子どもに強迫観念や強迫行為が現れたら…対処法を臨床心理士が解説

2016.10.29公開
 
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「電気が消えているか、何度も確認する」「何度も手を洗う」「同じ言葉を何度も唱えたりする」などのような子どもの行動に気になったりしていませんか?

 

こういった強迫行動がエスカレートしてしまうと、家族や学校の友人との間に影響が出てきてしまうことがあります。

 

そこで今回は、子どもに強迫観念や脅迫行為などの症状が現れたときの対処法について、臨床心理士に解説してもらいました。

 

 

強迫症状とは

強迫症状とは、やめたくてもやめられない考え(強迫観念)からくる不安を振り払おうと、同じ行動を繰り返してしまうこと(強迫行為)を言います。

 

たとえば「自分の手は汚れているのではないか・・・」と考えて、何度も手洗いを繰り返したり、「何か準備し忘れているのではないか・・」と考えて、時間割や宿題などを何度も確認したりするといった症状です。

 

皆さんも、少なからずこれに似た体験をされたことがあると思います。

 

 

周りから見たら不思議でも、本人は真剣

しかし、この強迫症状が強すぎた場合、次の行動へとスムーズに移れず、日常生活や学校生活に支障が出てしまいます。

 

中には、手洗いや確認行為などに、2時間以上も費やしてしまい、学校に行けなくなってしまったケースもあります。

 

ドアノブを何時間もかけて、きれいに磨いている方もいました(磨いていく方向にも、ある一定のルールがあるそうです)。

 

このように客観的に見れば、とても不思議な強迫行為も、本人にとっては真剣そのものなのです。

 

 

中学生から急増する強迫症状

強迫症状は、中学生くらいの思春期年齢から急増すると言われていて、比率的に見ても圧倒的に男の子の方が多いようです。

 

「就寝儀式」といって、寝る前に、布団をどういう順序で敷いて、枕を3回たたいて、シーツの角をこういうふうに合わせて、枕元にこれとこれを順番において、全部やらないと寝れないという強迫行為があります。

 

この就寝儀式というのは、思春期に一時的に出てくることがとても多く、特に男子に多く見られます。

 

自分の中から、いけないもの(性的成熟)が出てくるのを必死に防ごうとしているのです。この防ごうとしている意識が強くなるのが強迫行為になるわけですが、たいてい短い期間でひとりでに治ってきます。

 

思春期の男の子が起こす「手洗い強迫」は、ほとんどの場合、精液と関係があると言われています。つまり、自分の性的成熟、勃起、射精、マスターベーションと関係があるのです。

 

 

子ども時代の喪失と強迫症状

自分が大人になるということは、子ども時代を喪失することでもあります。

 

これは子どもながらにとても恐ろしいことで、失ってはならない母との関係がとぎれていきます。

 

自分の性が、親との密着した関係にナイフを入れて切ってしまう、親が去っていくという恐怖を呼び起こすんですね。

 

そのとき、性的成熟性を証明する、たとえば精液みたいな付着したものを、彼らはバイ菌とか、汚れたものとか、いろいろな言い方をして、それを必死で洗い流そうとするのです。ここに「手洗い強迫」が生まれてきます。

 

彼らが恐れているのは、「“子ども”である自分」の死なのです(こういった背景から、心理療法では、子ども自身が自分の成長を受け止められること、分離不安に伴う葛藤を扱っていきます)。

 

 

子どもの強迫症状への接し方

子どもが強迫行為を繰り返していると「いつまでやっているの?もういい加減にやめたら?」と指摘したくなるものですが、やめたくてもやめられないのが強迫症状です。

 

分かっちゃいるけどやめられないのです。

 

また、「手がきれいになったか、お母さんも見てくれなきゃダメ!」などと家族が症状に巻き込まれやすいこともありますが、実はここで協力してしまうのは逆効果です。

 

不安が収まるまで、子ども自身が強迫行為をせずに、我慢して待つ力を身に着けられるようにすることが大切です。

 

強迫行為に、あまりにも多くの時間とエネルギーを費やしてしまい、日常生活に支障をきたすようであれば、心理カウンセリングを受けたり、一時的に薬の力を借りたりすることも効果的です。

 

症状に振り回されず、本来のストレスに対処できるようサポートしてあげることが大切です。

 

【記事提供】

佐藤文昭 臨床心理士

おやこ心理相談室 室長

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