子どもの心はどうやって育っていくのか…臨床心理士が解説

2016.09.02公開 2016.09.06更新
 
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子どもの心の成長に、親との関係はとても重要なもの。普段、子どもに愛情を注ぎながらも、「ちゃんと精神的な面も問題なく育っているのか」と不安になることもありますよね。

 

そこで今回は、幼少期の子どもの心が健全に育っていくプロセスについて、臨床心理士の先生に解説してもらいました。

 

 

子供は、王子様であり、お姫様

子どもは、「未成熟な人間」としてこの世に生まれてきます。

 

自分一人では何もできませんから、自分の生への欲求を、親の愛情のもとで十二分に満たしてもらう必要のある「王子様」であり「お姫様」なのです(そうでないと困りますね)。

 

 

自立のために「十分に甘えた経験」が必要

赤ん坊は少し大きくなってくると、好奇心のおもむくまま、母親のひざ元から離れて、冒険にでかけるようになります。そこで不安や危険を少しでも感じると、声を張り上げて泣き出したり、あわてて戻ってきます。

 

そのとき、「よしよし、もう怖くありませんよ。もう大丈夫だよ」とギュッと抱きしめ、受け止めてくれる母親がそこにいてくれることで、安心してまたもう少し遠くへと出かけられるようになります。

 

このことからも分かるように、自立には「十分に甘えた経験」が欠かせません。

 

 

思い通りにならないことを知る

子どもは、部屋の中の探検から外へと、徐々に自分の世界を広げていきます。ときには母親に腹を立てることもあります。少し前までは、お腹がすくと泣けばオッパイがもらえたし、おむつが汚れたらすぐに取り換えてもらえました。

 

ところが、だんだん大きくなってくるとともに、何もかもが自分の思い通りにはならないということがわかってきます。こう思えることは大人への第一歩です。そこで癇癪(かんしゃく)を起すのです。

 

しかし、どんなに怒りをぶつけても、母親は自分を見捨ててしまうことなく、変わらず自分のそばにいて、また自分を可愛がってくれる。ちょっと怒ったくらいでは、母親はビクともしないし、自分との関係も壊れてしまうことはない。

 

このように、腹を立てたときには怒ったり、怖い時には泣いたり、不安な時には、その気持ちを言葉に出して訴えたり、見たり感じたことを話し、受け止めてもらいながら、子どもの心は健康に成長していきます。

 

 

一人で外の世界に向かっていくために

こうして育った子どもは、母親が常に目の前になくても、離れていても「お母さん」に抱きとめてもらえる「家庭」という安全な場所があるという感覚を持てます。

 

心の中に、「お母さんといっしょにいる」感覚(これを基本的信頼感と言います)を持つことで、安心してひとりで外の世界に向かっていけるようになります。健全に社会生活を送れている人達は、感覚の一部としてこれを体得しています。

 

 

基本的信頼を知らないと…

ところが、この「基本的信頼」と「安心感」を子どもに与えてあげられない親もいます。その場合、子どもは「自己」を発達させることができません。家庭内で窒息しそうな息苦しさを感じながらも、家族から離れられません。

 

なぜならば、どんなときでも抱きとめてもらえる基本的信頼感を心の中に持っていないからです。

 

私自身も日々の活動で、健全に機能していないご家族と度々出会うことがありますが、彼らは子ども達に「安全な場所」を与えてあげることができず、子どもの心の成長を阻んでしまっています。

 

 

やがて大人になったとき…

その子どもたちが大人になり、自らの家庭を持ったときどうなるか…容易に想像がつくと思います。与えられなかった体験はなかなか伝えることができません。

 

このように次世代でも同様のことが起こってしまうことを「世代間連鎖」と言います。

 

今回は、特に幼少期における健康なこころの発達過程を振り返ってみましたが、もう少し年代が上がった子ども達に対する接し方のポイントは後日ご紹介したいと思います。

 

 

さいごに

子どもは家庭内で、基本的信頼感を得られたからこそ、外の世界に出てものびのび冒険ができることがわかりました。

 

次の世代のためにも、子どもをギュッと抱きしめてあげたり、日々できることから、子どもの心を健康に育てていきましょう。

 

 

【記事提供】

佐藤文昭 臨床心理士

おやこ心理相談室 室長

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