【コンプレックス克服】4つのタイプ別に事例と名言で臨床心理士が解説

2019.06.02公開 2019.06.28更新

対人関係コンプレックスの克服ポイント

「一番だまし易い人間は、すなわち、自分自身である。」
パルワー・リットン

AさんとBさんは、考え方のクセを【原因論】から【目的論】にシフトすることでコンプレックスを克服しました。

 

具体的には、

【原因論】

「対人関係が苦手なせい(原因)で、自分はいつもまっとうに評価されない」

【目的論】

「人から評価されたい(目的)けど、対人関係が苦手だからどうしたら良いのか分からない」

というシフトチェンジです。

 

原因論のままでは、

自分はだめ

人を恨む・嘘をつく

というネガティブな行動しか取ることができません。

 

しかし、目的論に立つことができれば、“コミュニケーション能力をつけよう”というポジティブな行動に変わっていくことができます。

 

 

【事例】コンプレックス克服(容姿編)

①容姿に自信がなくひきこもりがちに

周りと比べて容姿に自信がない20代男性Cさん。

小学生の頃はあだ名が“カバ”だった。

 

身長もあまり高くないため、恥ずかしく思っており、服を買いに行くことや髪を切りに行くのも恥ずかしくて行けない。

 

そのため、引きこもりがちでさらに自分に自信がなくなっていっている。

友達からからかわれてしまうような容姿的特徴があり、さらに「身長」という自分では解決しようのないコンプレックスがあるケースです。

 

男性の場合、女性とは違い、メイクなどでカバーしづらい側面があるため、短期間での克服が難しくなります。

 

②痩せていて美人と言われるのに常に食事制限

二の腕の太さ、お腹が出ていることに悩んでいる10代女性Dさん。

顔が大きいことにも悩んでおり、常に食事を制限している。

 

下剤でお腹をすっきりさせないと恥ずかしくて出かけられない。

 

しかし、実際はBMIが基準値以下で非常に痩せている。友達からは可愛くて美人と評されている。

主観的なコンプレックスに基づくケースです。

 

過去に友達や家族から「太っている」など外見について、つらい言葉を浴びせられるような経験をしていることが多いです。

 

そのため、容姿への過度なコンプレックスを持つことになり、

・対人コミュニケーションを回避しがちになったり、

・就職活動のような他者から評される場面への恐怖心が強くなる

というような二次的なコンプレックスを持っていることも多いです。

 

 

容姿コンプレックスの克服ポイント

「誰も称賛してくれる者がいなくても自分のことは自身で称えよ。」
バートン

このような容姿コンプレックスを克服するためには、

自身の容姿への評価が【相対的(Cさん)】か【主観的か(Dさん)】を理解する

ことが最も大切です。

 

容姿コンプレックスを克服するために、CさんとDさんは、

・嫉妬心を感じる相手を具体的に挙げる

・どんな部分に嫉妬するかを書き出す

というように、他人への嫉妬から自分自身のコンプレックスを客観視することに成功しました。

ご自身のコンプレックスを第三者の視点で冷静に見つめる

ことは、コンプレックス克服のために最も重要なことです。

 

 

【事例】コンプレックス克服(恋愛編)

元彼に浮気をされてから、自信がなくなり美人にも嫉妬

以前の彼氏に浮気をされてことがあるため、恋愛に自信がない20代女性Eさん。

自分の容姿にも自信がなく、好きな人に告白できない。

 

また、なんとかうまく交際につながっても、彼氏に対するすさまじい嫉妬心が出てきてしまう。

 

元彼女との関係や、デート中の視線の先に美人がいると嫉妬してしまう。

 

また、飲み会など彼氏の単独行動が許せず、仕事の飲み会でも何度も連絡をしてしまう。

過去の恋愛経験により、恋愛に対するコンプレックスがある例です。

 

容姿だけでなく内面に対するコンプレックスなどが複合的に絡み合い、“いつも恋愛がうまくいかない”というお悩みにつながっています。

 

 

恋愛コンプレックスの克服ポイント

「全ての場合を通じて、恋愛は忍耐である。」
萩原朔太郎

こういった複雑なコンプレックスを対処するためにEさんは、“心の声”を客観視することでコンプレックスを克服しました。

 

具体的には、

・嫉妬心を感じているときの心の声を紙に書き出す

・考え方のクセを見つける

・嫉妬心に対して「違う考え方ができないか」と“新しい心の声”を構築する

という方法です。

 

 

【事例】コンプレックス克服(性格編)

エリート思考が強く、有名商社へ入社したいと考えている20代男性のFさん。

大学時代は留学を経験し、語学も堪能。

 

しかし心は常に嫉妬心に満たされており、優秀な同世代の人を見るだけで逃げ出したくなってしまう。

 

そのせいで、就職活動の期間が始まっているのに全く手につかない、大学もサボりがちになってしまっている。

コンプレックスが強すぎるため、社会生活に問題をきたしているパターンです。

 

Fさんには優秀な兄がおり、常に比較して育ってきた背景もあったようです。

 

「負けたくない!」という気持ちが強くなりすぎた結果、“勝負ごと”に近づけなくなってしまったとも考えられます。

 

勝ち負けを目の当たりにすると、心が壊れてしまうため回避しているのですね。

 

 

性格コンプレックスの克服ポイント

「今あなたが不運な状態にあるなら、 それはあなたがそうなるように仕向けた結果です。 逆に、今あなたが幸運に恵まれているなら、 それもあなたがそうなるように仕向けた結果です。」
J・マーフィー

Fさんは、

・お兄さんにはなくて、自分にしか無い【良いところ】を探す

それを伸ばすにはどうしたら良いか?を考える

・【良いところ】を活かし、かつ他の人が喜んでくれることはなにか?

を考えるワークを行いました。

 

その結果、人生の目標を見出すことができ、強い嫉妬心からも開放されることとなりました。

 

 

さいごに

どんな人であっても、何かしらのコンプレックスは持っています。

 

そして、コンプレックスの克服は、人生の課題であり克服することができます。

 

つらい一面もあるコンプレックスと向き合い、理解することはあなたの人生を豊かにしてくれます。

 

今のつらい気持ちをバネに、よりよい人生を構築していきましょう。

 

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広瀬絵美

臨床心理士

心理学の大学を卒業後、広告会社にて勤務。退職後、心理系大学院修士課程を修了し臨床心理士資格を取得。精神科病院にて従業員のメンタルヘルスケア業務に従事する。また、国立研究所にて職場組織や妊婦さんのメンタルヘルスに関する研究にも携わっている。理想的な「ワークライフバランス」を目指し、研究と実践の両面から支援を行っている。一児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年6月2日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。