【ご家族向け】強迫性障害・不安障害の対応方法について臨床心理士が解説

2016.09.09公開 2019.05.16更新

見極めるべき行動とは?

家族による対応を考える上で、最初のステップは、本人の増やしたい行動、減らしたい行動を選別することです。

 

例えば、治療に関する資料を読んだり、インターネットで治療法を調べるなどは増やしたい行動ですね。

 

一方、「もう、どうせ治らないよ」と言ったりするのは減らしたい行動ですよね。

 

この増やしたい行動と減らしたい行動の選別が上手くいっていないと、どんな対応方法を考えても上手くいきません。

 

増やしたい行動

実際には、どのような行動が増やしたい行動に上がってくるかと言うと…

『治療について取り組んでみようかなと発言する/資料を読んでみる』

『実際に主治医やカウンセラーに教えてもらった取り組みををやってみる』

『治療に関する勉強をする』

などになるでしょう。

 

減らしたい行動

『家で暴れる/暴力を振るう』

『どうせ、治らないのだと言う』

『治療なんてしたくないと言う』

『どうせ、お前には、私の気持ちなんてわからないよと言う』

などになるでしょう。

 

また、患者のご家族は、患者の心に訴えかけようと様々な説得的コミュニケーションをとろうとします。

 

しかし、説得は基本的に不快な刺激になり、時として人格批判を含む危険性があるので、注意が必要です。

 

 

やるべき行動は事前に決めておく

この増やしたい行動、減らしたい行動はしっかりと決めておく必要があります。

 

というのも、一貫性のない関わりをすると、余計に問題がこんがらがってしまうからです。

 

例えば、治療を始めてした日にはほめられて、次の日には『これくらい、できないと病気は治らないよ!』と叱責されれば、途端にやる気をなくして、治療をしなくなるでしょう。

 

これは、頭ごなしに否定されるよりも、やる気を失わせる行為になってしまいます。

 

そこで、事前にしっかりと増やしたい行動、減らしたい行動を決めておくのです。

 

 

さいごに

今回は、ご家族の方向けに「増やしたい行動」「減らしたい行動」といった観点で解説してもらいました。

 

実際のカウンセリングでは、増やしたい行動・減らしたい行動がしっかり決まったら、その方法をロールプレイすることで、より実践的に行動を見直すなどもしています。

 

ご家族の方も、カウンセリングを活用することで、ご本人への接し方を習得することができますので、ぜひご活用してみてください。

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矢野宏之

臨床心理士

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2016年9月9日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。