希死念慮きしねんりょ

2016.07.05公開
2017.03.16更新

希死念慮とは

「死にたい」「死ねば楽になれる」「いっそ、死んだほうが…」と自死について考えること全般を希死念慮といいます。

 

具体的な死に方を考えたり、方法について調べ始めたり、と計画性が伴うと「自殺企図」と呼ばれる別の概念になってきます。

 

希死念慮より自殺企図のほうがずっと自死の発生可能性が高く危険です。希死念慮の段階であれば、人生の中で何度か考えてしまうことはありえることなので、自殺企図ほど心配するものではありません。

 

しかし、希死念慮が浮かんでくるほど生きることが辛いことは事実なので、何らかのケアが必要です。

 

 

▼「死にたい心理」について詳しくはこちら▼

 

 

希死念慮の初期段階

希死念慮を生涯で一度も感じたことがない人は、おそらくラッキーな人でしょう。殆どの人は経験することがあるので、多少の経験であれば問題ありません。

 

しかし、希死念慮が頻回になってくると、自死のリスクが高い自殺企図に発展しやすいので注意が必要です。

 

初期段階としては、ちょっとでも思い通りに行かなかったり、誰かと自分の「差」を実感したりした時に「もう死んだほうが…」と反応するようになります。

 

言葉に出して「自分死にたいアピール」を周囲にするようになったら、かなり希死念慮が癖になっていると思っていいでしょう。

 

 

▼うつ病と希死念慮の関係についてはこちら▼

 

 

希死念慮の原因

希死念慮は「死の本能」と呼ばれる、死を受け入れる本能的なマインドが関わっていると言われています。

 

私たちは、いつかは死ぬ運命を背負って生まれてきます。生きる中で何が必要か、何が起こるか、といった運命をある程度は本能的に知っていると考えられています。死ぬ運命も実は本能的に知っているわけです。

 

普段は生きることに一生懸命で死を受け入れるマインドに浸っている暇はありません。

 

しかし、生きる歓びがあまりにも小さくなって辛さが先走ってしまうと、「いっそ死んでしまえば…」という気持ちになってしまうのです。

 

 

▼子どもの頃から続く希死念慮への対処法はこちら▼

 

 

希死念慮の克服法

「死ねば楽になる」はある意味で本当です。ですから辛い現実への対処の一つとしての「希死念慮」もありえます。

 

死んだ気になることで辛い現実から気分的に距離が取れる場合です。このような場合は、気持ちが楽になる範囲であれば続けてください。

 

しかし、自殺企図に発展しそうなほど深刻な場合は、環境の見直しが必要です。

 

生き方に無理があるということなので、環境も人生の目標も見直しましょう。「希死念慮アピール」で周囲の心配を引き出しているような場合は、心細いことが多いようです。

 

希死念慮アピールで得られるいたわりは、本当のいたわりではないことを自覚して、本当にいたわってもらえる自分のあり方を考え直しましょう。

 

 

▼希死念慮への対処法についてはこちら▼

 

 

希死念慮の人との接し方

希死念慮は本人が密かに抱えてるだけならわかりません。

 

しかし、言わないだけで何らかの辛そうな徴候があるはずです。

 

・口数が減った、

・人との関わりを避けるようになった、

・空を見つめる時間が増えてきた、

・仕事のパフォーマンスが落ちてきた…

 

人によって現れ方は様々ですが、負担がかかる環境や立場、または大きな変化に見舞われる状況にいれば希死念慮が発生していてもおかしくありません。

 

様子がおかしいと思ったら、まずは「なにか困っていませんか?」と聞いてあげてください。

 

その上で、立場や状況を変えられるわけではなくても、「死にたいくらい辛いこと」は理解できると伝えられると良いでしょう。

 

一人で抱えさせると苦しくなるだけです。孤立だけはさせないように気遣ってあげてください。

こころ百科 監修
杉山崇

杉山崇

臨床心理士

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

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