薬物中毒やくぶつちゅうどく

2016.07.06公開
2016.07.07更新

薬物中毒とは

メンタルヘルスの領域で薬物中毒という場合は、脳に何らかの影響を与える物質を慢性的に摂取することで、その物質が脳内にあることが当たり前になっている状態を指します。

 

当たり前のようにある物質なので、体はその物質がないことを異常な事態とみなします。

 

そのため、禁断症状と呼ばれるさまざまな心と体の変化が起こります。これは体の反応なので、本人の意志ではコントロール不可能です。その物質を欲するがゆえに、法に触れるような行為に及ぶ場合もあります。

 

 

薬物中毒の初期症状

薬物中毒をもたらす薬物には、カフェインやアルコール、市販、または医師が処方する薬のような合法的なものから、非合法的なものまであります。

 

その薬物を摂取した際に、もたらされる快楽や快感を本能レベルで再び求めてしまうと、徐々に本人の意志や生活目標に反して摂取を求めるようになります。

 

本人の意志で、合法的な薬物を生活に支障のない範囲で、計画的に摂取できている間は問題ありません。しかし、薬物の摂取を優先して、本人または周囲の人に不利益があるほどに、生活目標を変更するようになると注意が必要です。徐々にコントロールを失い、薬物中毒に至ることになります。

 

 

薬物中毒の原因

脳と体が、体内または脳内に薬物があることが当たり前のことと「記憶」してしまうことが原因です。私たちの体は様々な環境に適応するために順応性という性質を持っています。

 

たとえば、家の悪臭や異臭に住んでいる人は気づきにくいことがあります。これは常に同じ臭いに晒されていることで、その臭いを嗅覚に関わる神経系が「当たり前」のものと記憶して、感じなくなるのです。

 

薬物のように脳や体に悪影響を与えるものであっても、恒常的に摂取されていると「あって当たり前」と記憶されるのです。

 

 

薬物中毒の克服法

薬物があって当たり前の状態は、一度記憶されると書き換えが困難です。

 

薬物を必要としない生活習慣を身につけることが最も大切なことなのですが、本人が自分で摂取行動をコントロール出来ないことが多いので、誰かに管理してもらうことが必要です。

 

また、摂取をやめてから、しばらくは禁断症状に悩まされ、摂取を求めるあまり、触法行為に及ぶことも多く、ご家族が生活管理をしている場合、暴力に悩まされることも少なくありません。

 

医師と専門家の指導のもとで療養施設を利用するのがよいでしょう。

 

 

薬物中毒の人との接し方

薬物中毒に陥る人の多くは、慢性的な寂しさや孤立感、虚しさに悩まされていることが多いようです。これらの不全感は現代社会ではケアの対象とみなされにくく、軽く扱われがちです。

 

しかし、薬物によってこれらの不全感が解消される体験が薬物中毒のきっかけになることが多いのです。

 

初期症状が見られ始めたら、心配してあげる、声をかけてあげる、寂しさや虚しさを共有してあげる、遊びに誘ってあげる、などの気遣いをしてあげるだけで、その後の重症化を防げるかもしれません。

 

施設などで改善した場合は、再発を防ぐためにも日々の気遣いを欠かさないであげてください。

こころ百科 監修
杉山崇

杉山崇

臨床心理士

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

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