんなが寝ている時間に寝ていない自分がめっちゃ情けなくなるというか。

 

それで結構、自分を責めるんですよね。

 

考えても仕方がない問題をずっと考えてしまうときというのは、大体夜中のベッドの中なんですよね。

 

なので、寝る時間や質には気をつけています。

 

 

薬・主治医・カウンセラー

今はレクサプロという薬を飲んでいます。

 

無理にとは言わないんですけど、止めたいという気持ちはやっぱりあります。

 

以前、精神科医に相談せずに、自己判断で急に止めてしまったことがありました。あれは本当に良くなかった。

 

だから、主治医と相談して徐々に止めていくことですね。

 

「自己判断での減薬や断薬はダメだよ」ということはしっかりお伝えしたいです。

 

カウンセリングは月1回。カウンセラーも色々相談できますし、結構頼りにしていると思います。

 

2週間に1回くらいはあってもいいかなって思うんですけど、依存を避けるためにも月1回にしています。

 

カウンセラーさんも「カウンセリングを受けるのも大事だけど、していない期間の方が大事だ」と言うんですね。

 

カウンセリングに行ったら良くなると思い過ぎずに、自分で考える時間をもっと上手に活用してほしいというか。

 

なので、ブログを書いたり、Twitterでつぶやいたりすることも有効なのかなと思っています。

 

自分自身、メンタルが弱いところもあるし、引き寄せの法則で傷ついた経験もあります。

 

だからこそ、ブロガーとして生計を立てる上で、安易に効率的な稼ぎ方に走らないことがまず第一です。

 

それでもネットで叩かれることもあります。笑

 

ただ、色んなことを試す中で、色んな声はあるものだと割り切っている部分もあります。

 

今後、チャレンジしていきたいことの話ですが、ある起業家から「一緒にメンタルヘルスの事業をやりませんか?」と声をかけてもらって、今その話を進めています。

 

なので、ブロガーとして活動しながら、起業も準備中です。

 

あまり起業と身構え過ぎずに、「失敗してもいい」くらいのメンタリティでやってみようかなと思っています。

 

 

「自己中心的利他」

ブログを始めた当初は、うつ病になって体調が安定してくるまでの自分の経験って本当に価値があるのかと思っていたんですよ。

 

ただの20代の若造で、特に社会経験がたくさんあるわけでもなく…。

 

それでも今は、Twitterにいる12,000以上のフォロワーをはじめ、これまで積み上げてきたことが色々な数字になって現れると、少しは役に立ててるのかなと感じています。

 

日々、ブログやTwitterでメッセージも貰いますし、活動を続けられている原動力になっています。

 

信条としている考え方に、「自己中心的利他」という言葉があります。

 

自己中心的に生きているんですけど、それを見た人が「いいね」とか「その生き方を真似したい」って言ってくれて、結果的に利他になっている状態が理想です。

 

この「自己中心的利他」が、一番自分にとって無理がないし、人からも感謝されるのはもちろん嬉しいです。

 

そういう思いにたどり着けたのは、ブログやTwitterで発信し続けられたおかげかなって。

 

ありがたいことに、発信することで受け入れられたり、評価されることが増えました。

 

うつ病の経験が人のためになっていると感じられる今、うつ病になったことは、必ずしもマイナスなことばかりではないということは伝え続けていきたいですね。

 

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>>『ほっしーのメンタルハック』

 
ほっしーさんの本はこちら
『うつを治す努力をしてきたので、効果と難易度でマッピングしてみた』

 

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近藤雄太郎

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  • 本記事は2019年1月2日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。