初めての育児で、右も左も分からない…父親と母親の役割を臨床心理士が解説

2016.08.03公開 2017.07.17更新
 
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「初めての育児で、右も左も分からない…」「何からやったら良いか分からない」

 

待望の赤ちゃんを授かり、いよいよ育児が始まる!というタイミングで、「どうしてよいか分からない」と悩んでしまう…なんてことはないですか?

 

最近では、共働きでの育児や、父親も子育てに積極的に参加する家庭が増え、育児の方法も多様になってきています。

 

子どもにとって、親・養育者の存在は生きていくために必要不可欠であり、この親・養育者との関係を基盤として、その後の様々な人間関係を構築していきます。

 

そこで今回は、子育て中の父親と母親の役割について、臨床心理士の先生に解説してもらいました。

 

 

母親の役割とは?

臨床心理学では、母の役割を一言で言うと「つなぐこと」と表現されます。

 

母の役割を「つなぐこと」といいましたが、つないで関係をつくるために、母は子の存在を「承認」しなければなりません。

 

この「承認」とは、あるがままのその子を認め、その必要を満たすということです。子どもは自分を必要としている母を「感じる」ことによって、自分の存在意義を見出していきます。

 

母親にしっかり抱かれて、つながれた子どもは、一人でいられる能力を発達させ、思春期になると親友や異性のほうが親より大切になり、自然と「親」の存在が子どもの中から薄れていくのです。

 

 

父親の役割とは?

一方、父の役割は「区切ること」と表現されます。

 

「区切ること」には、3つの仕事があります。

 

一つ目は、「社会的父性」と言いますが、簡単に説明すると「この家族たちに私は責任を負う」という風に、自分の家族と他の家族を区分するということです。

 

家の塀や壁、妻や子が雨風に濡れてしまうことから防ぐ屋根の様な役割です。

 

二つ目は、「善悪」を区切ります。世のおきてやルールを守ることの大切さを家族に伝えていく仕事です。

 

ここまでは、比較的多くのご家庭で父親の役割が機能していますが、最後の3つ目の役割に機能不全を起こしているご家庭も少なくありません。

 

特に、子どもが問題行動という何かしらのメッセージを家族に投げかけているご家庭では、この3つ目の役割が機能していないように見受けられます。

 

3つ目の役割とは、「母子の癒着を断つこと」です。親たちと子どもたちの間を明確に区切ることです。

 

父を名乗る男性は、妻と呼ばれる女性を、何よりも、誰よりも大切にするという形で、この仕事を果たすことができます。

 

スイスの精神分析医カール・ユングは、父の役割を母子の関係を断つナイフに例えています。

 

母子関係というのは、自然に癒着していくもので、そもそもこれができないと、子どもを育てることは出来ないのですが、子どもの成長と共に、この癒着が断たれていく必要があります。

 

これがスムーズに行われない場合、子どもが異性と付合う際に、つまずきやすくなってしまいます。

 

 

母子の癒着が続いてしまうと…

癒着を断つことができないケースには、夫婦関係の不仲や家庭内での父親の不在(精神的)などが挙げられます。

 

こういったケースに見られる共通点は、子どもが母親に対して「かわいそう」という感情を持っているということです。

 

母親に対して「かわいそう」という感情を子どもが抱いた時に、逆に母子密着が強まり、思春期・青年期に入った時に、不登校や引きこもり、摂食障害や家庭内暴力などの症状が出てくるのです。

 

 

父親・母親とは、あくまで役割

念のため付け加えておきますが、ここで「父」、「母」と言っているものは、親の役割の二つの要素のことで、父=男、母=女というわけではありませんし、いつも父と母の両方が必要と言っているわけではありません。

 

一人の母が「母」の役割を果たしながら、しっかり「父」の役割をしている場合もあります。家族によっては、夫が「母」、妻が「父」の役割を担っている場合もあります。

 

 

さいごに

ご家庭によって、育児のスタイルはそれぞれです。

 

そして、初めての育児で、壁にぶつかってしまうことは、ある意味当然のことでもあります。

 

ご家庭ごとのやり方を尊重しながら、父親と母親の役割について、まずはゆっくり話しあうなどして、共通の理解のもと、育児に励んでみてはいかがでしょうか。

 

 

【記事提供】

佐藤文昭 臨床心理士

おやこ心理相談室 室長

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