たばこを吸いたい!という衝動は香りが減少させる?【米国心理学会の研究から】

2019.07.24公開

どんな実験だった?

232人の喫煙者を対象に以下のような実験が行われました。

・8時間禁煙する

・様々なにおい(チョコレート、バニラ、レモン、ペパーミント、化学臭など)の中から自分にとって心地よいにおいを選ぶ

・火のついたたばこを吸わずに10秒間もった後、灰皿に入れ「吸いたい気持ち」はどの程度か「1~100」で報告する

・事前に決めた心地よいにおい、たばこのにおい、無臭をランダムに割り振り、それぞれ2秒ほどかぎ、1分毎に「吸いたい気持ち」を報告する

・喫煙の影響についての紙を読み、その後何分の禁煙をするか選択する

 

この実験から分かったこと

1.心地よいにおいをかぐと「たばこを吸いたい気持ち」が低下する

実験では、どのにおいをかいでも「たばこを吸いたい気持ち」は低下しました。

 

しかし、もっとも低下したのは「心地よいにおい」をかいだ時でした。

 

5分間で20ポイント(0~100の評価)もさがり、無臭をかいだ参加者と比べ、なんと2倍も気持ちを抑える効果がみられました!

 

つまり、心地のよいにおいは、たばこを吸いたい!という衝動にストップをかけてくれる効果があるようです。

 

2.思い出に関連した心地よいにおいだとさらに…

実験では、心地よいにおいであっても、特に自分の記憶や思い出に基づいたにおいをかいだ参加者のほうが、緊張度や切迫感は少なかったようです。

 

また、たばこを吸いたい衝動やたばこの影響について、冷静に現実的に考えやすい傾向がみられました。

 

一方で、たばこのにおいをかいだ人は、衝動は低下したものの気持ちの緊張感や切迫感などは高まりました。

 

さらに、心地よいにおいをかいだ参加者の93%が「今後においを使って禁煙していくことができそうだ」とも答えています。

 

このことから、研究者らは、

・心地の良いにおいは、その場のたばこを吸いたい衝動を低下させることに役立つ

・さらには、今後の喫煙に対する健康的な意思決定にも関係を及ぼす効果がある

と述べています。

 

つまり、「たばこが吸いたい!!」となったとき、

 

チョコレートのにおいをかいで、

「この間、みんなで食べたチョコレートケーキはおいしかったなあ」

と思いだすことで、吸いたい衝動は徐々に収まりやすくなります。

 

さらに、「禁煙よりも健康被害よりもなによりも吸いたい!!」と冷静さを失ってしまいがちな気持ちも、においをかぐことで、

「たばこを吸うと気持ちはすっきりするけど、禁煙すると決めたし、どうしようかな」

と落ち着いて考えやすくなるようです。

 

においで禁煙するためには?

1.自分のお気に入りのにおいを見つけて持ち歩こう

自分にとって心地よいにおいってどんなにおいなのでしょうか。

 

まずはにおいに目を向け、自分の好きなにおいを見つけてみることから始めるとよいかもしれません。

 

香水、ハンドクリーム、アロマオイルなど持ち運べるものだと、いざとなったときにすぐに使うことができます。

 

また、ハンカチににおいをしみこませてみたり、最近はにおいのついたペンや、スプレー式のフレグランスオイルなどもあります。

 

そのようなものから、お気に入りのにおいを探してみることもよいかもしれません。

 

私のようにチョコレート好きな人は、チョコレートを食べながら、そのにおいをかいで一息つくなんてこともよいかもしれません。

 

2.ひとまず5分間…数秒は我慢!

今回の実験では、5分間我慢をすることで無臭であっても吸いたい気持ちは減少しました。

 

いつもの習慣を少し変えることは、たばこを吸いたい気持ちを抑えることに有効であると研究者らは述べています。

 

習慣をかえるために、5分間と言わず、数秒でもよいかもしれません。

 

「吸いたい」と思ったときに、少し手を止めてみることで、なにか気持ちに変化があるかもしれません。

 

でも、ただ我慢するだけですと、実験のように緊張感は高まってしまうこともあります。

 

楽しいことを考えてみたり、ガムや飴をかんだりして気持ちをそらしてみるとよいでしょう。

 

 

それでもたばこを吸いたいなら…

そうはいっても、

「たばこを吸いたい気持ちのときは、なんでも無理!」

「においなんてかぐなんてめんどうくさい!」

と思われる人もいるかもしれません。

 

実際に、我慢することや習慣を変えることは、人間にとって非常に強いストレスになります。

 

また、たばこに含まれる物質であるニコチンの依存状態になっている人は、離脱症状としてイライラや集中力の低下なども現れます。

 

心地よいにおいをかぐことは、禁煙対策以外にも、心を落ち着けたり、ポジティブな気分にしてくれたり、様々な効果があります。

 

まずは、

たばこを吸いたいときだけに限らず、普段からさまざまな場面で心地よいにおいをかぐことを習慣にしてみる

こともよいかもしれません。

 

また、たばこを吸いたくなるタイミングや時間があれば、事前に手元に準備しておいたり、周囲の人に伝えて手伝ってもらったりすることもよいと思います。

 

 

さいごに

禁煙したい気持ちはあるけど、病院にいったり、お金をかけたりするのはちょっとなあ…と思っていたら、ぜひ「におい」の力を試してみてくださいね。

 

今回は禁煙に関しての研究でしたが、禁煙するかしないかに関わらず、自分の欲求や衝動をコントロールしていく方法を知ることは、よりよい生活のために大切なことなのかもしれません。

 

【参考】

Michael A. S,Mary A, Rachel S.H, Lea M.M&Molly A.B(2019) Pleasant Olfactory Cues Can Reduce Cigarette Craving. Journal of Abnormal Psychology 2019, Vol. 128, No. 4, 327–340 https://www.apa.org/pubs/journals/releases/abn-abn0000431.pdf

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飯田杏奈

臨床心理士

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。教育機関や療育施設、カウンセリングルームにて勤務。未就学児から大学生、大人までさまざまな悩みに向き合っている。一児の母として子育て奮闘中

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年7月24日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。