PMDD(月経前不快気分障害)の出口が見えない不安と孤独に薬より効いたもの

2019.05.15公開 2020.05.21更新

出口の見えない2つの不安

私の場合、出口が見えない不安は2つありました。

 

本当にどん底まで落ちてしまったときに、

 

「いつになったら上向きになるんだろう」

「消えたい状態があと何日続くんだろう」

 

と、今の状態に対して出口が見えないというのがまず一つ。

 

もう一つは、「この病気、何年あと続くんだろう」という長い視点で出口の見えない不安。

 

元気な日であれば、何年続いても仕方ないかくらいに思えるんです。

 

「うまく付き合っていけばいいか」と。

 

ただ、風邪のように薬を飲んで熱が下がって2,3日で良くなるものとは違うので、特に気分が落ち込みやすい時期には、終わりが見えない不安でいっぱいになります。

 

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PMDDのうつ症状と攻撃性

PMDDの方で攻撃性が出る人もいます。

 

私は、消えたい・死にたいといううつ症状が多いんですけど、攻撃性が出てきてしまうこともあります。

 

例えば、大きい音へのイライラがひどくなったり、私の場合は子供の声がダメなんですね。

 

ショッピングモールなどで子供がキャーとかいいながら走り回ってるのを聞くと、気が狂いそうになっちゃうんです。

 

もちろん行動には移さないですけど、心の中ではイライラが募って攻撃性が出てきてしまうこともあります。

 

攻撃性が出ないときは全然出ないですし、毎月同じ症状が出てくるというわけではないので、自分でもコントロールが難しいと感じています。

 

また、孤独感がある一方で、誰とも会いたくないという気持ちが強く出ることもあります。

 

ひたすら部屋にこもって、誰にも姿を見られたくないという気持ちになっちゃうんですね。

 

外に出ると近所の人の目が気になってしまうので、ちょっとでも傷つかないように。

 

部屋で休んで、徐々に沈んだ気分が浮いてくるのを待っているという感じです。自然に浮くのを待っているというか。

 

支えは、一緒に住んでいる家族です。

 

一人にしてほしいとき、食事などの必要最低限の時以外は放っておいてくれたので、その点はありがたいですね。

 

逆に、誰とも会いたくないときに「大丈夫?」と言葉をかけられると、イライラする言葉ではないはずなのに、「うるさいな」と逆にムカついてしまったり。

 

さらに難しいのが、「大丈夫?」って言われてイラッとすることもあれば、「大丈夫だよ」って答えられるときもあって…。

 

「本当の自分はこう答えたいのに、こう答えられない」ということが何度もあって、症状や自分の反応が一律ではないのは本当に難しいです。

 

いろんな意味で、自分が自分じゃなくなってしまうような気がして。

 

PMDDのことを友人に打ち明けた

一番仲の良い友人には、普通の会話の中でなんとなくは打ち明けていました。

 

月1回は会う仲だったのですが、約束をドタキャンしちゃったり、会っていても「今日、元気ないね」って言われたり。

 

信頼できる友人だったので、「迷惑かけちゃうかもしれないけど…」と伝えました。

 

ただ、PMDDのことを伝えると、一般的な生理前のイライラや腹痛と同じだと思ったみたいで、「私もあるある」と言われてしまって。笑

 

その友人には、改めて病気のことを説明するというより、

 

「今、こういう時期でさ」

「今日こういう感じなんだよね」

 

と、会話の中でそれとなく言っていくうちに、一般的な生理前の症状とは違うことを分かってくれたみたいでした。

 

一番驚かれたのは、「死にたくなるときがある」って言ったときでした。「そんなになっちゃうの? 」って。

 

今では、「調子が悪い」と言えば察してくれたり、今まで通り普通に接してくれるので、ありがたいと思っています。

 

病気への理解も大事なんですけど、病気にフォーカスしすぎずに受け入れてくれることが嬉しいですね。

 

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不調のサインに気づく私の方法

PMDDの場合、時期的に「そろそろ危ないかも」と分かりますが、当初はどう対策していいのか分からなかったですね。

 

今だからこそ、不調のサインにはいくつか気がつけるようになりましが、その一つが、

 

「大好きなものがあまり楽しくない」

 

という状態です。「あまり」というのがポイント。

 

私はサッカーを観るのが好きなんですが、すごく楽しみにしてスタジアムに行くのに、いざ行ってみると、

 

「なんか帰りたいな」

「人混みにいるのが嫌だな」

「今日は試合を見ていても盛り上がらないな」

 

という感じがあると、その後に悪化していくということが多いので、一つの目安になっていますね。

 

表現が難しいのですが、霧がかかっている感覚です。

 

真っ暗ではないんですけど、雲行きが怪しいみたいな。

 

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「そろそろ雨が降るかな」というときは、

 

・無理せず休む

・人の多い場所に行かない

・できるだけ静かな場所で過ごす

 

を心がけています。そうすることで、大雨にならずに小雨で済んだケースも増えたと思います。

 

あとは、

 

・会話のときに目をそらしてしまう

・人混みや人が怖い

 

といった、なんとなくモヤモヤした恐怖感みたいなものも不調の前兆だったりします。

 

そうなったときは、部屋でじっとこもっていることが多いです。

 

一人でいることで逆に孤独感や寂しさで人に会いたくなる人もいると思うので、人によって対処の方法は異なると思います。

 

私の場合は、もう何もせず、無の状態でただ横になっているという感じです。

 

無の状態で部屋にこもっているときも、「自分を責めない」というのは意識しています。

 

自分を責めてしまうと、とことん責めてしまってマイナスの方にしか考えがいかないので…。

 

「病気に因るものでしんどいんだから大丈夫」

「自分自身が怠けているわけじゃないんだから大丈夫」

 

と言い聞かせて、休むときは何も考えず休むことを意識しています。

 

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以前は抑うつ状態になると、

 

「自分がこういう性格だから、この病気になっちゃったんだ」

 

と、とにかく自分を責めるんですね。自分が全部悪いんだと。

 

最近では前向きになってきたこともあり、ある意味「開き直りも大事」だと思っています。

 

抑うつ状態になっても、「これは仕方ないことなんだ」と思うようになったので、気持ちもちょっと軽くなったように思います。

 

書く・つぶやくを通じて気づけたこと

何年も前だと、ただ寝てひらすら体調がよくなるのを待っていました。

 

最近では、ノートにその時の状態を書くことで、自分で心の調子がなんとなく客観視できるようになってきた感覚があります。

 

今の状態をバーッと殴り書きみたいに書いて、しんどい状態にそれを読むと、

 

「今は辛いけど、先月のこの時期もこういう状態だったな」

 

となると、

 

「じゃあ仕方ないか」

「前にもこういう状態があったから大丈夫だ」

「今日が初めてじゃないじゃん」

 

と、自分に「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせてやり過ごしています。

 

しんどい状態ではあるんですけど、しんどい中でもちょっと前向きになれるというか、考えの切り替えができることにもつながると思っています。

 

「先月はこの症状もあったけど、今月はこの症状はないじゃん」

 

となったら、「どん底までは行っていないんだな」というようにも考えられるので。

 

自分の中で変われたきっかけと思っているのが、Twitterを2018年秋頃から始めたことです。

 

仲間というか、人とのつながりができたことが私にとって一番大きくて。

 

「自分だけじゃないんだ。じゃあ大丈夫だ」

 

と、私と同じことを考えている人、悩んでいる人の存在を知れたことが一番大きかったです。

 

一人でいるときって、

 

「自分が悪い」

「こんなふうになっているのは自分だけだろう」

 

と本当に孤独なんですよね。なのでネット上ではありますが、つながれたことはすごく大きかったですね。

 

本当に「気持ちの持ち方でこんなに変われるんだ」というのが自分でもびっくりで。

 

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Twitterだと、投稿に対して同じように思う方もいれば、

 

「そっか。そういうふうにも考えられるんだ」

 

って、別の考えをくれる方もいるので、良い意味で刺激がすごくあると思っています。

 

あと、心がけていることとして、できるだけ暗いことは書かないということ。

 

ネガティブなこともたまには書くこともあります。

 

もう吐き出したくてしょうがないときは「今、こういう状態」と断った上で書いちゃっています。

 

ガチガチにルールを決めても自分の中で疲れちゃうので、人が不快になるようなことじゃなければOKかなと思っています。

 

大学入学とこれからの夢

勤め先の予備校が潰れて、体調が悪化する中、

 

「この先、何をして生きていけばいいんだろう」

「このままじゃマズい」

 

と全く希望が見えない状態になっていました。

 

その頃、統合失調症の友達と毎日のように電話で話している時期があったのですが、

 

「カウンセラーとか向いてるんじゃない? 」

 

って言ってくれて、カウンセリングの勉強をしてみようと思うようになりました。

 

あとは、自分のことをもっと知りたいというか、自分の病気のことを勉強したいという思いもあり、心理学を学べる大学に2017年に入学しました。

 

体調面での心配もありましたが、通信だったら続けられるかなと思い、思い切って決めました。

 

当初は臨床心理士を目指すつもりでカウンセリングの授業なども受けていましたが、自助グループという存在を知ったとき、私がやりたいことはこれだと思いました。

 

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自助グループを作ったり、当事者会を開いてサポートする。それが一番やりたいなと。

 

特にPMDDは認知度が低いこともあり、自助グループのような活動が見つけられませんでした。

 

生理という女性特有のものが関わるので、話しづらさがあって埋もれている声もすごく多いと思っています。男性に対しては特にそうですよね。

 

実際にTwitterを覗いてみると、私と同じ悩みを抱えている人が実はすごくたくさんいることを知りました。

 

Twitterで行き場のない声を目の当たりにして、自助グループや当事者会の必要性をより感じています。

 

そのためにも大学や大学院に通って、PMDDの研究や論文執筆を通じて得た知識を自助グループや当事者会に役立てたいなと思っています。

 

PMDDやPMSで悩む方とつながり、サポートする活動をしたいというのが私の大きな夢です。

 

2019年中には、PMDDの当事者の方同士で集まって話す会を開いて、皆さんの反応や声を伺ってから方向性を決められたらと思っています。

 

私自身、去年までひとりぼっちで「自分だけがこういう情けない状態だ」という思いをずっと抱えていました。

 

その私がTwitterを始めてみて「一人じゃないんだ」と思えて、つながりができることで勇気ももらえました。

 

一人で抱え込むことが辛いとき、自分の無理のない範囲で一歩踏み出してみると、また違った世界が見えてくるかもしれないと思っています。

 

その大切な一歩を踏み出せる自助グループのような場を作りたいです。

 

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一番しんどかった自分へ

「一人じゃないよ」と一番に伝えたいですね。

 

私のPMDDに一番効いたのって薬じゃなくて、人とのつながりだとすごく思っているので。

 

半年くらい前までは、本当に孤独でした。

 

もともと友達が多い方でもなかったですが、今ではTwitterで仲良くなった子と会ったりもしています。

 

同じ悩みの子とつながって、私も本当に救われたし、相手も「生きててよかった」と言ってくれて、その言葉だけで生きていけるくらいの感覚を持てました。

 

人とのつながりって本当にプラスになるんだなって、心から感じています。

 

もちろん、人それぞれ考えは違うと思います。

 

私の場合は、本当に人とのつながりですごく助けられたので、

 

「一人じゃないと思える日は本当にやって来るよ」

 

と、一番しんどかった自分に対して言いたいですね。

 

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近藤雄太郎

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  • 本記事は2019年5月15日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。