トラウマとらうま

2016.07.05公開
2017.03.24更新

トラウマとは

本能的に「死」を意識するほどの衝撃的な恐怖体験を「外傷体験」と呼びます。メンタルヘルスの領域でトラウマという場合は、外傷体験の記憶のことを指すことが多いようです。

 

正式にはトラウマ体験、またはトラウマ記憶と呼ばれています。トラウマは本人が望んでいないものかかわらず、不意に思い出されます。

 

こうして本人の意志に反して、心理的には過去の恐怖体験にタイムスリップさせられ(フラッシュバック)、再び恐怖を味わうことになるのです。この状態を繰り返して日常生活に支障が出るのがPTSD(ポストトラウマティックストレス障害)です。

 

PTSDのセルフチェックはこちら

 

 

トラウマの初期症状

トラウマ記憶は、本人も気づかないレベルの些細な刺激でも思い出されてしまいます。そして、思い出さないようにしようという「抑制意図」を持ってしまうと、ますます思い出されやすくなるという厄介な性質を持っています。

 

PTSDとは違いますが、心的外傷の初期症状として、心的外傷の初期症状で急性ストレス障害(ASD)を起こすことがあります。

 

心的外傷の初期症状として、感覚や感情の鈍麻ないし麻痺、疎隔体験、離人体験、記憶の喪失、興奮、遁走、ないしは心悸昂進、発汗等の自律神経昂進症状がみられます。これらの反応は急性ストレス障害と呼ばれています。

 

▼幼少期のトラウマについてはこちら▼

 

 

トラウマの原因

トラウマ記憶が、まるで心理的にタイムスリップしたかのように鮮明に思い出されるのは、通常の記憶システムとは異なるトラウマ記憶を作り出す特別な記憶システムの影響です。

 

この記憶システムは、恐怖に連動して発動するもので、ごく正常な反応です。したがって、原因としてはトラウマ体験をしてしまったことということになります。

 

ただし、あらゆる記憶は書き換えられるものなので、PTSDを長引かせている原因としては、トラウマ記憶を恐れるあまり、記憶の書き換えが進んでいないことが挙げられます。

 

▼いじめとトラウマの関係についてはこちら▼

 

 

トラウマの克服法

記憶の書き換えを進めることです。記憶は思い出す度に書き換えられて、再び記憶の貯蔵庫に保存されます。

 

ただし、不用意に思い出すと再び恐怖体験をするだけなので、セラピストとともに慎重に思い出すことが大切です。

 

安心感を与えてくれるような信頼できるセラピストでなければこのような作業は一緒にできません。

 

相性もふくめてセラピストをしっかりと選び、トラウマ記憶の書き換えを急がずにしっかりと良い関係を築いてください。

 

▼トラウマのカウンセリングについてはこちら▼

 

 

トラウマの人との接し方

トラウマ体験が特別な記憶となって心に張り付いていることを理解してあげてください。

 

トラウマ記憶がフラッシュバックすることで、本人は一人だけ、過去のある時点にタイムスリップさせられているのです。周囲の人がそのことを理解できずにいるだけでも、孤立感を高めて追い詰めてしまいます。

 

まして、同じ時間(今現在)にいられないことに戸惑うあまり本人を責めたり、「気持ちの問題だろう」と軽く考える態度があると本人を深く傷つけます。

 

この体験が新たなトラウマになると事態は最悪です。まずは本人の意志とは関係なく、今現在にいられないことを理解してあげてください。

こころ百科 監修
杉山崇

杉山崇

臨床心理士

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

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