難病ALSのリハビリに欠かせない3つの心理サポートとは?

2016.11.14公開 2016.11.29更新
 
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ドラマ「僕のいた時間」の主人公や、サッカーJ2・FC岐阜の前社長さんが罹患した原因不明の進行性の難病ALS。

 

運動をつかさどる神経が障害されることによって、脳から「足を上げろ」「手で物をつかめ」という指令が伝わらないため、結果的に筋肉を動かすことができず筋力が低下し、手足が動かない、食べ物が呑み込めない、呼吸ができないという障害が出現します。

 

そのため、病状の進行を遅らせるには、リハビリが欠かせません。

 

患者さんの歩行機能を改善する装着ロボット「HAL(ハル)」が保険適応になりましたが、病状を進行させないためのリハビリは、心理的サポートがないと心が折れそうになる作業です。

 

そこで今回は、難病ALSのリハビリに欠かせない心理的サポートについて、ご説明します。

 

 

同情ではなく、普通に接する

ALSの患者さんは、運動機能は低下しますが、認知機能に変化はありません。

 

病気になる前の患者さんの性格や思考、記憶力などに障害がないため、今までの話しかけ方や接し方で関わることが、患者さんの心の支えになります。

 

難病にかかった友人や知人と、どう接していいかわからずに、結果的に関係性が遠のいてしまう方もいれば、逆に同情して今まで以上に親切にしたいと接する方もいます。

 

ですが、この関わり方は、自分の頭で考えた接し方でしかありません。

 

ALSにかかった患者さんにとっては、それまでの関係性が変に変わってしまい、そのことで病気になった自分の立場を再認識させられることになるのです。

 

ただ、今まで通りの友人でいること、それだけで良いのです。

 

できないことは増えたとしても、その人自身は同じであることを、言葉と態度で伝えることが、大切な心理的サポートの一つになります。

 

 

感覚を刺激する

ALS患者さんは、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚などは、今まで通りの機能が維持されています。

 

リハビリで精一杯頑張った後には、心と体を癒すリラクゼーションも心理的サポートになります。

 

一緒に好きな音楽を楽しむ、食べる量が少なくても味覚を味わう、心が落ちつく香りを楽しむことは、「今、この時の瞬間」を楽しむことにつながります。

 

ALSの患者さんは、自分の未来に不安を抱えがちです。

 

だからこそ、あえて感じることができる感覚を刺激して、昔も今も、そしてこれからも変わらずに楽しむことがあることを認識することが、心の安定につながります。

 

また、できるだけタッチングすることも心理的サポートになります。

 

親しい人と触れ合うことは、肌を通して気持ちが相手に伝わりやすくなります。気取ったたくさんのセリフよりも、腕に触れる、手を握る、肩に触れることのほうが、患者さんの心を和ませる効果があります。

 

 

できること以外を手伝う

ALSは進行性の疾患で、できることが徐々に少なくなっていきます。新しい治療法も研究・開発されていますが、まだ完治する病気ではないようです。

 

ですが、今できることは、患者さんに任せ、それ以上手を出さないことも大切です。できない部分は補助したとしても、できることは患者さんのペースに合わせて行ってもらいます。

 

やってあげたほうが楽だし、早い。そう思うかもしれません。

 

ですが、これは、ALSの患者さんの自立を阻み、徐々に誰かに依存する気持ちや諦めを心に芽生えさせてしまうことにもなります。

 

患者さんのペースに合わせ、できることは自分で行ってもらう。これは、相手を尊重しているからこそできるサポートです。

 

また、やってもらうことで、リハビリの効果が上がったときは、一緒に喜ぶこともできます。

 

リハビリをしなければ、より低下してしまう筋力。であるとしたら、時間がかかってもできることは見守る、待つことが心理的サポートにつながります。

 

患者さんの今できることを把握した上で、できないことだけをサポートする。見守ることの切なさはあるかもしれません。

 

ですが、患者さんを自律した相手と考えるなら、できることまでやってしまうことは、相手の自尊心を傷つけることになりかねません。

 

その判断がつかない時は、まずは、相手に何を手伝えば良いかを尋ねることです。相手に、対応して欲しいことは何かを聞くことも、相手を尊重することになります。

 

できることは何で、何を手伝って欲しいのかを話し合うことも、心理的サポートにつながります。自分の病気のことを理解しようとしてくれる、その気持ちが相手に伝わります。

 

 

まとめ

難病ALSのリハビリに欠かせない3つの心理サポートは、

 

「同情ではなく、普通に接する」

「感覚を刺激する」

「できること以外を手伝う」です。

 

テレビなどの影響で、ALSにかかったと聞くとそれだけで身構えしまい、筋力を維持するために頑張っている患者さんに対し、必要以上に同情心を抱いたり、接し方が判らず距離を持ってしまったりしがちですよね。

 

ですが、できなことは増えても、患者さんの思考力や感情、そして五感で感じる力は維持されています。

 

その力を受け止め、最大限に引き出す関りをすることが大切な心理的サポートになります。

 

【執筆者】

村松真実 看護師・心理相談員

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