マウンティングの心理とは?3つの事例から対処法を臨床心理士が解説

2019.01.17公開 2019.05.16更新

マウンティングをする心理

マウンティングとは前述したとおり、自分の優位性を示し、相手よりも自分が上だとアピールすることです。

 

そこにはどんな心理が隠れているのかご紹介します。

 

承認欲求

承認欲求とは、「他人から認められたい」という欲求のことです。

 

承認欲求が高い状態ですと、さまざまな行動に影響を及ぼします。

 

マウンティング心理には、「自分が他人よりも優位な状態だと認められたい」という欲求が潜んでいる可能性があります。

 

もしかしたら、自分が他人に対して疑い深かったり、他人をなかなか信用できないからこそ、相手からは信用して欲しい、認められたいという気持ちに繋がり、マウンティングにより安心感を得ているかもしれません。

 

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自信がない

マウンティング心理の奥に自信のなさが潜んでいる場合もあります。

 

本当は自分に自信がないけど、それを認めたくないから自分の優位性を示すことによって、自信がなさから目をそらしている可能性があります。

 

自分の弱さに目を向けると傷つくし、それを認めるのはつらい作業になります。

 

自分を守るための手段としてマウンティングをしているのかもしれません。

 

優遇されたい

自分が優位な立場にいると示すことで、実際に優先されたい、優遇を受けたいなど、具体的なメリットを期待している場合もあります。

 

もしかしたら、過去に優先された経験があり、同じように優先されたいと無意識的にマウンティングしている可能性も考えられます。

 

 

マウンティング事例と対処法

職場のマウンティング事例

職場のマウンティング事例で多いのは、家族自慢や彼氏自慢や、仕事の実績や昇給自慢です。

 

例えば、同僚のAさんから「年末年始は何していたの?」と聞かれ、「実家に帰ってました」と答えると、

「のんびりできていいなー。うちは年末年始は毎年ハワイだから、買い物に疲れちゃって全然のんびりできなかったー!」

といった具合です。

 

また、来年度から昇給する同僚が、

「チームをまとめるの大変だから、こんな昇給じゃ割に合わないよ。期待してるとか言われるけど、平社員の方が気楽でいいわ。」

と愚痴をこぼしてきたり…

 

のんびりできないとか、大変だとか愚痴をこぼしているようにみえて、自分の状況や立場を示し、あなたより優位だとマウンティングしています。

 

ママ友のマウンティング事例

ママ友のマウンティング事例は多岐に渡ります。

 

家族のことや、仕事、美容、知識…なんでもマウンティングの対象となり得ます。

 

例えば、肌の手入れに力を入れてるママ友Bから、

「○○さんって、どこのファンデ使ってますか?ほんと、肌きれいに見えますねー!私なんてメイク下手だし、時間なくて今日もすっぴんで来ちゃいましたー!」

と言われたり…。

 

メイクが下手だしと自分を否定しているように見えて、「すっぴんでも外に出られる自分」と肌がきれいアピールをして優位性を示しています。

 

恋愛関係のマウンティング事例

恋人や夫婦など、恋愛関係でもマウンティングはみられます。

 

例えば、彼氏から、

「おまえはほんと、俺がいないと何も出来ないんだな」

「俺は職場でもみんなから頼りにされてて」

「俺がいないとチームが回らないんだ」

と、自分の優位性をアピールしてくるタイプは少なからず存在します。

 

おそらく、相手が実際に何も出来ない可能性は低いでしょう。

 

しかし、「何も出来ない」と声をかけることで、自分の優位性をアピールしています。

 

 

マウンティングへの対処法

基本的にスルー

マウンティングしてくる人は基本的にスルーしましょう。

 

しつこくマウンティングしてきても、それは相手にライバル視してもらいたいという気持ちからしつこくしていつ可能性が高く、徹底的に無視しましょう。

 

マウンティングする人も相手にしてもらえなければ、そのうちマウンティングを止めるようになります。

 

表面上だけでも相手を褒める

承認欲求からマウンティングしている場合は、「すごいね!」「さすがだね!」と声かけをすることで、相手が満足する場合があります。

 

そこに感情を込めているかは別として、表面上は相手を褒めることで、ある程度良好な関係は維持されると思います。

 

ただ、過度に褒めすぎると、「自分の承認欲求を満たしてくれる人」として、自慢話などが増える可能性もありますので注意が必要です。

 

平等に対応する

優遇されたいからマウンティングしている場合は、ほかの人と平等に対応した方が良いケースがあります。

 

例えば、自分は部長と仲が良いから、遅刻早退を認めるような意図が感じられた場合などです。

 

そこで認めてしまうと、ほかの同僚から不満が高まり、会社の雰囲気が悪くなる可能性があります。

 

状況に応じて、マウンティングには乗らず、平等に対応することも大切です。

 

適切な距離を取る

一緒にいて嫌な気持ちになる相手と関係を続ける必要はないと思います。

 

場合によっては、人間関係を見直すことも必要です。

 

しかし、職場の先輩や同僚、親戚など、関係を切りたくても切れない相手もいます。そんなときは、適切な距離を取りましょう。

 

プライベートな話はマウンティングしやすいものです。

 

マウンティングしてくる相手には、家族構成や、休日の過ごし方など、プライベートな話は避けましょう。

 

必要な会話と天気やニュースなど、当たり障りのない会話に限定することで、マウンティングを防ぐことができます。

 

 

さいごに

今回はマウンティング心理や対処法をご紹介しました。

職場の同僚やママ友からのマウンティングに困っている

もしかしたら自分はマウンティングしていたかも…

などなど、自分の身近にも潜んでいるかもしれません。

 

マウンティングの心理を理解することで、相手のマウンティングを一歩引いて客観的に見られる場合もあります。

 

マウンティングに対する反応を変えることで、相手のマウンティング自体が変化していく可能性もあります。

 

ぜひ、今回の記事を参考にしていただければと思います。

 

【関連記事】

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【参考】

『特性承認欲求の安定性の確認、および、状態承認欲求の行動規定因としての性質についての予備的検討』

『承認欲求についての心理 学的考察 ─現代の若者と SNS との関連から─』

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石上友梨

臨床心理士

大学・大学院と心理学を学び警視庁に入庁。5万人の職員のメンタルヘルスを管理し、カウンセリングや心理検査、メンタルヘルス講義、拳銃選手のメンタルトレーニングなど幅広く活動。6年目で退職し、フリーランスに。発達障害を支援する活動に力を入れている。‬>>HPはこちら

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  • 本記事は2019年1月17日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。