コンプレックス克服方法で大切な5つの心理学視点とは?臨床心理士が解説

2019.05.19公開 2019.06.28更新

コンプレックスの克服=人生の目的

人間は、コンプレックスを別のことで補うことでコンプレックスを克服します。

 

例えば、

・身長が低いことをコンプレックスとしている人は経済力をつけて補おうとしたり、

・育った家庭環境にコンプレックスがある人は、教育者として他の家族や社会に貢献することでより良い人生を築き上げようとします。

そして、コンプレックス克服の方法として重要なのは、“社会や他者に貢献できているか?”という観点です。

 

自分だけが幸せになれれば良い、自分だけが満たされればいいという発想は将来的に自分を苦しめることになります。

 

なぜなら、先ほどもお伝えしたように

“コンプレックスの克服=人生の目的・原動力”

だからです。

 

「貧しい家庭に生まれてとても辛い。絶対にお金持ちの旦那さんを見つけてとにかくリッチな生活をする!」

 

という人と、

 

「貧しい家庭で育ったから、同じような境遇の人を助けたい。お金がなくても質の良い教育を受けられて幸せな人生を送れる小さな学校をつくりたい」

 

という人。どちらの人生が幸せになりそうですか?

 

自己利益にしかならないコンプレックス克服は、結局また自分を苦しめ、生きづらくなる原因となります。

 

コンプレックスを克服する、つまり他のことで自分自身を補うことは人生の目標を持つことになります。

 

もしかしたら、その目標を達成することはできないかもしれません。

 

でも、「こういう風になりたい」という意志を持ち、行動することがすでにコンプレックス克服の第一歩なのです。

 

 

コンプレックスをそのままにすると…

コンプレックスを克服することはとても大事です。

 

なぜならこれに失敗すると、心の問題として現れてきてしまうから。

 

まず、コンプレックスが露見する場面を避ける、不安を感じやすくなるようになります。

 

例えば、対人関係にコンプレックスがある人は、就職活動などのコミュニケーション能力が試される場を怖く感じ、引きこもりになってしまうかもしれません。

 

逆に、コンプレックスが露見する場面にあえて接近し、攻撃的な態度をとることもあります。

 

具体的には、

・見栄をはったり

・自己顕示をする

・尊大な態度を取る

などです。

 

「そんなことも知らないの?」

 

相手を見下すことが多い人は、コンプレックスの克服に失敗している可能性が高いです。

 

 

コンプレックス克服に役立つ5つの心理学視点

1.コンプレックスがあることに気づく

コンプレックスは以下のような感情として表出されます。

 

もし当てはまるものがあるならば、あなたもコンプレックスに影響を受けている可能性が高いです。

・自分には価値がないと感じる

・批判的な言葉に過敏である

・他人が自分を嫌いである、もしくは自分には価値がないと思っていると思いこむ

・SNSを見るとイライラする

・周囲に対して服従的で、変化を起こそうとすることはめったにない

・完璧主義

2.コンプレックスの種類を判別する

コンプレックスは相対的、主観的なものの2種類に分けることができます。

 

他者と比較して劣っていることもあれば、

 

「あなたは本当にブス!」

 

と言われ続けて育ってきたため、自分の容姿が悪いと思いこんでいるような主観的なコンプレックスもあります。

 

あなたのコンプレックスはどちらに該当しますか?

 

3.誰と比べているのか特定する

もしあなたのコンプレックスが相対的なものの場合、特にどんな人に対してコンプレックスを感じるのか特定しましょう。

 

(例:会社の同僚●●さん、SNSで話題になる芸能人、ネットで話題のIT社長等)。

 

そしてその人が持っていないけど、あなたが持っているものを探してみましょう。

 

あなたが持っているものを今よりも磨き上げることでコンプレックスを克服することができます。

 

4.心の声を書き換える

人間は常に心の中の自分と会話しています(疲れたな、外の騒音がうるさいな、等)。

 

この心の言葉は、“あなた自身の評価と行動”に大きな影響を与えます。

 

心の声がネガティブな場合、あなた自身を否定しますし、肯定的ならあなたの幸福感を促進します。

 

例えば、“仕事は済んだが、何も特別なことがない1日”に対し、心の声がネガティブな場合、

 

「今日も仕事がうまくいかなかった」

 

と評価します。しかし肯定的なら、

 

「今日もタスクを全部終わらせることができた」

 

と捉えることができます。

 

つまり、心の声によって自分自身のコンプレックスの捉え方が大きく変わるのです。

 

まずは自分の心の声がネガティブなことを言っている時、実際にその言葉を書き留めましょう。

 

そして肯定的な言葉に書き換えてみてください。

 

これを毎日行い、できれば声に出して読むことでコンプレックスへの認識を変化させることができます。

 

5.周囲の声から自分を切り離す

コンプレックスは、周囲との比較や周囲からの評価といったあなたを取り巻く環境から生じます。

 

コンプレックスを克服するためにはこういった“周囲の声”から切り離すことがとても重要です。

 

一日の終りに、あなたが情熱を感じられること、あなたの心が満たされることを考えてみましょう。

 

例えば、リゾートホテルのスパに行くことを想像する、今日どれだけ人を喜ばせることができたかを考える、など。

 

あなたの心がエネルギーを取り戻すことで、心から周囲の騒音を追い払うことができます。

 

 

さいごに

まずは自分のコンプレックスの種類、内容を吟味し、「あなたしか持っていない持ち味」を増幅させることに集中しましょう。

 

コンプレックス克服で最も重要なことは

“コンプレックスに支配されず、それを克服しようとしていること”。

そしてあなたのコンプレックス克服によって“社会や他者も幸福になる”ということです。

 

コンプレックスはどんな人も必ず持っている悩みです。めげずに少しずつ取り組んでいきましょう。

 

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広瀬絵美

臨床心理士

心理学の大学を卒業後、広告会社にて勤務。退職後、心理系大学院修士課程を修了し臨床心理士資格を取得。精神科病院にて従業員のメンタルヘルスケア業務に従事する。また、国立研究所にて職場組織や妊婦さんのメンタルヘルスに関する研究にも携わっている。理想的な「ワークライフバランス」を目指し、研究と実践の両面から支援を行っている。一児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年5月19日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。