ADHDの人のお金の管理…ポイントを臨床心理士が解説

2016.08.18公開 2016.09.06更新
 
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
1

ADHDで、つい衝動買いしてしまう…なんてことありませんか?

 

もしかすると、なかなか貯金も出来ず、悩んでいる方も多いかもしれません。

 

そこで今回は、日々のお金の管理方法について臨床心理士の先生に解説してもらいました。

 

 

買いたいものを買わずにいられない

ADHDをお持ちの方で、お金の管理が苦手な人は多いんじゃないかと思います。

 

ADHDをTriple pathway model のうち、報酬遅延の嫌悪、抑制制御の二つの視点で整理するとヒントが見えてきます。

 

Triple pathway modelによると、ADHDの一つの症状として、報酬(楽しいこと)が遅くなることを嫌います。これは、おおよそ、ADHDの多動-衝動性と関連があります。

 

例えば、目の前に100万円あったとして、

 

1.『今日、全部使う。』

2.『明日、全部使う。+10万円になるが、30%くらいの確率でお金はなくなるかもしれない』

 

…という状況に置かれた時に、1の選択肢を選びがちになるということです。

 

実際は、こんなに単純ではありませんが、とにかく待つことが嫌いなのです。楽しいことを見つけたら、楽しいことを得ない状態が苦しいとも言えます。

 

つまり、お金を持っている状態で、買いたいものがある場合、買わずにはいられないのです。これは、ADHDの症状だと考えて良いでしょう。

 

 

思いつきで買ってしまう

もう一つの抑制制御の問題は、不注意と関連があります。

 

不注意と書くと、ぼーっとしているというニュアンスがありますが、英語のInattentionには、ぼーっとしているというよりも、注意(集中)できないというニュアンスの方が大きいです。

 

不注意の症状は、『乱されやすい』『反応しやすい』という表現が近いでしょう。この症状は、遂行機能障害という症状を生み出します。

 

例えば、スーパーに買い物に行ったとして、定型発達障害の人は、買いたいものを頭に浮かべながら、スーパーの端から回っていくと思います。そうした方が、移動距離は少なく、時間も短いですよね。

 

不注意がひどい場合は、頭に思いついたものを買いに回ります。

 

 

例えば、

 

「あ、牛乳が必要だった」

「あっ、カップラーメンも必要だった」

「そういえば、チーズもいいなぁ…」

 

などのように、売り場が近い場所を回るのではなく、思いついた順番に回ります。このように、計画が立てられない状態を遂行機能障害といいます。

 

余談ですが、遂行機能障害は交通事故等の高次脳機能障害で起ることがよく知られています。その遂行機能障害があると、計画的にお金を管理することが難しくなります。

 

「〜まで待てば、自由なお金が手に入る」などの先を見越して考えるよりも、

 

「目の間に余っていそうなお金がある…」というだけで、使っても良いかもしれないと感じて使ってしまいます。

 

 

計画的にお金を管理するには…

さて、こんなADHDの方のお金の管理について思うことですが…

 

①まずは、1ヶ月の必要経費を計算しましょう。

 

②その上で、貯金する金額は、おろさずに銀行に入れておきます。

 

③そして、おろしたお金から、1ヶ月の食費を別の財布に入れます。

 

食べるものは、この財布からしか使わないようにします。残ったお金が1ヶ月のお小遣い(自由に使えるお金)になります。

 

食費用の財布のお金は、すぐなくなってしまうかもしれません。しかし、それは症状から来ているので、大丈夫です。1ヶ月の間に必要なその他のお金は確保されています。

 

 

ちなみに、家計簿をつけるのは、あまり向かないような気がしています。

 

最近は、レシートを写真にとるだけで解析してくれるアプリがあるので、できるかもしれませんが、根気が続かないような気がします。

 

また、クレジットカードは、使わないようにします。これが最も重要です。

 

特に浪費癖があるADHDの人には大敵です。特にリボ払い等に頼ると、毎月の返済額がとんでもないことになってしまいます。

 

 

さいごに

ADHDの方にとってお金の管理はとても大きな問題です。

 

しかし、症状をしっかりと理解して、対策を立てれば、改善していく所は必ずあるはずです。

 

 

 

【記事提供】

yano_profile_400x400_r

矢野宏之 臨床心理士

詳しい情報・お問合せはこちら

 

シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
1

関連記事