いじめに発展するスクールカースト…対処法について臨床心理士が解説

2016.08.29公開 2016.09.06更新
 
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
40

夏休みも残りわずか…「学校に行きたくない」「久しぶりに友だちと会うのが緊張する」などなど、9月からの学校生活にちょっとドキドキしていませんか?

 

もしかすると、必ずしも楽しみなことばかりでは無いかもしれません。

 

特に、最近では「スクールカースト」という言葉があるように、クラスや友達グループで上下関係が出来上がってしまい、息苦しさを感じている学生も多くいます。

 

そこで今回は、いじめにも発展し得るスクールカーストの苛酷さや対処法について、臨床心理士の先生に解説してもらいました。

 

 

「空気を読む」ことが欠かせなくなった中高生

私はスクールカウンセラーとして、学校臨床にもたずさわっていますが、ここ数年間で「いじめ問題」への対応が急務になっている印象を受けます。学校側も「いじめ」というキーワードにはとても敏感になっていて、先生方も目をギラギラさせています。

 

スクールカウンセラーとして関わっている中で、最近の学生、特に中学生から高校生は、学校や友人との人間関係において「空気を読む」こととコミュニケーション・スキルが求められているように感じます。

 

コミュニケーション・スキルと言っても、自分や相手を大切に、しかも尊重したやり取りではなく、ある特有のコミュニケーションスタイルです。

 

 

「笑いを取れる」ことが求められる中高生

集団心理学という視点から見てみると、学校には、「スクールカースト」という生徒間の階層が存在しています。

 

昔はその中で、「いじめる側」と「いじめられる側」が入れ替わる流動性がありましたが、今やそれが固定化してしまって、新学期に決まった階層構造は1年間続いていきます。

 

しかも、この階層構造を決定する基準は、「ケンカが強い」「勉強ができる」といった能力は二の次で、コミュニケーション能力だけが評価されていきます。

 

会話がうまいというだけではなく、いかに「笑い」がとれるかが必須条件とされ、しかも他人を「いじる」ことで笑わせるという「対人操作能力」が求められています。これは、大人社会でも思い当たる節はあると思います。

 

 

「キャラ」を割り振れられる中高生たち

さらには、階層構造を構成しているメンバーには「キャラ」が割り振られていて、各メンバーは「本当の自分」とはかけ離れた様々な「キャラ」を強制され、演じ分ける必要があります。

 

本当の自分を理解していて演じているのであれば問題ないのですが、何を演じているのかわからなくなってくると問題です。

 

もちろん「キャラがかぶる」などの事態はタブーであって(一般にはKY:“空気読めない”と呼ばれてしまいます)、違反するといじめのキッカケにもなりかねません。

 

実際に、相談室に来る生徒の中には、

 

「教室でのキャラ。部活でのキャラ。友達同士でのキャラ。いろんなキャラがあって、いまさら自分のキャラを変えられない・・逆に変えてしまってハブられたら・・」

 

と悩んでいる生徒もいます。

 

 

中高生に覚えておいてほしいポイントとは?

本来、素のままの人格同士の出会いや関わりには摩擦や衝突は避けられず、なかなかスムーズには進んでいかないものです。しかし、お互いの「キャラ」が認識できれば、効率よくコミュニケーションを取ることができる訳です。

 

こういった過酷なスクールカーストは中学校あたりから強まり、いじめ問題へと発展していく場合もあります。ですから、この時期までに子ども達に習得しておいてほしい大切なことは、

 

①自分という存在の輪郭をある程度自覚していること

②自分がいやだな~と思ったことには、はっきりと「No」と言えること、

③苦しい時には誰かにきちんと助けを求められることなどです。

 

もちろん、これらを習得するためには、保護者や家族の協力が必要不可欠になります。

 

周囲が子どもにある程度のモデルを示したり、子どもの強みや弱みを把握し、それを伝えてあげること(善悪の判断はせずに)、人間として苦しい時に誰かに頼ることはごく自然なことなどを教えていく必要があります。

 

 

さいごに

スクールカーストのように、人間関係が固定化されることで、逃げ場がないと思って、一人で悩みを抱えてしまうと、さらに状況は悪化してしまうかもしれません。

 

ぜひご自身のためにも、「躊躇せずに周囲の人に頼っても良い」ということを忘れないようにしましょう。

 

 

【記事提供】

佐藤文昭 臨床心理士

おやこ心理相談室 室長

詳しい情報・お問合せはこちら

シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
40

関連記事