心の健康づくりについて保健師が伝えたいこととは?【豊田春奈さん:後】

2016.11.07公開 2017.03.21更新
 
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前編に引き続き、看護師で産業保健師の豊田春奈さんのインタビューをお届けいたします。

 

ご自身の出産の経験も活かして、ベビーマッサージのお仕事をされているという豊田さん。

 

病気と向き合っていくために重要なことや、予防や周囲の人の接し方などについて、お話を伺ってきました。

前編はこちら

 

 

予防のために大切なこと

病気を予防するためには、まず自分を知ることからだと思います。特性や考え方の癖を知る。そのためには、見て見ぬふりをしないことですね。

 

日々の自分の状態に、ちょっとずつ目を向けることができるようになると、自分をコントロールができるようになり、予防にもつながっていくと思います。

 

ただ、やっぱり自分の弱いところや、自分の嫌なところを認識する作業は、結構苦痛だったりしますし、骨が折れますよね。

 

「こうありたい自分」と、「そうなれない自分」みたいなギャップに苦しむことってないですか?「こんなはずではない」みたいな。

 

例えば、朝早く起きたいと思って起きれない時に、「こんなはずではない」と思ってしまいがちです。

 

でも、そこで「自分は、こういうところが弱いな」と受け入れてみるなどして、日々の自分の状態にちょっとずつ目を向けることが出来るようになると予防にも繋がっていくのではないでしょうか。

 

 

人に受け入れられたいと思う人ほど、自分を受け入れていない

 

たとえ完治はできないとしても、ある程度、体調を回復させるために、抵抗をなく自分の弱みを受け入れることは大切だと思います。

 

自分の弱みを受け入れることは、プライドが邪魔したりして、すごく難しいです。

 

メンタルが不調になる人は真面目な人が多くて、プライドが高い人が多い。私もちょっとそういうところがある。

 

「ありたい自分」みたいなのが結構強くて、プライドも高くて、よく思われたいし、人に受け入れられたい。

 

でも、人に受け入れられたいと思う人ほど、自分を受け入れてないんですよね。

 

人に受け入れられたいということは、自分を受け入れてないので、受け入れられた自分を見て安心して、承認欲求を満たす感覚かもしれません。

 

一方で、自分で自分を認められてる人は、人になんて思われようと気にしていないように思います。

 

それに、人の目なんてコロコロ変わりますし、今日思ったことと明日思うことが全然違うことだってあります。周囲に左右されてすぎてしまうと、振り回されてしんどくなる。

 

自分で自分を受け入れられないから、「あの人にどう思われてるかな」って顔色を伺って、余計苦しくなるんです。

 

自分はずっと自分のそばにいるわけですし、自分を大切に、自分を愛せる人は心が強いように思います。

 

自分で自分を認めてあげて、受け入れる習慣をちょっとずつ身につけられると、心の健康状態も安定していくのではないでしょうか。

 

 

誰かに嫌われてもいい

プライドの高い人は、理想も高いところにあることが多いと思います。

 

ただ、理想がすごく高い人は、結局その理想に向かえてないことも多いんですよね。その一方で、ダメな自分とも向かい合わなきゃいけない。そうすると、自分が自分でわからなくなってしまうと思います。

 

自分の嫌な部分があるから、「この人に好かれなきゃ」みたいなものが増えてくるのですが、それで誰かから嫌われた時に、ものすごいダメージを受けるんです。

 

私も結構、自分を認められないから、周りをすごく気にするタイプなんです。周りの言われたことに、左右されて人生を送ってきた面もあります。

 

私の夫は正反対で、「俺は生きたいように生きてきたし、周囲にどう思われようと、自分がやりたいようにやってきたから、何の悔いもない」という人です。

 

これにはもちろん、一長一短ありますが、周囲の目を気にしすぎないという気持ちだったり、自分という存在をもっと大切にしても良いんだという思いを持つようになりましたね。

 

 

周囲の人ができること

病気になった人の周りにいる人ができることは、特別視しないことだと思います。だからといって、病気になる以前と同じように仕事させられたら困るんですけれどね。

 

周囲の人も同じように精神疾患になるかもしれないですし、病気になった人も、たまたま今は状態が悪くなっただけという側面もあります。

 

だからこそ、腫れ物に触るようにということではなく、まずは特別視しないということが大切だと思います。

 

 

心の病気だといたわれない?

うつ病などのメンタル不調に対する偏見的な部分もまだまだあると思います。身体の病気だといたわれるのに、心の病気だといたわれないって人結構いるんですよね。

 

心の病気ってどうしてもイメージしにくいのもあると思います。それにどうしても「甘えだろ」って受け取ってしまう人もいます。

 

その点は、周りの人も、心の病気と身体の病気という風に区別や特別視をせずに、「自分もそうなるかもしれない」という風に考えてほしいですね。

 

風邪や骨折のような怪我だったら誰でもなりうると思うじゃないですか?そういうものと、一緒にみてくれればいいなと思います。

 

それは、自分自身も一緒です。体の不調で病院に行くのと同じ感覚で、心の不調でも、相談や病院に行くなどして自分自身の心もいたわってほしいなと思っています。

 

 

心の病気が特別視されない社会に

心の病気も、身体の病気と何も変わらないようになればいいなと思っています。

 

風邪を引いた時は、薬をもらいに行こうってすぐ病院行けるのに、眠れないから病院に行こう、とはなかなかならないんですよね。精神科や心療内科に行くのだってすごくハードルが高いと思います。

 

あとは、精神科に通ってるっていう方でも、実際に話をしたら、全然普通に話せるんだっていうことを知らない方も多いと思います。

 

勝手な先入観で、メンタル不調の人は、くだらない話も何もできないという認識が付いている気がします。

 

心療内科のクリニック行って、待合室見てほしいと思うんですよね。実際は、精神疾患を抱えているなんて、見た目では分からない方が圧倒的に多いんですよ。

 

でも出来れば、風邪を引いたり、喉が痛いなと思ったら、「ちょっと休もうかな」「飲み会はやめようかな」という風に、すぐコントロールが出来るように、メンタルの不調を放置せずに「休憩しようかな」って思えるようになったらいいですね。

 

おそらく、メンタルの調子が悪い時には、調子が悪いというサインは出てると思います。そういったサインを本人はもちろん、周囲の人も気づけて早めに対処できる社会になっていけばいいなと思います。

 

【豊田春奈さんインタビュー完】

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PHOTO by 齋藤郁絵

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

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【専門家の方へ】

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、

Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

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