中年の危機による転職はNG?5つの視点から3つの選択肢を臨床心理士が解説

2019.08.07公開 2019.08.09更新

中年の危機で転職は現実的?5つのポイント

1. 「転職すれば悩みは晴れる!」は見せかけの幻かも

人は解決できない悩みを持っているとき、他の何かを変えることによって「解決できた! 」と思いたくなる癖を持っています。

 

例えば、夫婦関係がうまく行かないことが本来の問題なのに、“こどもの英才教育をする” という行動によって悩みの核心を煙に巻いていたり……心の機微は複雑です。

 

「転職すればうまくいく」という心理は、本来の問題に目をそむけているだけの可能性も。

 

2. 体力や認知機能の低下を考慮した転職か?

上述したように、中年期に差し掛かることで予想外に体力や認知機能が落ちていることも。

・視力や聴力の低下
・瞬発力の低下
・筋力の低下

といったような肉体的変化から、

・判断能力の低下
・実際に仕事を処理する時間の倍増

というような認知機能の低下が始まるのもこの時期です。

 

通常の転職という観点だけでなく、こういった身体的変化を考慮しないと、たとえ転職がうまく行ったとしても新しい仕事についていけない可能性があります。

 

3. 家庭環境の変化に柔軟であるか?

40代を超えると家庭環境も変化します。

 

親の介護、子どもの巣立ちによって、“家庭内でやらないといけないこと”が増える可能性も。

 

転職先がこういった変化に柔軟でない場合、“新しい仕事を覚える”という負荷に“家庭内の仕事も増える”といった負担が加わり、全ての歯車が狂ってしまう場合も。

 

家族の同意を得られるかといったポイントも重要になってきます。

 

4. ご自身のスキルと新しい仕事に乖離がないか?

ご自身のアイデンティティを模索することは素晴らしいことです。

 

ただ、これまでの経験や能力を活かせるかどうかといった観点も重要です。

 

例えばこれまで事務作業を中心として活躍されていた方が、「自分は動物が好き!天職は獣医なはず!獣医になる!」と思ってもすぐには実現できませんよね。

 

獣医師免許をとったり、研修を受けたりする必要があります。

 

こういった乖離は、通常の企業への転職でも起こりがちです。

 

これまでの仕事や経験の棚卸しも重要になってきます。

 

5. 健康状態を専門家にチェックしてもらう

認知機能同様、体調も大きく変化しています。

 

健康診断や人間ドックを受け、今後どれだけの仕事量・ストレスに耐えうるのか長期的な見立てをたてることも大切です。

 

 

中年の危機と3つのキャリアの選択肢

1. 自分が目指す目標をすべて実現させる!

ご自身のアイデンティティとしっかり向き合い、「本当に自分がやりたかったことはこれだ! 」という目標が見つかったのなら、それを最優先することも選択肢の一つです。

 

第二の青春、夢を求めた行動ですね。

 

ただし、その場合は健康状態や家庭環境を鑑みることも大切に。

 

それでも「自分の夢を優先すべきである」というように腑に落ちているのなら、転職もおすすめです。

 

2. 重視するのは家庭!キャリアは現状維持

アイデンティティを振り返るプロセスの中で、「やっぱり自分にとって重要なのは家族」ということに気づく可能性も。

 

転職による環境変化などを考慮し、家庭にネガティブな影響が出ることを回避することも大切な選択です。

 

その場合は現在の仕事を続けるという選択肢に。

 

これまでの能力を活かすことができるため、今後予想外の発展があるかもしれませんね。

 

3. ひとまずすべてをフラットに。何もしないという選択肢

中年の危機によってうつ状態になることもあります。

 

この場合、“転職する” “今の仕事をとりあえず辞めてしまう” といった新しい行動をとることはおすすめできません。

 

うつ状態の際はなるべく現状を維持し、変化は避けることが最も重要であるからです。

「仕事に対するもんもんとした気持ちが続いている」

「とにかく転職したい」

「自分が目指すことはいまいちわからない」

「夫(妻)に不満があり、どうしたら良いのかわからない……。」

こういった不安・不満・焦燥感があり、本来の自分の気持ちが見えにくい場合は、“とりあえず今は何もしない、これまでの生活を続ける” という選択肢がベストです。

 

悩むことや自分と向き合うことからも離れ、休養をよくとることが重要です。

 

体と心が休まることで、徐々にご自身と向き合えるようになりますよ。

 

 

さいごに

人の心は複雑です。

 

「絶対に転職したい! 」

「毎日こんなにつらいのは仕事のせい! 」

「あそこに勤めたら人生変わる! 」

 

と思っていても、本心では “最近子どもがおとなになってしまって寂しいな……” という気持ちが隠されていたり。

 

あなたの転職が本当に幸せになれる行動なのか?

 

本当の幸せを手に入れるために、気づかないといけないことがあるかもしれませんね。

 

1番大切なことは、“素直な気持ちで自分の心と向き合うこと”

 

カウンセラーの力を借りることも得策です。

 

最高の選択肢を選べるよう、心から応援しております!

 

【参考】
Researchers replace midlife myths with facts Job changes and stress management can positively affect midlife health.

 

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広瀬絵美

臨床心理士

心理学の大学を卒業後、広告会社にて勤務。退職後、心理系大学院修士課程を修了し臨床心理士資格を取得。精神科病院にて従業員のメンタルヘルスケア業務に従事する。また、国立研究所にて職場組織や妊婦さんのメンタルヘルスに関する研究にも携わっている。理想的な「ワークライフバランス」を目指し、研究と実践の両面から支援を行っている。一児の母。

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  • 本記事は2019年8月7日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。

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