性同一性障害せいどういつせいしょうがい

2016.07.05公開
2017.03.16更新

性同一性障害とは

体の性と心の性が一致しない状態が性同一性障害です。遺伝的な持って生まれた身体的な特徴としての性別が心に影響して心の性が形成されるので、一般的には体の性と心の性は一致しています。

 

しかし、時に心の性が体の性を無視して、心独自の性指向を持つようになると、体の性と心の性の不一致が起こります。

 

この状態では、身体的な性に合わせた生活様式を続けると、心理的な違和感がたまりストレスを覚えます。

 

このストレスが高まると生活環境に適応できなくなります。

 

 

性同一性障害の初期症状

症状として明らかになるのは、思春期の第2次性徴と呼ばれる時期が多いとされますが、本人が語るところでは小学校入学以前、または小学校低学年くらいから、身体的な性に沿った生活様式に違和感があることが多いようです。

 

身体的に男子なら、男らしいとされる戦いごっこよりも「おままごと」を好む、逆に身体的に女の子なら、戦いごっこや武器のおもちゃに興味を示す…など小さい頃から潜在的な指向性に徴候が見られるようです。

 

年齢が上がり、生活様式の男女差がはっきりしてくるあたりで、違和感をためきれなくなって、本人も周囲も直面化することになります。

 

 

性同一性障害の原因

複合的な要因と言われており、特定の原因があるとは考えられてはいません。

 

ただ、本人の意志を超えたレベルで指向性が生まれているので、身体の性とは違う性別の脳を持っているという可能性も言われています。

 

古くは、育ち方や親の育て方に原因があるかのような考え方をされることもありましたが、今では親の育て方に結びつける考え方は減りました。

 

極端な表現をすれば、原因については「心と体の性の不一致を生きる運命とともに生まれてきた」と考えるほうが実用的なことが多いようです。

 

 

性同一性障害の克服法

根本的な治療法ではありませんが、違和感やストレスを緩和するための処置がとられることが多いです。具体的には心の性に合わせて、体や身体的な特徴を作り変えてゆくことです。

 

より負担のかるい方法から紹介すると、服装を心の性に合わせる、性ホルモンを投与して身体的な特徴を近づけていく、手術で生殖器の形だけを心の性に合わせる…といったものが一般的です。

 

負担が重いほど、失うものも大きくなります。特に手術に踏み切った場合、生殖能力を失うこともあるので、十分なカウンセリングを受けて後悔しない選択をしてください。

 

 

性同一性障害の人との接し方

現代では性指向と性嗜好は区別しようとされています。独特の性指向も異常な状態ではなく、一つの個性ととらえよういう方向性です。

 

もちろん、この方向性は心の性と身体の性が一致している人には価値観として受け入れがたいこともあります。しかし、一致している人も、性に関してはたまたま心と身体が一致していただけです。

 

期待されている役割とこうありたい自分が一致しないで悩む人、やりたい仕事と実力が一致しなくて悩む人、このような不一致で悩む人は普通に受け入れられます。

 

性同一性障害もこのような不一致の悩みと同じです。どうか悩みを受け入れてあげてください。

こころ百科 監修
杉山崇

杉山崇

臨床心理士

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

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