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大人の発達障害おとなのはったつしょうがい

2016.07.06公開
2017.03.16更新

大人の発達障害とは

日本では社会性の欠如が目立つ自閉性スペクトラム障害と不注意や課題への集中力の欠如、衝動性が目立つ注意欠陥・多動性障害(ADHD)を総称して発達障害とされています。

 

発達障害と呼ばれるようになったのは、社会が期待するような「大人としての振る舞い」が身につきにくいという意味で用いられたのがきっかけです。

 

自閉性スペクトラム障害もADHDも発達の遅れではなく、一つの個性なのですが、命名の経緯を踏まえて「発達障害」という用語が使われています。

 

 

大人の発達障害の初期症状

子ども時代から周囲の子どもと同じように行動できないことで明らかになります。

 

自閉性スペクトラム障害の場合は、

 

・茶碗や箸がいつもと違うと落ち着きをなくす

・親がいつもと寄り道して違う道で帰ろうとするとパニックを起こす

 

など、日常の規則性がわずかでも崩れる、と強い不快感を覚える一方で、他者の不快感や機嫌には鈍感で、人間関係でトラブルを起こす、などのエピソードがあります。

 

ADHDでは、着席が期待される場面で、周りの子どもよりじっと座っていられない、忘れ物が多い、気が散りやすい、などのエピソードが有ります。

 

軽度なら学生時代までは「ちょっと変わった人」と言われるだけで、大きな問題にはならなくても仕事に就くと、トラブルが頻発して障害が明らかになります。

 

ADHDのセルフチェックはこちら

 

 

大人の発達障害の原因

病気ではなく、個性の一つです。持って生まれた脳の特性の一つで、主に注意や目的意識のコントロールを司る部分に特徴があります。

 

自閉性スペクトラム障害では、人のご機嫌を気にする意識を司る部分の機能が弱く、その分、課題遂行の意識や周りの物理的な環境を監視する目的意識が強く現れやすくなっています。

 

ADHDでは、衝動性を抑える部分の機能不全が知られています。また自意識や時間感覚に関わる脳の一部も適切に機能していないことも知られています。

 

 

大人の発達障害の克服法

病気ではないので障害の管理が重要です。薬物療法が有効な場合もあるので、医師に相談して適切な処方をしてもらうことも一つの方法ですが、まずはしっかりと診断をしてもらうことが必要です。

 

多くは仕事など日常生活のトラブルがきっかけになって明らかになるので、本人の個性と日常生活で求められる役割とのギャップについて明らかにするためのカウンセリングも必要です。

 

場合によっては、心理検査で情報処理能力や課題遂行能力、対人関係能力を把握し、無理のない生活を設計することも必要です。

 

 

大人の発達障害の人との接し方

周囲の理解が欠かせません。症状ではなく個性なので本人の意志や努力で改善できるものではないことを理解したうえで、本人に対する拒否的な態度を持たないように心がけてください。

 

ただ、心理検査やカウンセリングで明らかになった本人にできること、できないことを把握したうえで、できることは努力してもらうことを求めることは可能です。

 

本人が検査やカウンセリングの内容を開示してくれる良好な関係を築き、努力しやすいように気分的にサポートを行うとお互いにストレスが減るでしょう。

こころ百科 監修
杉山崇

杉山崇

臨床心理士

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

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